教育書紹介:フィンランドの教育力

教育書紹介

 

つばさ
つばさ

フィンランドは、素晴らしい教育をしています。

フィンランドの教育力ーなぜ、PISAで学力世界一になったのか

 今回、紹介する教育書は、「フィンランドの教育力」という本です。

 副題は、「なぜ、PISAで学力世界一になったのか」となっています。

 リッカ・パッカラさんによって2008年に書かれた本です。学研新書として発行されています。

この本が購入できるページに進む外部リンク

 最近少し下火になった感もありますが、一時期、多くの教育関係者がこぞってフィンランドの教育について言及している時期がありました。

 15歳児を対象に、世界的に行なわれるPISA調査というのがあります。

 フィンランドは、2003年のPISA調査で、読解力と科学の知識を試す調査で1位、数学の知識や問題解決能力についても2位でした。

 リッカ・パッカラさんは、10年間フィンランドで教師をされた後、パートナーの仕事の関係で来日されました。

 小林禮子さんという人が中心になって、リッカ・パッカラさんにインタビューしてまとめられた書籍です。

🟠本の構成本の構成

 この本は、次のように、大きく6つの章からできています。

第1章 PISAが証明した世界一の学力

第2章 優秀な教師は、こう育てられる

第3章 いかに子どもにわかりやすく、勉強を教えるか

第4章 よくできている現場のサポートシステム

第5章 教師は、マルチ・タレントでなくっちゃ

第6章 日本で暮らして、感じたこと

  「フィンランドの教育力 なぜ、PISAで学力世界一になったのか」より

🟠新入生を知るためのスムーズ・スタート

 この本を読んで一番印象に残っていたのは、第3章の中に書かれている「新入生を知るためのスムーズ・スタート」という部分です。一部を引用します。

 学期の始まりに一番重要なのは、子どもたちを観察して、子どもたちを知ることです。学年が上になってくると子どもに関する情報はインプットされていますが、新入生の場合はそれがありません。

 そこで私たちには、“スムーズ・スタート”と呼ばれる習慣があります。

 学校によって内容は異なりますが、最初の5~6週間、教師はクラスをふたつのグループに分けて、彼らが何を知っているか、何を知らないのかをできるだけ詳しく知る機会を作ります。

 子どもたちは最初、1日4時間ずつ授業を受けることになっていますので、例えばAグループは8時に登校して12時に下校、次のグループは10時に来て2時に下校します。

 ふたつのグループにはまったく同じことを教え、ランチタイムには一緒にテーブルを囲みます。

 「フィンランドの教育力 第3章 」より

 最近の日本の小学校では、コロナウィルスの感染防止の観点から、分散登校をしている学校はあると思います。

 しかし、子どもの実態をよく把握するために、新入生を2つに分けて、登校させ、じっくり観察するという習慣は、日本にはありません。

 ただ、このスムーズ・スタートという方法を全てのフィンランドの小学校が採用しているわけではないそうです。

 このスムーズ・スタートを採用し、個々の子どものレベルを見極め、それによってグループ分けして、授業を進める方式の導入を決めたのは校長先生だそうです。

 最近、日本でも、学校長の学校経営能力の大切さを力説する教育委員会も多いと思います。しかし、ここまで大胆な発想で、学校運営をしている学校は、日本でも数少ないと思います。

 子どもが教育の中心にきちんと位置づいています。

 子どもの実態を把握するために、登校時間を2つに分けるという発想は、なかなか日本にはないものです。本当に驚きました。

 まもなく、日本でも、新年度を迎えます。

 持ちあがりの先生方は、子どものことをよく理解されていると思います。

 新年度から新しく子どもたちを担任される先生方は、自分なりの方法でかまいませんので、じっくりと子どもの実態を把握されることが大切だと思います。

 今回は、スムーズ・スタートに焦点を当てて、この本を紹介しましたが、子どもに学力をつける方法や子どもを育てる考え方について、たいへん得ることの多い本です。

 ぜひ、一読されることをおすすめします。

⭐️ ⭐️

 わたしの考える「子どもの実態を把握する方法」は以下のページに書いています。

(1)音読 ・(2)視写 ・(3)文末 ・(4)作文 ・(5)読書 に進む(内部リンク

 また、PISA調査フィンランドの教育のよさについては、併せて、次のページも読んでください。

PISAとは?に進む内部リンク

フィンランドの教育のよさに進む内部リンク

技術の時代 教師の成長段階に進む内部リンク):フィンランドの教員養成制度

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