PISA(4)PISA型読解力テスト

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PISA型読解力テストについて知りたいです

 従来の日本の読解力と対比する形で、PISA型読解力と呼ばれるものがあります。

 今回は、PISA型読解力テストについて書きます。

PISA型読解力テスト

🟠有元秀文氏の考え

 日本でPISA型「読解力」を子どもに身につけさせたいと強く主張している研究者に国立教育政策所の統括研究官をされていた有元秀文氏がいます。

 有元氏は、日本の代表として、PISAの問題を作る世界の会合にも参加し、有元氏の考えた問題が実際にPISAの問題として採択されたこともあるそうです。

 ここからは、有元秀文氏が編集された「教科書教材で出来るPISA型読解力の授業プラン集」(明治図書・2008年)の理論編に書かれていることを参考にしながら、PISA型「読解力」について説明します。

 有元氏によると、欧米では、PISAの「読解力」に出てくるような問題は極めて、一般的だそうです。

 同書によると、PISAの「読解力テスト」の特徴は、次の通りだそうです。

① 自由記述問題では、読んだことについて自分の意見を表現することが求められます。したがって正解が1つだけでなく多様なのが特徴です。

② 自由記述問題の比率が約4割あります。

③ 実際生活で生きるために必要な読解力を取り上げています。したがって、広告、社内文書、マニュアル、メールなど様々な実際生活の場面で用いられるテキストが用いられます。

④ 文章だけでなく、図表、グラフ、地図、説明図など非連続テキストが取り上げられます。

⑤ できる限り生徒が興味関心を持つテキストや問いをつくっています。

⑥ 質問は文章全体を読まなければ解けない、大づかみなしかもテキストの核心に触れる問いをつくります。

⑦   文章の文体や内容について、「本当にこれでよいのだろうか? 正しいのだろうか?」と価値や意見について疑ったり評価したりするクリティカル・リーディングの問いがあります。

 クリティカル・リーディングとは従来「批判的読み」「評価読み」などと訳されてきました。クリティカル・シンキングを用いて文章を読解することです。

 クリティカル・シンキングとは、「本当にこれでよいのだろうか? 正しいのだろうか?」と価値や意見について疑ったり評価したりする考え方を言い、欧米では、「生きる力」として非常に重要視されます。

教科書教材で出来るPISA型読解力の授業プラン集

🟠引用に対する感想や考え

① 日本の国語のテストでは、あまり自由記述問題はありません。どちらかと言えば、日本の国語のテストでは、正解は1つというのが一般的です。PISAの「読解力テスト」では、問題文に書かれている文章を根拠にしてきちんと自分の意見をきちんと書いていれば、正解になるそうです。

② PISAの「読解力テスト」では、日本の国語のテストで多い選択式の設問や記憶を元に、穴あき箇所を埋める設問は少ないそうです。日本のテストでは、どうしても記憶に頼る解答が多いように思います。記憶を元に、解答することが決して悪いわけではないのでしょうが、PISAの「読解力テスト」では、自分の考えを示すという考えが一般的なようです。

③ 小学校では、あまり使いませんが、文章のことをテキストといいます。研究者の間では、テクストという言い方のほうが一般的です。実際生活の文章を国語テストに出すことも日本ではありませんよね。その上、広告、社内文書、マニュアル、メールなど様々な実際生活の場面での文章を取り上げるのが、PISAの「読解力テスト」の特徴のようです。

④ 文章以外の図表やグラフなどのことを非連続テキストといいます。日本では、この種の問題は、国語テストでは、まず取りあげませんよね。小学校の社会科や算数のテストでは、図表、グラフ、地図、説明図など非連続テキストが取り上げらることもあるでしょうが、非連続テキストを一般の国語のテストで取り上げることはとても珍しいと思います。

⑤ 児童・生徒の興味関心を大切にするのは日本でも同じですね。でも、日本のテストの場合は、実力テストや入学試験などを除いて、教科書の文章をそのまま扱うことが一般的ですよね。習った文章から問題を出すという考えが一般的です。このような問題では、どうしても、記憶の要素だ大きくなるように思います。

⑥ 教材の一部だけを読ませて、詳細な部分を問うことの多い日本の国語のテストとは、この辺りが大いに違うように思います。小学校の日々の国語の授業では、登場人物の気持ちについて、気持ちが悪くなるぐらい取り扱う時期が長い間続きました。今もその傾向は強いように思います。物語文や説明文の全体を読んで文章全体に対する問いを出す授業自体があまりありません。

⑦ クリティカル・リーディングやクリティカル・シンキングも、日本ではあまり扱わない内容ですね。文学作品を批判的に読むなんて、作家に対して失礼だ、もってのほかだという考え方の先生たちが、日本の小・中学校にはまだまだ多いような気がします。

🟠有元秀文氏の現在の活動

 有元氏は、現在、「ありもとひでふみのブログ」というブログamebaで開設し、日々思うことを発信されています。

ありもとひでふみのブログに進む外部リンク

 社会情勢、文学などに対する想いや考えを発信されています。興味深い内容や示唆に富むお話がたくさん書かれています。

 また、NPO法人日本ブッククラブ協会を設立しブッククラブの指導方法の開発と普及を行っておられます。

日本ブッククラブ協会のホームページに進む外部リンク

 なお、フィンランドの教育PISA型読解力について、次のページもあわせて読んでください。

教育書紹介:フィンランドの教育力に進む内部リンク

PISA(1)PISAとは?に戻る内部リンク

PISA(2)フィンランドの教育のよさに戻る内部リンク

PISA(3)PISA型読解力とは?に戻る内部リンク

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