基本的な指導の流れ 理科の指導(1)

理科の学習
つばさ
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理科の基本的な授業の進め方が知りたいです。

 中学年になると、理科の学習が始まります。

 今回は、理科の「基本的な指導の流れ」について書きます。

基本的な指導の流れ 理科の指導(1)

🟠理科の指導の基本的な流れ

<理科の目標>

 現行の小学校学習指導要領では、「理科」の目標が次のように書かれています。

 自然に親しみ,理科の見方・考え方を働かせ,見通しをもって観察,実験を行うことなどを通して,自然の事物・現象についての問題を科学的に解決するために必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

(1) 自然の事物・現象についての理解を図り,観察,実験などに関する基本的な技能を身に付けるようにする。

(2) 観察,実験などを行い,問題解決の力を養う。

(3) 自然を愛する心情や主体的に問題解決しようとする態度を養う。

小学校学習指導要領 理科

 簡単に言いかえると、「自然のふしぎさについて知り、実験や観察を通して解決する力を育てる」ということです。

<基本的な指導の流れ>

 理科の時間は、座学を取り入れながらも、実験や観察を取り入れた活動的な時間です。

 教室で、自然界のふしぎについて、疑問をもち、それを解決するために、予想した上で、観察したり実験したり、考えたりしながら、自然のふしぎを読み解いていくようにします。

 理科の学習は、小学校では、3年生から6年生が学び、3年生では90時間、4年生から6年生では、105時間学ことになっています。

 典型的な理科の学習は、「問題→予想→実験→結果→考察という形で進めむことが一般的です。この学習の形を、教師も子どもも意識して理解しておくことは大切です。

 ですから、多くの学級では、括弧内にある「問題」「予想」「実験」などのカードを用意し、黒板に貼っておき、どのように学習を進むのか意識させることも多いです。

 先程あげた理科の時間の基本的な学習の流れは、次の通りです。

0.指導者が、その時間に学ばせたい内容を決める。

1.自然界のふしぎなことについて疑問をもつ。

2.疑問を解決するための実験や観察の方法を考える。

3.予想を立てる。

4.実験や観察をする。(必要に応じて記録をとる。)

5.実験や観察の結果を知る。

6.実験や観察を通して分かったことを考察し、まとめる。

<0.指導者が、その時間に学ばせたい内容を決める>

 本来は、子ども自身が、自然界のふしぎについて疑問をもち、解決したいと強く思うことが大切なのだと思います。しかし、それぞれの子どもが疑問を待っていると、授業は計画通り進みません。

 そこで、指導者である教員が授業の内容を決めることになるのですが、子どもが疑問をもてるように、上手な導入の工夫をすることも必要です。

 とはいえ、いつもいつもいい導入が思いつくわけではありませんで、さっと問題に入ってもいいと思います。

<1.自然界のふしぎなことについて疑問をもつ>

 多くの学級では、教科書に出てくる問題を教員がさっと提示する形で、授業は進んでいくことが多いのだと思います。

 しかし、3年生の「チョウを育てよう」という単元の学習に対して、

A:モンシロチョウはどのように育つのかな?

と教員が疑問を出す方法は、極めて一般的な方法です。

 しかし、時には、子どもにチョウなどの虫について疑問に思うことは何かたずね、ノートに書かせるなどした上で、

B:チョウは、どんな所にたまごをうむのかな?

C:よう虫は何を食べるのかな? 

D:さなぎになるまでどのくらいの時間がかかるかな?

というような子どもの疑問をもとに、授業を進める方法を模索することも大切なのかもしれません。

2.疑問を解決するための実験や観察の方法を考える

 多くの場合、これも教員が提案することになると思います。

 できる範囲で子どもの考えを取り入れることは大切です。

<3.予想を立てる>

 予想を立てることは、とても重要です。なぜそう思うのか、子ども自身に予想や、その理由を考えさせることは、とても大切です。

 とはいえ、多くの子どもがさっと予想やその理由を思いつくわけではありません。

 時には、教員自ら、いくつかの予想を提示し、選ばせるという方法も有効です。

 予想を板書に書き出し、どのようになると思うか、子どもは自分の考えと同じところに、自分の名前カードを貼らせた上で、意見の交換をするという方法もあると思います。

名前カードの活用に進む内部リンク

 教員が問題を提示した後、それに対していくつかの予想も提案した後、なぜそう思うのか話し合わせる指導法板倉聖宣さんが提唱した「仮説実験授業」という方法があります。

 詳しく知りたい方は、仮説社の「たのしい授業」や「授業書」などの書籍をご覧ください。

仮説社 ONLINE SHOPに進む外部リンク

<4.実験や観察をする>

 教師ひとりが師範実験をする場合もあるでしょうが、実験や観察で大切なことは、できれば子ども自身に実験や観察をさせることです。

 グループで実験をする場合でも、きちんとグループの数の実験の準備をしておくことが大切です。

 1学期に行うことの多い植物の実験などでは、実験や観察にふさわしい条件の合うものを必要な数そろえることがなかなか困難なのですが、できれば、そろることができたらと思います。

 費用はかかりますが、子ども全員が実験や観察ができるように、教材屋さんが販売する実験セットなどを買うというのも選択肢に入ると思います。

 実験の準備などは、学年で協力してすることも大切だと思います。

<5.実験や観察の結果を知る>

 子どもが行う実験や結果は、思ったとおりに進まないことも多いです。そのような場合、必要に応じて、実験の様子や実験の結果がよくわかるようにまとまっている教科書やNHKなどの動画を見ることもとても効果的です。

 特に、NHKが公開している「NHK for school 」は、実験の一部だけを細かく紹介する動画も多数用意されていますので、上手に活用することで、子どもが行った実験や観察の失敗をカバーすることができます。

NHK for school 情報教育に進む内部リンク

NHK  for  Schoolのホームページに進む外部リンク

6.実験や観察を通して分かったことを考察し、まとめる

 学習の最後は、まとめをします。

 学力の定着を図るためには、とても大切な学習です。

 子ども自身の言葉で、分かったことをまとめたり、感想を書いたりする時間をもつことも大切です。

 単元テストをする前には、その単元でわかったことをノートにまとめる時間を設定するようにしたり、NHK for school などの動画を通して見せたりすることもよいと思います。

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 他の教科の授業の流れなどは、次のページをお読みください。

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問題解決学習に進む内部リンク算数の授業の進め方の一例

物語文の指導の仕方(5)1時間めの指導に進む内部リンク

説明文の指導(4)1次の指導 題名読み・計画作りに進む内部リンク

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