長期的な視点をもつことは大切です。
教員として子どもや保護者に対応する場合、いくつかの心得を持っていた方が良いことがあります。
そこで、今回は、「1年間の見通し」について書きます。
1年間の見通し 教師の心得②
🟠1年間の見通し 教師の心得②
<長期的な視点>
小学校の場合、基本的には、担任するのは、1年間です。
場合によっては、複数年同じクラスを担任することもあるでしょうし、病気や育休・産休などで、年度途中で交代することもあるかもしれませんが、基本的には一年間、子供と向き合うことになります。
4月の時点で、来年の3月のことを思う浮かべるのは、経験の浅い教員などの場合、難しいかもしれませんが、1年間というのは、かなり長い時間があります。
授業時間だけをとってみても、1年生では850時間、6年生では980時間あります。ここに給食の時間の指導や掃除や放課後の遊びなどを含むと、千時間前後の時間を子どもと一緒に過ごすことになります。
千時間前後の時間をかけて、子どもに様々な形で影響を与えることになります。
子どもたちの生活は、学校だけでなく、家庭での家族や地域社会での近隣住民、習いごとなどでの交流関係、テレビやインターネット、漫画や本などさまざまなところから刺激や影響を受けますので、学校生活は、子どもの成長において、全てを担うわけではありません。
しかし、学校や学級での指導というのは、思ったよりもとても大きな影響を子どもに与えることができるというのも事実です。
<子どもの成長の違い>
以前、教務主任をしていた時に、2年生のクラスを担任する先生が、4月当初にほんの少しの間入院することがわかっていましたので、ほんの少しの期間、担任の代行をしたことがあります。
担任の先生が自分なりの方法で担任をすることができるように、あまり自分のカラーを出さないように学級開きをしました。
その学年は、2クラスあり、前の1年生の学級を編成し直して、新しい学級を2つ作っていました。
前年度の1年生のクラスの担任の先生は、1人はかなりベテランの指導力のある先生と、もう1人は、若いのですが、新しいことをいろいろと取り入れて指導をされている先生でした。
あまり自分のカラーを出すのは、ためらわれたのですが、終わりの会の時に、連絡帳を書いた後に、一言感想を書いてから見せに来るように伝えました。
すると、子どもたちの一言感想に2つのタイプがあることがわかりました。
1つのグループは、あまり感想を書くのが得意ではなく、黒板に書かれた連絡帳を書く写すの精一杯のようでした。もう1つのグループは、ほんの数分の間に、連絡事項を写した後、その日にあった楽しかったことをたくさん書いて提出していました。
すぐに、なぜこの違いがあるのかわかりました。
感想を書くのが得意なグループと、感想を書くのが苦手なグループは、それぞれ違う学級から来ていた子どもでした。
さて、ここで、皆さんに質問です。
一言感想を書くのが得意な子どもたちは、前の学年の担任は、どちらだったと思いますか?
ベテランの教員か、若手の新進気鋭の教員か、どちらだと思いますか。
この事例の場合、感想を書くのが得意な子どもは、若い教員に担任された子どもたちでした。
その先生は、学校の中にいた国語の指導の得意な先生を尊敬し、その先生の指導法をいろいろと真似ていました。
国語の指導の得意な先生は、毎日子どもたちに、その日の感想や思いなどを書かせて、子どもの書いたもの分量よりもたくさんの返事を書くことで、やんちゃなクラスの子どもの気持ちをきちんとくみ取り、素晴らしい学級経営をされていました。
その指導法を自分なりに取り入れて、子どもたちに、何かあれば、自分の思いを書くような指導を一年間積み重ねていました。
私が短期間受け持ったクラスは、2年生ですので、子どもに生まれた違いは、前担任の指導の影響を多く受けたものと言っていいと思います。
2年生の段階で、作文力という視点だけに絞った場合、その2つのグループに差が生まれたのは、一年間の指導の積み重ねの違いだと思います。
当然、違う点では、ベテランの教員に受けもってもらった子どもたちは伸びていたと思います。
<長期的な視点で指導を重ねる>
今回何をいいたいのかというと、一年の指導の積み重ねというのは、思ったよりも子どもに大きな力を育むことができるということです。
多くのことは期待できないかもしれませんが、何か1つか2つに絞って子どもへの指導を積み重ねると子どもはとても素晴らしい力を伸ばすことができると思います。
それは、なんでもいいと思います。
音読でもいいでしょうし、算数の計算力でもいいかもしれません。勉強に限らず、給食の準備の速さや掃除のていねいさでもいいと思います。友だちへの優しい気持ちでもいいでしょう。
4月当初に、何か1年後、子どもにこんな力をつけたいと願って、日々指導を積み重ねていくことはとても大切なように思います。日々少しずつでも指導を積み重ねていくと、1年後驚くような能力が子どもたちに身についているように思います。
あなたは、子どもにどんな力を育てたいと思いますか?
ぜひ、何か決めて指導をしてみてください。
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併せて、教員の心得に関するページもお読みください。
けんかした子どもへの対応 教員の心得①に進む(内部リンク)
年度当初にすること. 教員の心得③に進む(内部リンク)
実態を把握する 教員の心得④に進む(内部リンク)
毅然とした態度 教員の心得⑤に進む(内部リンク)
時間を守る 教員の心得⑥に進む(内部リンク)
話し方の工夫:教員の心得⑦に進む(内部リンク)
授業の導入の工夫:教員の心得⑧に進む(内部リンク)
集中のさせ方:教員の心得⑨に進む(内部リンク)
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