研究の目的:修士論文02

修士論文
つばさ
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今回は、修論の研究の目的についてです。

 修士論文の2回めです。

 今回は、「研究の目的:修士論文02」についてです。

研究の目的:修士論文02

🟠研究の目的:修士論文01 

 では、早速、この修士論文の「第1章 研究の目的と方法」の「第1節 研究の目的」について紹介します。 

<第1節 研究の目的>

 これまでの国語科の学習においては、「文学的な文章の詳細な読解に偏りがち」(※1)でした。指導法においても、「三読法」(※2)、「一読総合法」(※3)、「分析批評」(※4)などというような指導法がたくさん存在するように、読解の仕方に重きを置いた研究や実践が重ねられてきました。確かに、「読むこと」に重きを置いた国語科学習にも一定の成果がありました。

 しかし、これからの国語科においては、国際化、価値の多様化という社会の変化を受け「話すこと・聞くこと」というコミュニケーション能力の育成を目的とした授業改善の必要があると考えます。

 現在日本には、多くの外国人や海外に移民した人たちの2世や3世たちが定住労働者として働いています。当然それらの家族も、日本で暮らすことになります。(※5)しかし、それらの人々の価値観は一般の日本人のもつ価値観とは違うことが多いです。

 また、野茂英雄さんや中田英寿さんなどのスポーツ選手が海外で活躍するように、世界中で働く日本人も多く、その子どもたちも帰国後日本の社会の中で暮らすことになります。海外で暮らした帰国子女の価値観もまた一般の人々の価値観と大きく違います。

 年々海外旅行をする人の数が増え、世界はますます狭く人々の行き来は激しくなります。人々が行き交えば行き交うほど、既存の日本人がもつ考えや価値観とは違う考えや価値観をもった人々と身近なところで接するようになります。異なる文化をもつ人と接する際に、必要なのは「話すこと・聞くこと」というコミュニケーション能力です

 異文化の人々との交流だけでなく、同じ日本人の中でも、いじめ、不登校などの問題が起こってきています。これらの解決に一役買うのも「話すこと・聞くこと」というコミュニケーション能力です。

「話すこと・聞くこと」という音声言語能力を育てることで、これから子どもが大人になる過程の中でぶつかる問題に、主体的に対処していけるのではないと考えます。

 しかし、これまで、日本の国語教育の中で、「話すこと・聞くこと」という音声言語に関する関心は、あまり高いものではありませんでした。今回の新学習指導要領(※6)の中で、新たに「話すこと・聞くこと」の領域が新設され、1番目に明記されたことからみても、「話すこと・聞くこと」に対する関心は高まりつつあります。しかし、まだまだ一般の教師の意識の中では、どのように「話すこと・聞くこと」の学習を進めたらよくわからないというのが本音でしょう。

 本研究においては、先行の実践に学びつつ、子どもに「話すこと・聞くこと」といったコミュニケーション能力を育てる上で基本となる授業づくりの観点を考えていく。そして実際に授業を実践する中で、授業づくりの観点の是非について考えてみたいです。

<第1章 第1節の※の解説>

(1)教育課程審議会が平成10(1998)年7月に答申した「幼稚園、小学校、中学校、高等学校、盲学校、聾学校及び養護学校の教育課程の基準の改善について」の中で国語科の「改善の基本方針」に次のような記述があります。

小学校、中学校及び高等学校を通じて、言語の教育としての立場を重視し、国語に対する関心を高め国語を尊重する態度を育てるとともに豊かな言語感覚を養い、互いの立場や考えを尊重して言葉で伝え合う能力を育成することに重点を置き、内容の改善を図る。特に、文学的な文章の詳細な読解に偏りがちであった指導の在り方を改め、自分の考えをもち論理的に意見を述べる能力、目的や場面などに応じて適切に表現する能力、目的に応じて的確に読み取る能力や親しむ態度を育てることを重視する。(赤い部分は引用者による

幼稚園、小学校、中学校、高等学校、盲学校、聾学校及び養護学校の教育課程の基準の改善について

(2)三読法とは、市毛勝雄さん(1998年 国語科教育の授業改革論 明治図書 P25)によれば、「通読・精読・味読という指導段階を経て、文章の理解に達しようとする指導法」であり、20世紀を代表する国語の授業理論の一つです。  

(3)一読総合法とは、市毛勝雄さん(同 P31)によれば、「児童言語研究会が三読法の段階的読みの実践・理論を批判し、主体的な読みの指導法として提唱している授業方式」であり、三読法と同じく、文学的な文章を精密に指導するのに威力を発揮した指導方法です。

(4)分析批評とは、小西甚一さんが提唱した批評方法を、小学校の国語科の授業の中に取り入れ、昭和60(1985)年頃から法則化運動とともに一部の教師の間に熱心に取り組まれた方法です。

(5)平成12(2000)年5月発表の「法務省入国管理局」の資料によれば、『平成11年末現在における外国人登録者数は 155万6,113人で過去最高を更新しています。この数は,平成10(1998)年末に比べると、4万3,997人(2.9パーセント),5年前の平成6(1994)年末に比べ、20万2,102人(14.9パーセント),10年前の平成元(1989)年末に比べ、57万1,658人(58.1パーセント)増加している。』

 また、『外国人登録者数の我が国の総人口に占める割合は,我が国の総人口1億2,668万6,324人(総務庁統計局の「平成11(1999)年10月1日現在推計人口」による。)の1.23パーセントに当たる。』実に全人口の1%以上が外国人なのです。

 ここでは、さらに、2023年現在の実態を加えることにします。

 令和4(2022)年末の在留外国人数は、307万5,213人(前年末比31万4,578人、11. 4%増加)で、過去最高を更新しています。初めて300万人を超えました。

 外国人登録者数の我が国の総人口に占める割合は,我が国の総人口は1億2494万7千人(総務庁統計局の「令和4(2022)年10月1日現在推計人口による。)の2.46パーセントに当たります。現在、日本には、50人に1人が外国人の方が住んでいることになります。

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