道徳の指導の仕方について知りたいです。
長く教科外活動として行われてきた道徳の授業が小学校で2018年(平成30年)度から「特別の教科」として指導することになりました。
今回は、次のことについて書きます。
道徳の時間の指導
道徳の時間の指導
現行の小学校学習指導要領では、「特別の教科 道徳」の目標が次のように書かれています。
(第1章総則の第1の2の(2)に示す道徳教育の目標に基づき)よりよく生きるための基盤となる道徳性を養うため,道徳的諸価値についての理解を基に,自己を見つめ,物事を多面的・多角的に考え,自己の生き方についての考えを深める学習を通して,道徳的な判断力,心情,実践意欲と態度を育てる。
小学校学習指導要領 特別の教科 道徳編
🟠道徳の時間の指導
道徳の時間は、基本的には、座学です。
教室で、話し合いをしたり、書いたり、考えたりしながら、豊かな道徳性を身につけ、道徳的な実践力が育つようにします。
道徳教育は、「学校の教育活動全体を通じて行うもの」ではありますが、年間35時間(1年生は34時間)以上ある「特別の教科 道徳」の時間の活用はたいへん重要になります。
「特別の教科 道徳」の時間の基本的な学習の流れは、次の通りです。
0.指導者が、子どもに考えさせたい(身に付けさせたい)道徳的価値内容を決める。
1.その道徳的価値に関係する子どもの経験や体験を話し合う。
2.教材やめあて(教科書の教材、道徳的価値など)を知る。
3.(共通の話題で話し合いができるように)教材を読む(視聴覚教材を見る)。
4.教材に即して、いくつかの観点で話し合う。(役割演技をしたり、自分の考えを書いたりすることも含める)
5.再度、自分の経験や体験に照らして、今後どうしていくか考える。
6.学習のまとめ(指導者の話を聞く、読み物を聞く、感想を書くなど)をする。
<0.道徳鐡価値を決める>
授業の前に、その時間で取り上げる「道徳的価値」と「それに相応しい教材」を決めます。
道徳的価値は、大きく4つの内容項目に分けられています。
その4つは、「A 主として自分自身に関すること」「B 主として人との関わりに関すること」「C 主として集団や社会との関わりに 関すること」「D 主として生命や自然,崇高なものとの関わりに関すること」です。
教科書ができてからは、教科書通りに進めることもあるでしょうから、「教材」を決め、それを使って教える「道徳的価値」でもいいと思います。
<1.その価値に関係する経験や体験を話し合う>
「親切」「友だち」「誠実」「うそをつかない」「お金の大切さ」など様々な価値があると思います。
「親切にしてもらった経験を教えてください。」「親切にしようと思ったけれど、できなかったことはありますか?」など、個々の子どもの体験や経験を尋ね、一人ひとりが自分の体験や経験を思いだす活動をします。
<2.教材やめあてを知る>
教材を確認します。
場合によっては、教材を読む前に、登場人物の確認をしてもよいと思います。
共通の話題で話し合うために、あえて1つの教材を選び、共通の土俵の上に乗せます。
そして、この時間の「学習のめあて」を確かめます。
<3.教材を読む>
国語と違って教材の読み取りが主眼ではありませんので、指導者が範読をしたり、意味のわからない部分を説明したり、話し合わせたい事柄について発問したりすることになります。
<4.いくつかの観点で話し合う>
教材の中のポイントとなる出来事や登場人物の言動などについて話し合います。
核になる主発問については、子どもに書く時間を与えるようにして、じっくり考える時間がもてるようにします。
話し合いは、全体で話し合う前に、学級の実態に合わせて、二人組や小グループでの話し合いをすることも必要です。
場合によっては、役割演技をすることも効果的です。
<5.今回の教材での学習を、自分の体験や経験と重ねて考える>
自分の経験や体験を、今回の学習を通して考え直します。
今後、どのように行動していくかということについても考えます。
<6.学習のまとめをする>
学習の最後は、まとめをします。
低学年では、「気持ちのよいあいさつをしよう」「友達となかよくしよう」「みんなが使うものを大切にしよう」というような道徳的価値を教えることも大切です。
場合によっては、最後に、「明日から~しましょう。」と言い切って終わってもいいです。
高学年では、モラルジレンマなど道徳的な価値の葛藤場面などを扱うことが増えます。
「バスに乗っていて、老人に席を譲りたいが、かっこつけていると思われるのはいやだな、どうしよう」というような場面を扱いながら、自分にとってよりよい生き方や正しい方法が選択できるようにしていきます。
🟠評価などについて
「特別の教科 道徳」として、教科書もできましたし、教員が子どもたちの成長ぶりをじっくりと見定め、励ます言葉を文章に書いて評価するようにもなっています。
間違っても、道徳のテレビを見て終わり、ということのないようにする必要があります。
ビデオやテレビなどの視聴覚教材を活用してもいいのですが、ビデオやテレビを見る前に、何について考えるのか伝えたり、見終わった後で話し合いの時間をもったりすることが大事です。
テレビだけを見ているだけでは、子どもの成長ぶりを評価することはできませんので、そんなことはないでしょうが、毎週きちんと、計画的な授業を行う必要があります。
なお、道徳性の発達やモラルジレンマなどについては、次のページを参考にしてください。
道徳性の発達に進む(内部リンク)
モラルジレンマ資料の活用に進む(内部リンク)
道徳の授業の評価に進む(内部リンク)
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