子どもから学ぶことは多いですね。
本を読んでいると、時々、感心する言葉に出逢うことがあります。
今回は、絵本作家中川李枝子さんの「子どもはすばらしい先生です」という言葉を紹介します。
子どもはすばらしい先生です
🟠ぐりとぐらと保育園と中川李枝子さん
子どもたちが好きな絵本に「ぐりとぐら」(複音館書店・1967)があります。長く読み継がれている絵本で、親子でファンという家庭もあるのでないでしょうか。
「ぐりとぐら」を書かれたのは、絵本作家の中川李枝子さんです。
中川さんは、絵本作家になる前は、保育園の保育士をされていました。その当時は、保育士と言わないで、保母さんと言われていました。
中川李枝子さんは、「子どもはみんな問題児。」(新潮社・2015年)という本の「はじめに」で次のように書きます。
目の前にいる子どもを何とか喜ばせたいと、おはなしをつくったのがきっかけで作家になりましたが、私が目指したのは日本一の保育をすることでした。
中川李枝子 子どもはみんな問題児。
子どもたちに毎日楽しく保育園に通ってほしくてお話を子どもたちに語って聞かせていたものが、いくつかの絵本のベースになっているそうです。
「子どもはみんな問題児。」という本は、中川さんの保育士時代の経験や子育ての経験が土台になっています。
子どもへの思いがとてもあたたかく、読んでいると、ほっとする言葉や文章がたくさんあります。
🟠子どもはすばらしい先生です
最初に、紹介した「子どもはすばらしい先生です」という言葉は、「子どもはみんな問題児。」という本の中で書かれた45の素晴らしい文章の中の、1つの文章につけられた題名です。
この題名の文章の中で次のように書きます。
子どもから学ぶべき点は大いにあります。非行問題や虐待、いじめなど、子どもを指導する前に、まず子どもをよく観察して、そこから解決の道をさぐり出す方法もあるのではないでしょうか。
子どもたちといっしょの生活の中で、どの子もみんな善い心を持って生まれてくるということも感じました。神様は公平です。
何よりも、子どもの「心」を大事にしてほしい。
子どものおしゃべりには、その子の願いや不満が表れているものです。聞き捨てにしないで、聞いておくこと。
なにも改まって聞くのではなく、お料理をしながら、洗濯ものをしまいながら、歩きながらでも耳はちゃんと使えます。子どもの口調に合わせて頷くだけでもいいのです。
中川李枝子 子どもはみんな問題児。
子育ては、本当にたいへんです。嫌なことがあると、夜中でも泣きますし、赤ちゃんの時は、日に何回もおむつを変えたり、ミルクをあげたりする必要があります。
少し大きくなって自分のしたいことがでてくるようになると、いろいろなことを泣いて訴えます。
親や家族の思い通りになんてなかなかなりません。
親である大人には、いろいろとしなければいけないことがありますので、子どもの願いや不満を全て叶えてあげることなんてなかなかできません。
でも、親や大人は、子どもの願いをすぐに叶えてあげることはできなくても、聞くことはできます。耳を使って、子どものおしゃべりを聞くことはできます。
何か問題があっても、子どもの声に耳を傾け、子どもを観察することで問題を解決できることもあると、中川さんは語ります。
🟠心を傷つけたら、すぐ手当てをしてほしい
また、この本の中にある「心を傷つけたら、すぐ手当てをしてほしい」という文章では、次のように書いています。
大人には取るに足りないようなつまらないことでも、子どもの心は傷つきます。
もし傷つけたらすぐに手当てをしてください。心の傷の回復は、肉体の傷よりもやっかいで難しいのですから。
心の傷には、優しい愛のひとことを。
子どもを見ていて、「あっ、対応を間違えたか」と気づいたときは、必死でその子の心を立て直すことに努めたつもりですが、はたして私にはどの程度できたでしょうか。
「こんどの日曜日にママと三軒茶屋に遊びに行くの」と一週間毎日、嬉しそうに教えてくれる女の子がいました。月曜日にどうだった、と聞くと、ママが忙しくて行かれなかったというのです。
私の方ががっかりして、ぷーっとふくれたら、女の子は慌ててママをかばいはじめました。本当は私よりももっとがっかりしていたでしょうに。
ママを必死でかばったときの女の子のけなげさを、今も忘れられません。
中川李枝子 子どもはみんな問題児。
子どもは、わがままなようでいて、本当に優しい存在です。
子どもと過ごす日々は、家庭でも、学校でも、とても楽しいものです。
大人や親、教員の中には、なかなか子どものよさに気づかないこともあるみたいですが、子どもから学ぶことはたくさんあります。
ここに書かれた例のような、子どもの優しさに接して嬉しくなる場面は、たくさんあります。
子どもが、親や保護者、保育士、教員などに向ける優しさは、大人が、子どもに対する優しさに匹敵するものがあります。
でも、子どもは、子どもですから、大人の気づかないところで傷ついてもいることもあります。
大人は、気をつけていても、時には、子どもを傷つける言葉を投げつけてしまうこともあります。
そのような時は、中川さんのいうように、すぐに「優しい愛のひとこと」で、関係を修復することが大切です。心の傷を治す言葉を伝えることが大切です。
子どもは、日々の悲しい事件に接し、傷ついていることも多いと思います。
「子どもはみんな問題児。」という本は、子どもの子育てに悩んでいる人には、ぜひ読んでほしい本です。
中川さんの子どもへの深い愛情が感じられる本です。
優しい気持ちで、子どもに接することができるようになります。
他の名言については、次のページも併せてお読みください。
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