母親ノート法(1)母子の会話パターン 親子関係

親子関係
つばさ
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母子の会話の2つのパターンについて知りたいです。

 親子関係は時にはむずかしいことがあります。

 今回は、「母子の会話パターン」を中心に書きます。

母親ノート法:母子の会話パターン 

🟠母親ノート法:母子の会話パターン

<母親ノート法とは?>

 母親ノート法というのは、臨床心理学者で、臨床心理士で、カウンセラーでもある東山紘久氏が、「母親と教師がなおす登校拒否ー母親ノート法のすすめ」という本(創元社・1984年)の中で紹介されている方法です。不登校の子どもを主に、母親や教師などが家庭で治療する方法について書かれています。

 東山紘久氏は、この本の中で、「登校拒否は心の病気である」と書かれています。

登校拒否は心の病気であるに進む内部リンク

 不登校や登校拒否の子どもを治療することのむずかしさの1つに、多くの不登校や登校拒否の子どもが家庭から出たがらないということがあります。

 専門のカウンセラーなどに援助を求めようとしても、家を出たがらないので、直接その子どもたちに対して、カウンセラーが直接対応することはとてもむずかしいです。お医者さんの場合、訪問診療という方法もあるのでしょうが、カウンセラーの訪問対応というのはあまり聞いたことがありません。たとえ、カウンセラーが訪問しても会いたくないと断られるのが関の山です。

 今回から、母親ノート法について少しずつ紹介しながら、一般の親子関係でも使えような考え方について、私なりの解釈を加えて紹介します。

<散歩で出会う母子の姿>

 私は、よく散歩をします。散歩の途中で、公園などを通りますと、母親と子どもが遊んでいることに出くわすことがあります。小さな子どもと母親が一緒に遊んでいる姿を見ると、それだけでとても嬉しくなります。子どもは、小さく1つ1つの仕草や動きがとても可愛いです。

 昼間に散歩していると、父と子よりも母と子に出会うことが多いです。

 そのような母子の動きは、大きく2つに分かれます。1つは、子どもの動きやペースに合わせて、その後を母親がゆっくりとついていくパターンです。もう1つは、母親が主にすることを決め、子どもがそれに合わせて行動するパターンです。もちろん、そのパターンは、決まったものではなく、時には子どもがリードし、時には母親がリードするというのを交代して遊んでいることも多いと思います。

 同じように、時折、自転車に乗った親子を見ることもあります。母親のママチャリに乗せられた子どもではなく、母親と子どもがそれぞれに自転車に乗っている場面です。このような場面でも、2つのパターンがあります。先頭が、母親なのか、子どもなのかということです。本当は、横に並んで進むことができたらいいのでしょうが、他の通行人や自転車の邪魔になりますから、どちらかが先頭になることが必要です。このような場合に、先頭になるのが、母親か子どもかが家庭によって違うと思います。

 道がわからない場合は、親が先頭に立つ方がお互いに楽なのかもしれません。しかし、個人的には、このような場合でも私は、行き先を伝えながら後ろからついていく方が好きです。理由は簡単です。後ろから子どもの動きを観察し、安全を見守りながら、子どものペースで動くことができるからです。

 あなたは、子どもが先と、親である自分が先、どちらが多いですか?

<会話のパターン>

 東山紘久氏は、本の中で、会話のパターンには、2種類あると書いています。引用します。

 会話には二種類あるSパターンの会話(標準パターン、Standard communication pattern)とTパターンの会話(治療的パターン、Therapeutic communication pattern)の二種類である。おそらく母ー子、教師ー生徒、先輩ー後輩、など上下関係、教える方と教えられる方、などの関係があると、一般には、Sパターンの会話がほとんである。また、ごく日常の会話パターンは、Sパターンであり、これが、その関係によって、話者間で交互にくり返される。

母親と教師がなおす登校拒否ー母親ノート法のすすめ

 では、Sパターンの会話、Tパターンの会話とはどのような会話なのでしょうか?

 Sパターンの会話とは、「母が話し、子どもが答えるような会話で、母親主導型の会話パターン」です。

 Tパターンの会話とは、「Sパターンと逆で、子どもの方が話し、母親がそれに答えるような会話で、子ども主導型の会話パターン」です。

 先程の私の親子の関係を観察して書いた親子の行動と似ていることに気づかれたでしょうか?

 会話では、多くの場合、親が先に始めることが多いです。親子の行動でも、親がリードすることが多いのかもしれません。

 それは、なぜでしょうか。理由は簡単です。子どものペースに合わせて行動することはとても時間がかかるからです。親が自分のペースで会話や行動をし、子どもにそれを合わせるようにさせた方が、親は時間もかからず簡単だからです。

 このような親中心の生活のパターンが登校拒否の子どもをうむ1つの要因になっていると、東山紘久氏は考えます。

 そこで、登校拒否ないし不登校に陥っている子どもに対する親の具体的な手立てとして、次のような提案をします。

 今日から、登校拒否を起こしている子どもに対して、Sパターンの会話をやめて、できるだけTパターンの会話をしていただきたい。本当は、すべての会話をTパターンでやっていただきたいのであるが、これが案外むずかしい。学生に実験的にやらせて、できる人は、百人中、数人である。われわれはそれだけ、日頃Sパターンになれている。健康な時はそれでよい。しかし、精神的な悩みをいだいている人との会話を、治療的にするには、Tパターンがぜひとも必要となる。Tパターンに気をつけると、会話がぐんと少なくなるであろう。それでよいのである。

母親と教師がなおす登校拒否ー母親ノート法のすすめ

<生活にTパターン会話を活かす>

 多くの家庭で、子どもが不登校になっているわけではありません。多くの子どもは、親中心の家族関係でもまったく問題なく楽しく過ごしています

 しかし、時には、この子ども中心のTパターンの会話や、子ども中心の行動に親が合わせるという方法を親子関係に取り入れるのも大切だと思います。

 私は、このブログでもイラストを描いていただいているぺるこさんのブログやTwitterをよく見ることがあります。そこでは、子どもとの日常を写真やイラストを交えて紹介されています。

ぺるこ子育ち絵日記に進む外部リンク

ぺるこさんのTwitterに進む外部リンク

 時折、保育所からの帰り道に、お嬢さんの「ちゅちゅたん」さんに付き合って、寄り道をされることが書かれていることがあります。とても素晴らしいなあといつも思います。

 保育園に行くときは、開園時間も決まっているでしょうし、ぺるこさん自身も職場に遅刻しないようにしなければいけません。時間はあまりありませんので、急いで行くことになります。

 しかし、その途中でもできるだけ子どものペースで登園されています。

 家と保育園との行き帰りの途中で、ちゅちゅたんの好きな電車が通るのをずっと見ているのに付き合ったり、工事現場でおじさんたちが工事をしている姿をにこにこ見ているちゅちゅたんを、横で同じようににこにこしながら見ているぺるこさんの様子が子どもへの愛情たっぷりに紹介されています。とてもいい親子関係だなと思います。

 子どもに自由に行動できるような自主性を育てるためには、親や保護者、家族などの子どもが絶対に信頼できる人がそばにいて、その人がそこにいる安心感の中で、少しずつ冒険の旅に出ることを繰り返すことだ、というようなことを聞いたことがあります。

 親子関係は時にはむずかしいことでもあります。最近の旧統一教会の問題のニュースを見ていても、そう思います。親子関係は、基本的には、愛し合い、認め合う関係なのですけれども、時には、ちょっとしたことが、憎み合い、反発し合うきっかけになることもあります。

 子育てに悩まない人は少ないと思います。子育ての1つとして、普段の会話のパターンや行動のパターンを見直すことが、役に立つこともあると思います。

 ただ、1人で解決しようと焦らないでください。必要な支援が受けられる場合は、援助を求めた方がいいです。学校の先生が協力してくれるかもしれません。友だちが愚痴を聞いてくれるかもしれません。Twitterなどで自分の思いを吐露されている方もたくさんいます。

 私でよければ、協力します。いつでも、「お問い合わせ」からご連絡ください。愚痴をお聞きするぐらいの協力はできます。また、専門的な協力を求めたい場合は母親ノート法(5)を先に、読みください。専門家の連絡先がいくつか書かれています。

 できれば、母親ノート法(2)以降も時間がある時に、続けてお読みください。

 なお、東山紘久氏「母親と教師がなおす登校拒否ー母親ノート法のすすめ」という本は、次のところで購入できます。

この本が購入できるページに進む外部リンク

⭐️ ⭐️

 関係する次のページもお読みください。

母親ノート法(2)快・不快と評価基準に進む内部リンク

母親ノート法(3)議論しないことに進む内部リンク

母親ノート法(4)説教しないことに進む内部リンク

母親ノート法(5)否定的感情の処理に進む内部リンク

母親ノート法(6)代弁しないことに進む内部リンク

母親ノート法(7)要求をきくことに進む内部リンク

母親ノート法(8)親の心、子どもの心に進む内部リンク

母親ノート法(9)戸惑う親の心に進む内部リンク

母親ノート法(10)不登校の理由に進む内部リンク

母親ノート法(11)教師の思いに進む内部リンク

登校拒否は心の病気であるに進む内部リンク

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 お子さんが不登校のまあささんの書かれた本の紹介

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