新任教員翼くんの日々(012)坂本良晶さんの本

新任教員翼くんの日々
つばさ
つばさ

坂本良晶さんの本に感銘しました。

 翼です。

 冬休みの間に、教育書をいくつか読みました。

 その中で、秀逸だと思ったのは、京都府公立小学校の教員をされている坂本良晶さんの書かれた『さる先生の「全部やろうはばかやろう」』(学陽書房・2019年)という本です。

坂本良晶さんの書かれた本

 坂本さんの第一の主張は、「教育の生産性を上げて5時に帰るために!」仕事のやり方を変えていこうということです。

 多くの教員の日常はとても忙しくて、なかなか勤務終了時刻の5時に帰ることなんてできません。

 でも、坂本さんは、仕事のやり方を変えて、教育の生産性を上げていくことが大切だとされています。

 ただ教員の仕事はたいへんだと嘆いているのではなくて、自分の仕事のやり方を見つめ直し、子どもの力を育てるという教育の本質を大切にしながらも、仕事への取り組み方を変えていこうとされています。

 この本の中には、かなり具体的な仕事への改善方法が書かれていて、参考になることがたくさんありました。

 私が普段している仕事のやり方とは随分違います。

 その1つがテストの採点の仕方です。

 この「新任教員翼くんの日々」の中でも「テストの採点」について書いています。

新任教員翼くんの日々(006)テストの採点に進む内部リンク

 坂本さんのすすめる「採点」の仕方は次の通りです。

 1人めの子どもが提出したら、いざ採点スタート。丸は基本的にはつけません。正解は『・』、間違った場所は『✔︎』、そして100点だったら大きく赤丸をつけます。これは、教師にとっての「時短」、子どもにとっての「見やすい」というメリットが双方にあります。これがツイッターで動画が2万回以上再生されるなど話題を呼んだ、丸付け界王拳です。

 なお、右利きの場合、問題順を問わず、左から採点していくと、自分の手で問題が隠れないので、より速くなります。特に漢字50問テスト等、問題数が多い場合に有効です。

さる先生の「全部やろうはばかやろう」

 坂本さんのツイッターは、次のところ見ることができます。

坂本さんのツイッターに進む外部リンク

 このような教員としての仕事の考え方や仕事の方法などが具体的に書かれていますので、とても参考になります。

 このような改善の仕方をしていくと、勤務終了時刻の5時に仕事を終えて、家に帰るというのも決して不可能なことではないということがわかります。

 教員には、自分なりのポリシーや仕事の流儀があるでしょうし、仕事に対して大切にしていることもあるでしょうけれども、他の教員の仕事のやり方で参考にできることはどんどん自分に取り入れていくことは大切だと思います。

 坂本さんの本には、次のような箇所もあります。

 教材研究の生産性を上げる~車輪の再発明をしない

 車輪の再発明という言葉があります。これは、既にある人が発明したものを、他の誰かが再度発明するということを指したものです。初めに発明した人から設計図を借りれば短時間で作れたにも関わらず、それをしなかったために長い時間をかけてしまったのです。

 学校現場では、往々にしてこのようなことが起こりがちです。世の中にはたくさんの教育実践が既に存在しています。それらの情報へアクセスすることで、より短い時間で、より効果の大きい学習のデザインができるはずです。もちろん、目の前にいる子どもに合わせることは大切です。だからといって、それは闇雲に試行錯誤することとは違います。

 たとえば、計算力や集中力を高めさせたいなら陰山メソッドの100マス計算が、跳び箱を跳ばせたいなら向山式指導法が有効でしょう。企業でも誰かが開発した良い方法は社内でシェアされます。同じように「株式会社 公教育」として、先人の方が開発した方法を活用していくべきです。

さる先生の「全部やろうはばかやろう」

 坂本さんのこの考えには大いに共感します。学ぶの語源は、真似るだという話を聞いたことがあります。1872年(明治5年)に学制が定められてから、日本の公教育の歴史は、150年以上あります。その間に、たくさんの有効な教育実践が行われ、よい教育実践は公開されてきています。

 それらの叡智を、目の前の子どもの実態の合わせつつ、活用していくことは、とても大切なことのように思います。

 坂本さんの本に書かれたことも参考にしながら、身近にいるよい先輩教員の指導法、教育書に書かれた指導法やインターネ上に公開されている指導法などを、参考にしてよい授業をしていきたいなと思いました。

(続く)

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