特別支援教育の変遷

特別支援教育
つばさ
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特別支援教育について知りたいです。

 小学校には、様々なタイプの子どもがいます。

 その子どもの中には、特別な教育的ニーズを必要とする子どもがいます。

 今回は、「特別支援教育変遷」について書きます。

特別支援教育の変遷

🟠特別支援教育について

<特殊教育から特別支援教育へ>

 2007年(平成19年)4月から、「特別支援教育」が学校教育法に位置付けられました。

 それまでは、特殊教育という名称で、「視覚障がい・聴覚障がい・知的障がい・肢体不自由・病弱」という5つの障がい種別に分かれていましたが、「特別支援学校」という枠組みに統一され、複数の障がいに対応した教育も行うことができるようになりました。

 また、対象の障がいに、知的発達の遅れのない発達障がいも含めて、特別支援学校に限らず、すべての学校において、特別な教育的ニーズを必要とする幼児児童生徒の支援をさらに充実していくこととなりました。

 また、特別支援学校の役割が、障がいのある子どもへの専門的な教育機関であるという位置づけに加えて、「特別支援教育のセンター的機能」を有するようになりました。

センター的機能」については、2017年(平成29年)に文部科学省が作成した発達障害を含む障害のある幼児児童生徒に対する教育支援体制整備ガイドライン」において、次のように書かれています。

センター的機能の具体的内容としては,次のようなことが求められます。

・各学校の教職員への支援機能

・各学校の教職員に対する研修協力機能 

・特別支援教育に関する相談・情報提供機能 

・個別の指導計画や個別の教育支援計画等の作成への助言など,児童等への指導・支援機能

・教育,医療,保健,福祉,労働等の関係機関等との連絡・調整機能 

・児童等への施設設備等の提供機能 等

発達障害を含む障害のある幼児児童生徒に対する教育支援体制整備ガイドライン

発達障害を含む障害のある幼児児童生徒に対する教育支援体制整備ガイドラインに進む外部リンク) 

<特別支援教育の背景>

 このように特別支援教育へと名称が変えられ、特別な教育的ニーズが必要な子ども全てに支援を行うようになったのは、世界的な考え方の変化があります。

 1つは、ノーマライゼーション推進の流れがあります。

 ノーマライゼーションとは、1960年代に北欧で発祥した概念です。障がいのある人が障がいのない人と同等に、当たり前に生活できるような社会の実現へ向けての取り組みのことです。

 ノーマライゼーション(normalization)には、「標準化」「正常化」という意味があり、それまで特別に行われていたものを一般化していくという考え方を示しています。

 元々は社会福祉の用語であり、 障がい者や高齢者といった社会的な弱者に対して特別視しないで誰もが社会の一員であるといった捉え方をするのがノーマライゼーションの考え方です。

 もう1つは、共生社会実現の流れです。

共生社会」とは、性別や年齢、障がいの有無などにかかわらず、一人一人が積極的に参加・貢献できる社会のことです。それは、誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合い、人々の多様な在り方をお互い認め合える全員参加型の社会のことです。

 そして、共生社会を実現するための手段の1つに「インクルーシブ教育があります。

「インクルーシブ(inclusive)」には「包括、包み込む」の意味があります。障がいの有無によって学ぶ場所を分けるのではなく、すべての子どもを包み込み、その中で共に学ぶこと、共生することによさを見いだしています。

 インクルーシブ教育は、1994年(平成6年)、UNESCOの国際会議で「Education for All(万人のための教育)」が提唱されたことが始まりです。この提唱により、世界的にすべての子どものための教育を目指す動きが広まりました。

<法律の整備>

 このような世界的な動きを受けて、日本でも、さらに法律が整備されました。

 2011年(平成23年)8月に、「改正障害者基本法」が施行されました。

 この法律では、次のようなことが求められています。

・十分な教育が受けられるようにするために、可能な限り、共に教育を受けられるよう配慮しつつ教育の内容及び方法の改善・充実をはかる

・本人や保護者の意向を可能な限り尊重する

・交流及び共同学習の積極的な推進を行う

改正障害者基本法<わかりやすい版>に進む外部リンク

 さらに、2016年(平成28年)4月には、「障害者差別解消法」が施行されました。

 この法律では、障がいのある人に対して「合理的配慮」の提供をすることが求められるようになりました。

合理的配慮」とは、障がいのある人が障がいのない人と平等に人権を享受し行使できるように、1人1人の特徴や場面に応じて発生する困難さを取り除くための、個別の調整や変更のことです。

 具体的には、車いす利用者のために段差に携帯スロープを設置したり、高い所に並べられた商品を取って渡すなどの配慮を行うことです。

 合理的配慮は、学校現場にも求められています。子どものニーズに合わせて、様々な形で、教育的な配慮をすることが求められています。

 具体的な合理的配慮については、次のリーフレットに詳しく紹介されています。

障害者差別解消法リーフレットに進む外部リンク

 なお、合理的配慮の具体例については、次のページにもまとめています。

合理的配慮に進む内部リンク

 また、発達障がいについては、次のページも見てください。

発達障がいとは?に進む内部リンク

教育書紹介:発達障害の子どもたちに進む内部リンク

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