もしドラという本はとてもおもしろいです。
今回は、本の紹介です。
本の題名は、「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」です。省略して、「もしドラ」と言われることがあります。
もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら
<もしドラ>
岩崎夏海さんの書かれた「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」(ダイヤモンド社・2009年刊/新潮文庫・2015年刊)という本は、通称「もしドラ」とも呼ばれる本で、正確には、教育書ではありません。
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楽しく読め、最後は感動をおぼえる青春小説です。
しかし、書かれている内容は、教職員にとっても、いろいろな場面で働く人にとっても、PTAや町内会などのボランティア活動で活躍する人にとっても様々な場面で応用できる書物です。
この本を読むまで知りませんでしたが、ドラッカーさんの『マネジメント』という本は、「マネージャー」あるいは、「マネジメント」について書かれた本の中で、最も有名なもので、世界で一番読まれた本だそうです。
ドラッカーさんは、ドイツ語では、ペーター・フェルディナント・ドルッカーさんという名前で、1909年生まれで、2005年に亡くなりました。オーストリア生まれの経営学者です。
元になった「マネジメント」という本は、2001年にダイヤモンド社から発行されています。
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辞書によると、マネージャー【manager 】とは、「支配人、経営者、管理人、監督」という意味で、マネージメント【management】とは、「管理、処理、経営」という意味です。
諸外国では、監督という意味の「マネージャー」という言葉が、日本の高校の運動部などでは、部員の練習着の洗濯をしたり、道具の出し入れを手伝ったりする可愛く献身的でマスコット的な存在という意味になります。
あだち充さんの描かれた「タッチ」という野球アニメの浅倉南さんや、古舘春一さんの描かれた「ハイキュー!!」というバレーボールアニメの清水潔子さんや谷地仁花さんのようなイメージを、多くの人がもっているのではないでしょうか。
この小説に登場する女子マネージャーの川島みなみさんは、可愛いだけの存在ではありません。病気で入院することになった親友の宮田夕紀さんの代わりに、野球部のマネージャーになります。高2の途中からマネージャーになったみなみさんは、夕紀さんを勇気づけようと「野球部を甲子園に連れていく」という壮大な目標をもち、行動を始めます。
まず、みなみさんは、マネージャーについて勉強しようと大型書店に行き、お店の人にマネージャーに関する本を紹介してもらい、ドラッカーの『マネジメント』という本に出合います。
「もともと『マネージャー』という言葉の意味さえ知らなかったのだ。そんな自分に、本の良し悪しなど分からない。こういう時は、あれこれ考えず、まずは買って読んでみるに限る」と考えたみなみさんは、さっそく本を買い、その本を読み始めます。
そして、この本が野球とは無関係の「企業経営」について書かれた本であったことに気付きます。
せっかく高いお金を出して買った本だからと、みなみさんは、本を読み進めます。
すると、間違って買ったと思った本が意外にも自分がかなえたいと願う「野球部を甲子園に連れていく」という目標を達成するのに、ぴったりの指南書であることに気付きます。
例えば、みなみさんは『マネジメント』から、次のような言葉に注目します。
「マネージャーの資質」そこには、次のように書かれています。
マネージャーの仕事は、体系的な分析の対象になる。マネージャーにできなければならないことは、そのほとんどが教わらなくても学ぶことができる。しかし、学ぶことのできない資質、後天的に獲得することのできない資質、始めから身につけていなければいけない資質が、一つだけある。才能ではない。真摯さである。
マネジメント
教員にとっても、その能力を伸ばすのに必要なものは、才能ではないのかもしれません。真剣に学び、よりよい教員になろうと考える「真摯さ」なのかもしれません。
また、みなみさんは、違うところを読んで、マネジメント(マネージャーの仕事)は、組織の定義づけから始めなければならないことを教えられます。
あらゆる組織において、共通のものの見方、理解、方向づけ、努力を実現するには、『われわれの事業は何か。何であるべきか』を定義することが不可欠である。
マネジメント
教員にとっても、「この1年間の学級の教育目標は何か」とか、「運動会の団体演技を通して、子どもたちにどのような力を育てたいか」とかなどを考え「定義づけること」が大切なのかもしれません。
また、みなみさんは、次のような文章にも出合います。
企業の目的と使命を定義するとき、出発点は一つしかない。顧客である。顧客によって事業は定義される。顧客を満足させることこそ、企業の使命であり目的である。
マネジメント
学校における顧客は、もちろん、「子ども」であり、その子どもの「保護者」です。「子どもや保護者を満足させることこそ、学校の使命であり目的」でしょう。
みなみさんは、「野球部は、顧客である野球部に関わる全ての人に感動を与える組織である」という定義を思いつき、様々なことを実践していきます。
甲子園に出場することができたのかどうかということも含めて、詳しくは、ぜひ本書を手に取り、お読みください。
私たち教職員の顧客は、学校に通う子どもとその関係者全てということもできるかもしれません。
この本を読んで、その顧客を満足させるような行為は何であるかということを、改めて考えさせられました。
感動し、考えさせられる本です。ぜひ、お読みください。
岩崎夏海さんの「もし高校野球の女子マネージャーがドラッガーの『マネジメント』を読んだら」という本は、NHKでアニメとして放送されたことがあります。全10回シリーズでした。
また、元AKB48の前田敦子さんが主演した実写版の映画もあります。
ぜひ一度、「もしドラ」という本を読んでみてください。
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