校外活動の指導 小学校初任者研修028

初任者研修資料
つばさ
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校外活動の指導の仕方について知りたいです。

 ここでは次の2つのことについて書きます。

 校外活動とは?

 校外活動指導の際の留意点

校外活動とは?

🟠校外活動の種類

 小学校の学習や活動は、基本的には、学校の施設の中の教室、特別教室、体育館、運動場などで行うことが中心です。

 しかし、学校の外に出て、学習や活動をすることがあります。

 具体的には、生活科や社会科などの教科学習や社会見学、遠足や、林間学習・自然教室や修学旅行などの宿泊を伴う特別活動など、目的も行き先も多岐に渡ります。

<生活科や社会科などの学習>

町探検・・自分たちの住んでいる校区を中心に、町を探検することがあります。低学年の場合は、生活科の学習として、中学年の場合は、社会科の学習として取り組みます。校区を中心に、どのような公共施設、商店、公園、神社や寺院、農園、工場、交通機関などがあるかを学習します。

校区安全マップ作り・・校区内の危険な場所を知り、校区マップなどにまとめます。自動車などの通行の多い場所、信号機や遮断機のある場所・ない場所、人通りの少ない場所などを知り、事故や災害などに備え、安全なくらしをするための意識を高めます。

図書館の見学・・国語科の学習です。公立図書館の役割や利用の仕方を学びます。本を借りるためにはどのような手続きが必要か学びます。

消防署の見学・・消防署の役割を学びます。消防署には、大きく予防と消火と救急の3つの役割があります。予防では、火事が起こらないためにどうすればよいか学びます。消火では、実際の消火の方法や逃げ遅れた人のためのはしご車の役割などを学びます。救急では、怪我や病気になった時に、いかに素早く救急車がかけつけるかなどを学びます。

プラネタリウムの見学・・理科の学習です。星や星座、月や宇宙などについて学びます。科学館に併設されていることも多いので、一緒に科学館を見学することもあります。

<遠足>

 多くの学校では、学校行事として、春と秋に実施します。子どもの人数を考えて、1つの学年だけで実施する場合と近くの学年の2学年で実施する場合があります。

 子どもの発達を考えて、6年生と1年生で実施している学校もあります。6年生にはリーダーの資質を1年生にはフォロワーとしての役割を学ばせます。

 同じ理由で、6学年一緒に1つの目的地に行く、全校遠足を実施している学校もあります。

<自然教室・林間学習・臨海学習>

 学校行事の1つです。豊かな自然の中での各種の野外活動等の経験を通して、自然に親しみ、安全な行動や公共心、規律ある集団行動の仕方、責任感や連帯感、安全な生活などを学びます。

 キャンプファイヤー、飯盒炊さん、山登り、オリエンテーリング、川遊び、焼き板作りなどを通して、普段の学校生活では学べないことを学びます。

<修学旅行>

 学校行事の1つです。平素と異なる生活環境で、見聞を広め、自然や文化などに親しむとともに、集団生活の在り方や公衆道徳などについて経験を積みます。学校によっては、広島や長崎などを訪れ戦争について学んだり、農業体験をしたり、地層や化石探しをしたり、さまざまな工夫をしている学校もあります。

<清掃活動>

 ボランティア活動の一環として、学校周りや近くの公園や駅などを清掃することもあります。

<音楽鑑賞・劇鑑賞>

 近くの音楽ホールや劇場に行き、オーケストラなどの演奏を聴いたり、劇団の演劇を鑑賞したりすることもあります。社会貢献活動として、鑑賞の費用を無料にしている音楽団や劇団もあります。

🟠小学校学習指導要領の中の位置付け

 小学校学習指導要領には、「学校行事の目標」について次のように書いています。

 全校又は学年の児童で協力し,よりよい学校生活を築くための体験的な活動を通して,集団への所属感や連帯感を深め,公共の精神を養いながら,第1の目標に掲げる資質・能力を育成することを目指す。

小学校学習指導要領

 ここでいう第1の目標とは、特別活動の目標のことで、そこには、次のように書かれています。

 集団や社会の形成者としての見方・考え方を働かせ,様々な集団活動に自主的,実践的に取り組み,互いのよさや可能性を発揮しながら集団や自己の生活上の課題を解決することを通して,次のとおり資質・能力を育成することを目指す。

(1) 多様な他者と協働する様々な集団活動の意義や活動を行う上で必要となることについて理解し,行動の仕方を身に付けるようにする。

(2) 集団や自己の生活,人間関係の課題を見いだし,解決するために話し合い,合意形成を図ったり,意思決定したりすることができるようにする。

(3) 自主的,実践的な集団活動を通して身に付けたことを生かして , 集団や社会における生活及び人間関係をよりよく形成するとともに,自己の生き方についての考えを深め,自己実現を図ろうとする態度を養う。

小学校学習指導要領

校外活動指導の際の留意点

🟠実施上の留意点

<準備>

 一番大切なのは、事前準備をしっかりすることです。

 施設や交通機関など事前見学を行い、子どもが安心して安全に校外活動に参加できるようにすることが大切です。

 トイレの場所、集まれる場所、時間の配分、移動の距離、雨天時の雨宿りできる場所の確認など、子どもにとって無理がなく、楽しく、学びがいのある活動を提供することが大切です。

 校外活動の目的やねらいをはっきりとさせ、校外活動をすることで子どもに何が身につくのかも押さえておく必要があります。

 見学施設などの担当者、交通機関の担当者などとも連絡を密にとり、計画通りに実施できるようにすることも大切です。

 学級の中に特別支援学級在籍の子どもや車椅子利用の子どもがいた場合、子どもの実態に合わせたエレベーターなどの移動手段方法の確認や手帳を持っているかどうかなどを確認しておく必要もあります。

 手帳については、次のページを読んでください。

手帳についてに進むこのブログにあるページ

<計画書やしおりなどの作成>

 管理職や教育委員会に、「実施計画書」を提出する必要がある場合があります。

 できるだけ、計画は綿密に立て、教員の役割分担も明確にしておく必要があります。

 見学などの際の教員の配置、全体指導の方法、集合の仕方、交通機関の電車などの乗り方や電車の中での過ごし方、水分補給の仕方などについても、教員間で打ち合わせをしておく必要があります。

 子どもや保護者には、「しおり」を作成し、配付する必要があります。校外活動の目的やめあてをしっかり知らせ、意味のある活動にする必要があります。

 準備物などについても、前もって知らせておく必要があります。もし、お弁当が必要な場合は、保護者の勤務の予定などもありますので、余裕をもって知らせておく必要があります。

 交通機関への予約や、交通費などが必要な場合は、事務職員へ連絡し、前もって出金しておいてもらう必要もあります。

<子どもへの事前指導>

 しおりなどを使って、事前することが大切です。

 交通機関の利用の仕方(乗り方、中では黙っていること、座席が空いている場合座っていいのかどうかなど)、歩き方、横断歩道の横断の仕方、列の整え方、しんどい時や怪我をした時の連絡の仕方、集団行動の約束事項など、子どもの発達段階や実態に合わせて、指導することが大切です。

 以前、遠足の付き添いをした時に、1年生の担任の先生が、電車に乗った子どもを、きれいに2列に整列させ、電車が揺れた際にも踏ん張って立たせている姿を見たことがあります。

 かと思えば、高学年でも、電車の中でおしゃべりしたり、遊んだりしている学級もあります。

 教員が、子どもを普段からどう育て、公共心をどう育てようとしているのかが、このような場面に端的に表れます。

 事前にていねいに説明しておくことが大切です。

<当日の留意点>

 職員室の黒板などに、在籍数、参加人数、不参加者の名前などを明確に示しておく必要があります。

 万が一のことが起こった際に、学校とどう連絡を取るのかを管理職などと相談しておく必要があります。

 交通費や施設利用費などが必要な場合は、誰が管理し、支払うのかを明確にし、付き添いの教員などの手伝ってもらう場合は、きちんとお願いする必要があります。

 特別支援学級在籍の子どもの利用料に違いがないかも確認が必要です。

 移動や交通機関などの利用に関しては、安全に留意することが大切です。

 担任は、先頭を歩くことが多いですので、どの程度の歩く速度であれば、上手に歩くことができるのかを、前だけでなく、絶えず後方にも目を配り確かめる必要があります。

 付き添いの教員の中には、絶えず子どもの動向に注意し、歩行の際には、横断歩道の横につき、子どもの安全確保をし、終わったら、次の横断歩道に向けて走ってくださる方もいます。

 全体に目を配り、子どもをどう把握できるかどうかは、とても大切なことです。

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