母親ノート法(10)不登校の理由 親子関係

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つばさ
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不登校の理由ってわかっているんですか?

 親子関係は時にはむずかしいことがあります。

 残念なことに、子どもが不登校になった場合、教員としてできることはあまり多くありません。

 今回は、「母親ノート法:不登校の理由」について書きます。

母親ノート法:不登校の理由

🟠不登校の理由

<不登校の子どもへの教員の思い>

 教員をしている時に、何人かの不登校の子どもを担任したことがあります。

 担任している途中などに、子どもが不登校になることもありましたし、担任をする以前から子どもが不登校の場合もありました。

 そのような時、担任や教員としてできるだけのことをしたいといつも思っていました。

 いろいろな対応をすることで、子どもが学校に来るようになることもありました。

 残念ながら、そのまま不登校が続くこともありました。

 子どもが不登校になった場合に、初めに考えることは、担任している自分や学校の対応が子どもが不登校になる原因やきっかけを作っていないかということです。

 教員になる以前の大学生の頃から、登校拒否や不登校に関する学習はしていましたので、学校や教員だけが不登校の原因ではないということは知っていました。

 ただ、全く担任している自分に原因がないとも言い切れないともずっと思っていました。

 自分の不注意な言動が子どもを傷つけ、子どもが学校に行きたくないと感じているのではないかということを感じることもありました。

 担任している子どもが次々に不登校になるわけではありませんから、そのようなことはないと思います。しかし、自分の指導法や子どもへの対応の仕方に対して、絶対的な自信をもっている教員はそれほど多くないように思います。

 その上、子どもは、親や保護者に理由を聞かれると、とりあえず一番答えやすそうな学校に関係する何かを理由としてあげることは珍しくありません。 

<不登校の原因>

 不登校の理由は、子どもによって様々です。

 東山紘久氏は、「母親と教師がなおす登校拒否ー母親ノート法のすすめ」(創元社・1984年)という本の中で、次のように書いています。

 親や教師は、学校へなぜ行かなくなったのかの原因を本人に聞いたり、捜そうとするが、直接的な原因は、表面的には、例えば、「いじめられた、友人とうまくいかない、勉強がわからない、体育がうまくやれない」などと答えるが、真の原因は不明である。これを本人に聞いても答えられず、それ故、原因を捜す大人を警戒し、拒否する。原因は本人にも実際のところ、わからないのである。そんなばかなことがと、思われるかもしれないが、大人にしても、何故こんなふうに、夫婦の関係が冷たくなってしまったのかが分からないことなど、多くあるのと同じである。多くの治療体験から、その原因をあえて一般化して述べれば、それは、本人の素因、家庭的要因、社会的要因の相互作用により、自立不全(未成熟)と言えるかもしれない。

母親と教師がなおす登校拒否ー母親ノート法のすすめ

 この引用の中にも、「いじめられた、友人とうまくいかない、勉強がわからない、体育がうまくやれない」などと学校に関係する理由が書かれています。

 不登校の原因が親子関係や家庭にあったとしても、逆に、親子関係や家庭にあった場合であればなおさらのこと、子どもは親や保護者や家庭を原因としてあげることはありません

 以前、不登校の子どもへの治療への事例を読んでいて、驚いたことがあります。

 不登校になったある子どもは、ある時、両親のセックスの場面を見てしまったことがあるそうです。幼かった子どもは、その場面を見て、父親が母親を殺そうとしていると思い込んでしまったそうです。その子は、自分が学校に行っている間に、母親が父親に殺されないように、見張るために不登校になったそうです。

 このような場合に、子どもが自分の不登校の理由をいうことはまずありません。

 この事例は、不登校の理由として非常に極端な例だと思います。

 しかし、子どもに不登校の理由を尋ねたとしても、子どもがきちんとその理由を答えるとは限りません。

 信頼関係がある親子関係でもそうです。

 人間の心はとても不思議なものです。

 私たち人間は、なかなか本当のことを言えないことも珍しくありません。

 誰かを好きになったからといって、素直に「○○さんのことが好きです」とは言えないことも多いです。

 自分が好きなのに、相手は自分のことそれほど好きではないかもしれないからです。拒絶されることがこわいからかもしれません。

 言葉にできない場合、私たち大人でも、行動や態度で気持ちを表すことがあります。腹を立てている時に、無視したり、顔を歪めたり、大きな音をわざと出すこともあると思います。

 子どもは、言葉にできない何かを訴えたくて、不登校という行動で、親や保護者や担任などの大人に伝えているのかもしれません。

 残念なことに、東山氏によると、不登校(登校拒否)の真の原因は不明である。これを本人に聞いても答えられず、それ故、原因を捜す大人を警戒し、拒否する。原因は本人にも実際のところ、わからない」そうです。

 子どもの不登校の本当の理由は、子どもの行動をしっかり見つめつつ、言葉にしっかり耳を傾け、親や保護者や担任などの大人がさがしていくしかないのかもしれません。

⭐️   ⭐️

 母親ノート法については、次のページにも書いています。

母親ノート法(1)母子の会話パターンに進む内部リンク

母親ノート法(2)快・不快と評価基準に進む内部リンク

母親ノート法(3)議論しないことに進む内部リンク

母親ノート法(4)説教しないことに進む内部リンク

母親ノート法(5)否定的感情の処理に進む内部リンク

母親ノート法(6)代弁しないことに進む内部リンク

母親ノート法(7)要求をきくことに進む内部リンク

母親ノート法(8)親の心、子どもの心に進む内部リンク

母親ノート法(9)戸惑う親の心に進む内部リンク

母親ノート法(11)教師の思いに進む内部リンク

 東山紘久さんの言葉については、次のところでも書いています。合わせてお読みください。

登校拒否は心の病気であるに進む内部リンク

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