視写指導について知りたいです。
このブログの読者の中には、「視写」について検索される方々がたくさんいます。
そこで、視写指導について違う観点から書くことにします。
今回は、「視写指導:筆速を調べる」ことについて書きます。
視写指導:筆速を調べる
🟠青木幹勇さんの紹介
青木幹勇(あおき・みきゆう)さんという国語の大家がいます。
1908年高知県に生まれ、宮崎県師範学校を卒業されました。
東京教育大学附属小学校などの小学校に勤務されていたこともあります。
文教大学で教鞭をとっておられたこともあります。
青木幹勇さんの書かれた「第三の書く」(国土社・1986年)という本は、青木さんの書かれた多くの著作の中でも特に有名です。
この本で、「書写」を「第一の書く」、「作文」を「第ニの書く」、そしてそれ以外の書く行為、例えば、視写、聴写、感想、要約などを「第三の書く」と位置づけ、「第三の書く」のよさを力説しています。
たいへん良い本ですので、現在、「第三の書く」の復刻版が出ています。
「復刻版 第三の書く」(青木幹勇・東洋館出版社・2020年)です。
本の表紙にも、「読むために書く 書くために読む」と書かれています。
この本は、現在の小学校学習指導要領の国語において、物語文や説明文を3次構成で学習し、1次や2次で学習した物語文や説明文の内容や表現を取り入れて、3次で新聞、説明文、リーフレット、パンフレットなどを作成する学習スタイルの基礎にもなっていると言っても過言ではありません。
高知県土佐郡には、青木さんの業績を讃えて、青木幹勇記念館があります。
青木幹勇記念館のホームページに進む(外部リンク)
🟠視写指導:筆速を調べる
今回は、「第三の書く」が書かれたのと同じ時期に青木幹勇さんによって書かれた「いい授業の条件」(青木幹勇・国土社・1987年)という本から「『書くこと』が新しい国語教室を創り出す」という章から「視写指導」について書かれた部分を紹介します。
青木さんは、この本の中で、「指導に取りかかろうとする時点のクラスの筆者(速度、正しさ」の実態をとらえて、それをスタート」にすることが大切だとしています。
実態調査は、
1 教科書のあるページ(説明的な文章がいい)を開かせる。
2 ノート(中高学年は縦罫のものがよい)を用意させる。
3 教科書の文章(指定の箇所)を視写させる。
4 競争ではない。しかし、乱暴にならない程度で速く書く努力を求める。
5 「用意ー始め」で開始、五分~七分間。(十分間は少し長すぎる。)
6 「止めなさい」でストップ。
7 ちょっと休んで、各自の書いた文字を数えさせる。(仮名、漢字はそれぞれ一字は一字、「、」「。」その他の記号は勘定に入れない。
8 子ども各自に書けた字数を報告させ、教師はそれをノートにとる。
9 計算によって分速のx字をとらえる。(バラつきに注意する。)
10 ものの十分もあればできる調査なので、二か月に一回くらい行って、変容の様子を知り指導に生かす。
青木幹勇・いい授業の条件
🟠私の補足的な考え
<実態調査について>
1、2、3について
①400字の原稿用紙の左側に、指導者が前もって200字の文章を書いたものを用意し、それを写させるという方法や、②縦罫のノートではなく、ますめのノートに写させるという方法もあります。その方が字数を数える時に、数えやすいからです。
4について
競争ではないという考えは賛成です。原稿用紙やますめのノートに書かせるのは、文字はできるだけ枠からはみ出ないように書かせたいからです。「乱暴にならない文字」の代わりに「枠から文字がはみ出ないように書く」という指示の方が具体的なように思います。
7、8、9、10について
子ども自身が自分の書いた文字数を把握するということは大切です。教師がノートに記録するだけでなく、子ども自身にも国語の教科書の目次の現在学習している部分の上辺りに記録させておき、数か月後に再度、調査した時に、自分の視写速度の変容を知る機会をもつようしたいです。
子どもが自分の成長や変容の姿を実感することはとても大切です。
なお、青木幹勇さんの考える視写学習のよさについて、次のページに書いています。併せてお読みください。
視写指導(2)視写の進め方・続け方に進む(内部リンク)
<鉛筆の持ち方>
視写の速さを調べるときに、見てほしいことが2つあります。
1つは、鉛筆の持ち方です。正しい鉛筆の持ち方になっているのかはとても大切です。
最近、鉛筆を正しく持てていない子どもは多いように思います。
もう1つは、鉛筆の筆圧です。鉛筆は軽くもつ必要があります。
時々、力を強く入れて文字を書いている子どもがいます。筆圧が強すぎると、指先がすぐに痛くなって、たくさんの文字を写すことができません。
鉛筆の持ち方については、次のページも参照ください。
作文のすすめ(8)低学年向け(内部リンク)
できるだけ早い段階で、軽く握っても、しっかりした文字で書ける習慣を身につけさせるべきです。
その意味でも、鉛筆の濃さも重要です。私は、大人になってもBをよく使っています。
視写については、次のページも参照ください。
子どもの実態を把握する(2)視写に進む(内部リンク)
視写指導(2)視写の進め方・続け方に進む(内部リンク)
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