授業の導入の工夫をすることは大切ですよね。
教員として子どもに対応する場合、いくつかの心得を持っていた方が良いことがあります。
そこで、今回は、「授業の導入の工夫」について書きます。
授業の導入の工夫 教師の心得⑧
🟠授業の導入の工夫 教師の心得⑧
<授業の導入とは>
教師の大きな仕事は、授業をすることです。
子どもにとって日々よい授業をしようとすれば、いくつかの留意点があります。
そのひとつに、授業の導入をどう工夫するかということがあります。
授業の導入とは、授業の始まりの数分間のことです。
授業の始まりであるこの導入を少し工夫することで、子どもは楽しく意欲的に授業に入ることができます。
ここでは、授業の導入について書きます。
<授業開始のあいさつは必要か>
毎時間、授業のはじめに子どもを立たせてあいさつをされる方がいます。
このようなことは各教員の専権事項でしょうが、個人的には全く必要がないことだと思います。
特に、その号令を日直などの子どもにさせている場合もありますが、なかなか揃わず無駄な時間がどんどん過ぎてしまいます。
小学校の授業時間は1時間あたりわずか45分しかありません。
そのような貴重な時間を、子どもたちがきちんと立っていないからという理由で、なかなか始まりのあいさつの号令を子どもが言わないために、無駄な時間を過ごすというのは個人的には全く理解できません。
確かに、一日のはじめに、あいさつすることにはよさを感じますが、毎時間のはじめやおわりにあいさつをすることに、貴重な授業時間を使ってまでする意味をあまり感じません。
どうしてもしたいのであれば、教員がさっと立たせて、「国語の時間を始めます」などと告げ、互いに一礼すればいいと思います。
それより、さっと導入して、授業に入る方が子どもは授業に集中すると思います。
あいさつのための起立の号令に遅れて立つ子どもがいて、揃わないので叱るなど、本当に滑稽な姿だと思います。意味のないことを叱る材料にしているとしか思えません。
どうしてもあいさつさせたければ、教室に入るときに、軽く一礼でもすれば十分だと思います。
<導入の工夫①:いきなり教師が範読する>
子どもは授業に遅れてくることがあります。注意してもいいのですが、それより子どもが揃うまでの間に、教員がその日に学習する場面や段落などの音読を始めるということもあってもいいと思います。
注意することも時には、必要でしょうが、注意する時間が無駄なことも多いです。それより、遅れた子どもに「しまった」と思わせるようにする方が良いのではないかな、と思います。教室にいる多くの子どもは、すぐに教科書を手に取ると思います。
子どもが全員揃ってから、もう一度、きちんと、どこを学習するかということを伝えることは当然でしょうが……。
<導入の工夫②:ものや視覚教材などを用意する>
子どもは、「あれ、何かな?」「何が始まるのかな?」と思うことで、自然に授業に入ることができると思います。
そのような時に、効果的なのが、ものや視覚に訴える教材などを用意することです。
最近は、学級に大型テレビやパソコンなどが導入されていることも増えていますので、大型モニターに具体物を写してみるのもよいかもしれません。
子どもが興味を惹くような具体物や視覚的な教材を出すことは、よい導入の工夫だと思います。
<導入の工夫③:すぐに発問を始める>
いきなり、「ノートに「か・た・か・な」と書いてごらん。」というような発問から始めるというのも面白いと思います。
学年にもよりますが、教室にいる多くの子どもは、「カタカナ」と書くと思います。中には「かたかな」と書く子どもがいると思います。高学年の場合だと、「片仮名」と書く優秀な子どももいるかもしれません。
そして、机間指導をして子どもの様子を把握した後、「カタカナ」と書いた子どもの中から1名、「かたかな」と書いた子どもの中から1名を指名して、黒板に書かせてみます。
そして、すぐに「カタカナとかたかな、正しいのはどっちでしょう。」と今日のめあてを板書します。
このように、導入をした後、10分以内(できれば5分以内)に、その時間の「学習のめあて」を板書して、その時間は何の学習をするのかが明確に子どもにわかるようにすることは大事なことだと思います。
この後の展開例は、次のページをお読みください。
かたかなの教え方に進む(内部リンク)
「カタカナ」と「かたかな」、正しいのはどっち?に進む(内部リンク)
<導入の工夫④:すぐに板書を始める>
国語教育の大家で、先進的な授業をたくさんされた実践家の野口芳宏さんは、谷川俊太郎さんの「うとてとこ」という詩の授業をする際に、黙って「うとてとこ」と板書することから始めています。
挙手だけに頼らない指名をするに進む(内部リンク):野口芳宏さんの名言
「うとてとこ」とは一体なんなのだろう、と多くの子どもは興味をもちます。
たった五文字板書するだけで、子どもの興味を惹きつけることに成功しています。
この実践例は多くの教育者によって追試されている実践です。
私もこの授業を真似て何回か授業をしましたが、子どもは毎回とても楽しそうに授業に集中していました。
新任教員などで、1学期の初めての学習参観で、保護者にどんな授業を見せようか迷っている場合は、とてもいい教材だと思います。
授業の進め方の例は、「うとてとこ」は一体何か自分でも考えてみてから、TOSSランドなどにある実践例を参考にしてみてください。
TOSSランドに進む(外部リンク)
うとてとこに進む(外部リンク)
「うとてとこ」の追試実践に進む(外部リンク)
ここに挙げた意外にも、導入の工夫はたくさんあります。
どうすれば、子どもが楽しく授業に入ることができるか、ということを絶えず考えることができるかどうかは、教員にとってとても大切な資質だと思います。
ぜひ、いろいろな導入を自分でも考えてみてください。
⭐️ ⭐️
併せて、教員の心得に関するページもお読みください。
けんかした子どもへの対応 教員の心得①に進む(内部リンク)
1年間の見通し 教員の心得②に進む(内部リンク)
年度当初にすること 教員の心得③に進む(内部リンク)
実態を把握する 教員の心得④に進む(内部リンク)
毅然とした態度 教員の心得⑤に進む(内部リンク)
時間を守る:教員の心得⑥に進む(内部リンク)
話し方の工夫:教員の心得⑦に進む(内部リンク)
コメント