話し方の工夫:教員の心得⑦

教員の心得
つばさ
つばさ

教員は、話し方を工夫することも大切です。

 教員として子どもや保護者に対応する場合、いくつかの心得を持っていた方が良いことがあります。

 そこで、今回は、「話し方の工夫」について書きます。

話し方の工夫 教師の心得⑦

🟠話し方の工夫 教師の心得⑦

<話し方の工夫>

 教師の大きな仕事は、授業をすることですが、授業の大きな割合を占めるのが教員の話です。

 子ども中心の授業を心がけようが、教育機器を効果的に使おうが、教員が黙ったままでは授業は進行していきません。

 少しでも、子どもにとってわかりやすい話し方ができるかどうかは、子どもの理解度にも大いに影響します。

 ここでは、いくつかの話し方の工夫について書きます。

<魅力的な話をすること>

 テレビなどを見ていますと、とても楽しく魅力的な話をして人を惹きつける人がたくさんいます。

 例えば、明石家さんまさんなどの話はとても面白く、ついつい話に引き込まれて楽しい気持ちになります。私たち教員は、漫才師やお笑い芸人などではありませんので、いつも楽しい話ができるわけではありません。しかし、明るく楽しそうに話すように心がけるのは悪いことではありません。できるだけ明るい声を出すようにするのは、よいことのように思います。

 授業の合間にギャグや小話を挟む必要はないでしょうが、楽しそうに笑顔で話そうと心がけるのは決して無駄なことではないように思います。

 「学校では、教師は、五者になろう」というような言葉があります。五者とは「一般的には、学者、医者、役者、易者、芸者の五つ」を指します。

 大意は「学者のように学ぶこと」、「医者のように子どもを診ること」、「役者のように子どもを魅了すること」、「易者のように子どもの未来を見ること」、「芸者のように子どもに寄り添うこと」です。この言葉の出典ははっきりしませんが、昔からよく言われている言葉です。

 ネットには、「教師の五者」について図書館が調べた資料がありますので、詳細はそちらをみてください。

「教師の五者」という言葉の出典を知りたいに進む外部リンク

 教師は、時には役者のように、子どもを魅了することも大切です。そのためには、魅力的で明るく話ができる工夫をすることは大切なように思います。

<ひとつに絞って、短く話をすること>

 教師の話は長くなりがちです。

 ついつい説教なども長くなりがちです。

 そのようなことに陥らないようにするには、できるだけ短く話をするように心がけることも必要だと思います。

 私たち教員は、ついついいろいろなことを子どもたちに話したくなります。

 あれもこれも詰め込みたくなります。

 でも、大切な話を子どもに伝えたいのであれば、一つに絞るほうがよいようです。

 例えば、全校朝会や児童集会などで、話をする機会があるかもしれません。

 そのような時、ついつい3つも4つも注意点を並べて話をする方がおられます。子どもは聞いている振りはしていますが、3つめや4つめを聞く頃には、1つめや2つは忘れていることも少なくありません。学級に少しいるとても真面目な子ども以外、退屈な先生の注意などすぐに忘れてしまいます。

 ですから、大切なこと、子どもによく覚えておいてほしいことは、ひとつに絞って話をするということも大切なことです。

 このブログでも書いていますが、子どもは教員の長い説教にはうんざりしています。

 できるだけ短い話を心がけることも大切です。

説教の効果はその長さと反比例するに進む内部リンク) 

<最初にいくつの話をするか伝えること>

 先程書いたことと矛盾するかもしれません。でも、なかなかひとつに絞るということができないこともあります。

 子どもに伝えたいことは、たくさんあるのが常です。

 では、そのような時はどうすればいいのでしょうか。

 最初にきちんといくつの話をするか決めておくことです。

 そして、話が長くなりすぎないように、次のように言います。

これから○つの話をします。

 そして、「1つめは、・・・です。」「2つめは、・・・です。

というように具体的に数字を入れながら話をするのです。こうすることで、話がだらだら長くなり、子どもが退屈するということは無くなるかもしれません。

 その時、子どもに協力してもらい、指を折りながら話を聞いてもらうようにすると、子どもの理解度も増すかもしれません。

<具体と抽象を織り交ぜて話をすること>

 具体的な説明と抽象的な説明を織り交ぜて話をすることは、授業などの説明においては、とても大切なことです。

 学校で教えることの学習内容や注意事項などには抽象的な事柄が多いです。

①「家まで安全に注意して帰りましょう。

 この①は、かなり抽象度の高い表現です。

②「車に注意して帰りましょう。

 車という具体物が入りましたので、②は、少し具体性が増しました。

③「横断歩道を渡る時、目の前の信号が青でも、車が曲がってくることがあります。

 ③の説明は、より具体性が増してきたのではないでしょうか。

④「この前、先生の友だちの子どものれいちゃんが、横断歩道を渡ろうとしているときに、青信号になったので、道を渡ろうとしました。トラックも青信号なので道路を進み、道を曲がろうとしました。青信号では、車は進んでも曲がってもいいことになっています。その時、れいちゃんは車にぶつかりそうになってとても驚いたそうです。

 ④の説明になると、かなり具体的になったのではないでしょうか。黒板に絵や図を描きながら説明すると、子どもの理解はもっとますように思います。

 例えば、抽象度の高い②と、具体的な④を組み合わせて説明をすると、子どもの理解は増すのではないでしょうか。

 ある事柄について、抽象的なものから、具体的なものまで10程度並べてみて、その中から、具体的な内容と抽象的な内容を織り交ぜて話をすることは、子どもの理解を増すことにつながるように思います。

 話が上手な人の話を、客観的によく聞いてみると、この抽象的な内容と具体的な内容のバランスが絶妙なことに気がつくかもしれません。

 このようにある事柄を抽象的にも具体的も表現できる能力は、教員にとても必要な能力だと思います。

<大切なことは何回も繰り返して話をすること>

 経験の浅い教員の思い込みのひとつに、子どもに一度話したことはきちんと伝わっていると思うことです。

 人間は、それほど利口なものではありません。

 確かに子どもの中には、「一を聞いて十を知る」ような利発な子どももいます。

 しかし、そのような子どもはまれな存在です。

 多くの子どもは、聞いたそばから、聞いたことを忘れてしまうものです。

 ですから、大切なことは、手を変え、品を変え、いろいろな方法で、子どもの耳に20回程度伝えることです。20回程度聞くと、多くの子どもは理解できるようになります。

<まとめ>

 ここに取り上げた以外にも、話し方の工夫はいろいろあります。

 大切なことを話す前には、「一呼吸して、間を開けること」

 子どもが、手遊びできないように、必要でないものは、筆箱の中や机の中などにしまわせること

 あまり大きな声を出さないで、教室の後ろの子どもに聞こえる程度の声の大きさで話をすること

 自分でもいろいろと工夫してみてくださいね。

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 併せて、教員の心得に関するページもお読みください。

けんかした子どもへの対応 教員の心得①に進む内部リンク

1年間の見通し 教員の心得②に進む内部リンク

年度当初にすること  教員の心得③に進む内部リンク

実態を把握する 教員の心得④に進む内部リンク

毅然とした態度 教員の心得⑤に進む内部リンク

時間を守る:教員の心得⑥に進む内部リンク

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