生きることがうたうことだから。うたうことが生きることだから。

教育者の名言、格言
つばさ
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今日は、何の記念日ですか?

 本を読んでいると、時々、感心する言葉に出合うことがあります。

 今日は、俵万智さんの「生きることがうたうことだから。うたうことが生きることだから。」という言葉を紹介します。

生きることがうたうことだから。うたうことが生きることだから。

🟠今日は何の日ですか?

 今日は、何の日ですか? そう聞かれてみなさんは、何の日と答えるでしょうか?

この味がいいね」と言われたので、俵万智さんにとって、7月6日は、サラダ記念日になりました。

 このような日常の風景を、巧みに切り取って、57577の31音という言葉の中にうまくあてはめることができるのが、俵万智さんの素晴らしい才能です。

 この日常風景は、次のような短歌になりました。

「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日

俵万智 サラダ記念日/サラダ記念日

🟠俵万智さんとは?

 俵万智さんは、1962年に大阪府で生まれ、大阪府や福井県で育ちました。早稲田大学に入学してから歌人の佐佐木幸綱氏の講義で短歌に出会い、短歌の素晴らしさを知るようになり、短歌を作るようになりました。

 大学卒業後、1985年に神奈川県の橋本高等学校の国語の教員をしながら、発表した歌集「野球ゲーム」や「八月の朝」などで角川短歌賞などを受賞しました。その後、1987年に、河出書房新社から出した「サラダ記念日」という歌集は、異例の大ベストセラーになりました。

 しばらく、高校の国語の教員と歌人という二足の草鞋を履いておられましたが、1989年に高校の教員を退職し、歌人中心の生活を送るようになられました。

 私と教員になったのが、同じ時期です。他県に勤めた大学の同期の先生から、俵万智さんという同年代の素晴らしい歌人がいることを教えてもらい知りました。

 現在では、小学校の国語の教科書に採用されています。例えば、東京書籍の5年生の「心が動いたことを三十一音で表そう」という教材の1つの短歌が、俵万智さんの次の短歌から始まっています。

「寒いね」と話しかければ「寒いね」と答える人のいるあたたかさ

俵万智 サラダ記念日/八月の朝

 私は、教科書に採択される前から、子どもたちには、俵万智さんの歌集から、小学生にふさわしそうな短歌を選び出して、国語の短歌を教える時間などに教えていました。

🟠俵万智さんの歌の魅力

 私が子どもの頃の短歌のイメージは、百人一首に代表されるような、平安貴族が歌会で、口語で歌をやりとりするといったような古風なものでした。

 小学校や中学校で学習する短歌は、どのようなことが書いてあるのか、言葉の意味を現代語に訳したり解釈を必要としたりする、どちらかというと難解なイメージがありました。

 日常会話や商品名、企業名などの日常の風景を、31音という短歌のきまりの中で、肩肘はらずに、自然に歌い上げたのが、俵万智さん最大の功績のように思います。

 歌謡曲を口ずさむように、日常生活の中で起こる普通の出来事を、一読すれば意味のわかる簡単な言葉で歌っているのが、俵万智さん短歌の魅力です。

 最初に挙げた「生きることがうたうことだから。うたうことが生きることだから。」という言葉は、俵万智さんの歌集「サラダ記念日」の1989年発売の文庫版のあとがきに書かれた言葉です。1987年3月と日付がありますので、単行本のあとがきにも書かれたものだと思います。

 私の家には、たくさんの本があるのですか、この本は、重ねた本の一番上になぜか鎮座していましたので、すぐに見つけることができました。

🟠生きることがうたうことだから。うたうことが生きることだから。

 俵万智さんの日常は、1987年にこの言葉が書かれた頃から、日本的には、何も変わっていないのだと思います。

 何か楽しいことがあれば、短歌を作り、悲しいことや苦しいことがあっても、短歌を作って乗り越えていくのだと思います。日々の日常の営みの中に短歌があるのだと思います。

 文字通り、生きることがうたうことであり、うたうことが生きることなのでしょう。

 2022年の朝日新聞の7月6日の夕刊は、俵万智さんのサラダ記念日が7月6日なのに合わせて、時代の栞(TOKI NO SHORI)というページで、俵万智さんの「サラダ記念日」の本について、時代考察や俵万智さんの言葉なども交えて、紹介しています。朝日新聞には次のように紹介されています。

 1987年5月に河出書房新社から出版。88年に現代歌人協会賞受賞。英語、フランス語、中国語、セルビア語など11の言語に翻訳された。2016年に新装版を発行。旧版と合わせて403刷。単行本と文庫を合わせた累計は285万部になる。

朝日新聞 2022年7月6日夕刊

 朝日新聞によると、歌人として忙しい日々を送りながらも、芸人の主宰する歌会にもリモートで参加されるなど、フットワークがとても軽く、日常生活を楽しんでおられるみたいです。

 俵万智さんのホームページが開設されています。興味のある方は、ぜひ、読んでみてください。

俵万智のチョコレートボックスのホームページに進む外部リンク

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 短歌の指導については、次のページを読んでください。

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