道徳の授業の評価

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つばさ
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道徳の授業の評価の方法について知りたいです。

 学校では、道徳の授業を行います。授業には評価が必要です。

 今回は、「道徳の授業の評価」について書きます。

道徳の授業の評価

🟠道徳の授業の評価

<道徳の目標>

 小学校学習指導要領には、「特別の教科 道徳」(以下、道徳科と示す)の目標について、次のように書いています。

 道徳的諸価値についての理解を基に,自己を見つめ,物事を多面的・多角的に考え,自己の生き方についての考えを深める学習を通して,道徳的な判断力,心情,実践意欲及び態度を育てる。

小学校学習指導要領

 このような目標を達成するために、道徳科の教科書も作られ、週に1回、年間で35時間以上の授業を行うことになっています。

<道徳の評価>

 では、道徳科の授業における評価について考えていきます。

 道徳科の授業は、「道徳的な判断力,心情,実践意欲及び態度」などの「道徳性の育成」をめざして行いますが、子どもの道徳性が育ったかどうかを評価するものではありません

 そのことについて、小学校学習指導要領には、次のように示されています。

 児童生徒の学習状況や道徳性に係る成長の様子を継続的に把握し,指導に生かすよう努める必要がある。

 ただし,数値などによる評価は行わないものとする。

小学校学習指導要領

「道徳的な判断力,心情,実践意欲及び態度」などの「道徳性の育成」をめざしていますが、なぜ、それを多くの教科で行なっている数値などで評価しないのでしょうか。

 それは、道徳性とは、「人間としてよりよく生きようとする人格的特性」ですので、数値の評価をすることや、一つの姿をもって安易に評価することは不適切と考えられているからです。

 宮澤章二さんの書かれた「行為の意味」(ごま書房新社、2010年)には、次のような言葉があります。

「思い」見えないが、「思いやり」は見える。

「こころ」は見えないが、「こころづかい」は見える。

宮澤章二著 行為の意味

「思いやり」や「こころづかい」は、子どもの行為や発言として表れますので、読みとることができます。

  しかし、道徳性にあたる「思い」や「こころ」は,読みとることができません。

 つまり、道徳性とは,目に見えない内面的資質のことですので、数値による評価には適していません。

 子どもの様子や成長を、「学習状況や道徳性に係る成長の様子」から読みとり、指導や支援に生かす必要があります。

では、ここで、「学習状況や道徳性に係る成長の様子」についてもう少していねいに考えていきます。

 道徳科における「学習状況とは、授業中に子どもが「道徳的価値について理解していること」「自己について考えていること」「物事を多面的に多角的に考えていること」「自己の生き方についての考えを深めていること」などのことを指します。

 道徳科における「道徳性に係る成長の様子とは、1時間の授業の子どもの様子を見るのでなく、数時間から十数時間における道徳の授業における子どもの様子や成長の変化を見ることです。

 学習状況を時間的に並べて見た時に、進歩の状況が認められることもありますし、子どもの学習状況を横並びに見たときに、突出してよいところが認められることもあります。

 それらを、評価するようにします。

 具体的には、ノートやワークシートの記述、発言や発表、役割演技などの際のパフォーマンス、子どもの自己評価などから読み取っていくことになります。

<通知表に記載する内容>

 道徳が、「特別の教科 道徳」になったことで、学習の様子や成長を、本人や保護者に対して示す必要があります。

 ただ、「数値などによる評価」はしないことになっていますので、文章で示すことになります。

 通知表などにも、道徳科の評価の欄を設けて、記載する学校が増えたのではないでしょうか。

 具体的に記載については、多くの学校で試行錯誤の様子が見られます。

 道徳的価値、教材名などをもとに、子どもの学習の様子や成長の様子を記述することが多いのではないでしょうか。

 学校によっては、最近の通知表がパソコンなどを使って作成されていることをうまく活かして、いくつかのパターンを作成し、何人かの子どもに対して、コピー&ペーストで同じ文章を示していることもあります。

 本来は褒められたことではありませんが、学校現場の忙しい実態を知る身としては仕方がないことなのかもしれないなと思います。

 実際の記載例をいくつか示します。参考になれば幸いです。

○ 思いやりについての学習では、手を差しのべる思いやりと見守る思いやりの2つを比べながら話し合い、相手の立場を考え見守る思いやりがあることに気づきました。

○「正直」についての学習では、嘘をついた時の気持ちと正直になれた時の気持ちを比べることによって、正直にふるまう大切さに気づくことができました。

○「(教材名)」の学習では、主人公の「(・・・・)という」行動(会話)から、主人公の優しさ(思いやり、責任感、正義感など)を感じとることができました。

○ 主人公の生き方について、話し合いに積極的に参加し、友だちの意見を取り入れて、自分の生き方について考えている様子が見られました。

 通知表の作成については、次のページも参照ください。

通知表の作成 小学校初任者研修016に進む内部リンク

 また、道徳の授業などについは、次のページも参照ください。

道徳の時間の指導に進む内部リンク

モラルジレンマ資料の活用に進む内部リンク

道徳性の発達に進む内部リンク

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