集団行動の指導方法について知りたいです。
ここでは次のことについて書きます。
集団行動の必要性
集団行動の指導
集団行動の必要性
🟠集団行動とは?
学校では、集団で行動をすることがあります。その時に、自由におしゃべりをしたり、自分勝手な行動をとったりすると、安全が守られなかったり、他の人などに迷惑をかけたりすることがあります。
学校において、授業中や緊急時など、秩序正しい行動や安全で効率のよい行動をとるよう指導することは、仲間とのかかわりを深めることや緊急時の対応のためにも重要なことです。
🟠集団行動が必要な時
集団行動が求められる場面としては、特別教室への移動、緊急時の対応、児童朝会などの整列、体育科の学習などが考えられます。
<特別教室への移動>
普段使っている教室ではなく、図書室・理科室・多目的室などの特別教室に移動して学習することがあります。
基本的には、それらの教室には、鍵がかかっていることが多いので、授業が始まってから集団で移動することが多いと思います。
そのような時に、きちんと整列し、黙って静かに移動できる学級かどうかは、とても大切なことです。
授業中に、大きな声で話をしながら移動すると、他のクラスの学習の迷惑になります。
なぜ静かに移動する必要があるのかをきちんと説明し、子どもに守らせる必要があります。
<緊急時の対応>
学校では、いつ緊急対応が必要な場面が起こるかわかりません。
地震、火事、不審者の来校など、子どもの安全を脅かすようなことがことが起こらないとは限りません。そのような時には、黙って静かに、放送や指導者の話を聞くことができるかどうかは、命の安全を守るためにも重要なことです。
地震の時には、指導者の指示に従って、まずは、机の下など頭を守ることのできる場所に身を隠します。その後、津波の有無などによって、運動場に避難した方がよいのか、校舎の高い階に避難した方がよいのか、高台などの別の安全な場所に避難した方がよいのか変わってきます。
絶対に集団で行動した方がよいわけではないでしょうが、多くの場合、教員の指示を聞き、集団で行動した方が安全なことの方が多いです。
地震などが起こった時に、子どもが大騒ぎしながら、自由に思い思いの場所に向かって避難すると、混乱し、とても危険であることは容易に想像できると思います。
<児童朝会などの整列>
多くの学校では、週の初めに、児童朝会、週の半ばに、児童集会を行うことが多いのではないでしょうか。
暑さやコロナウィルス感染症の影響もありますので、放送で行うこともあるかもしれません。
しかし、静かに話を聞くということに変わりはありません。
どのように集まり、整列させるのかは、とても大切なことです。
このような場面でも、静かに人の話を聞く、列を整えて並ぶことなどは、きちんと指導したいことです。
きちんと整列させ、話をきちんと聞くことのできる学級の担任は、子どもを褒めることが上手なことが多いように思います。
<体育科の学習>
学校によっては、運動会などに向けて、「前にならえ」「気をつけ」「休め」「脱帽」「着帽」「右向け右」「回れ右」などの号令や行動の仕方を教えることもあると思います。
テレビ番組などで有名になった、日本体育大学で50年以上の歴史を誇る伝統的なパフォーマンスの「集団行動」では、一糸乱れぬ動きを称して、「歩く芸術」とも言われることがあります。
「集団行動2021」 日本体育大学・体育研究発表実演会の演技に進む(外部リンク)
最近、組体操が怪我などの多発から問題視され、運動会の高学年の団体演技として、小学生なりの「集団行動」を取り入れている学校もあります。
旗なども使って行う「集団行動」はパフォーマンスとしても、立派です。
練習し、みんなで息や動作を合わせて披露することも、たいへんよいことだと思います。
【集団行動】新森小路小学校2018年10月2日6年生に進む(外部リンク)
ただ、個人的な考えでは、日常的な体育科の学習で集合するだけであれば、毎回きちんと整列することは必要ないと思います。
教員が半径1m程の円を足で描き、「この中に集合」と呼びかけるだけで十分なことも多いと思います。
姿勢も、三角座りにこだわる必要はなく、視線を教員の方に向けて、耳を傾けているのであればどのような姿勢で座っていてもいいと思います。
座り続けることは危険に進む(内部リンク)
ただ、子どもの背中に太陽がある位置に教員が立つ、日陰で集まるなどの配慮は必要だと思います。
集団行動の指導
🟠集団行動の指導方法
集団行動の指導について書きます。
まず、子どもに集団行動が必要な場面を伝える必要があります。
集団行動が必要な場面は、先程あげたような、特別教室への移動時、緊急時、児童朝会などの整列時などがあります。
次に、なぜ集団行動が必要かその理由を伝えることも大切です。
① 周りの迷惑にならないことが大切である。
② 危険を避け、安全のために必要なことがある。
③ 短時間で行動することが必要なこともある。
最後に、時間をかけ練習することです。
すぐに、集団行動が身につくわけではありません。
少しずつ、褒めたり、時には、叱ったりしながら、よい行動を身につけさせることが大切なことです。
🟠集団行動の教育的意義
運動会などで行う「集団行動」には、また違った教育的な意義があります。
協調性、責任感、忍耐、努力することなどを学ぶよい機会でもあります。
ただ、同じ行動をすることに、強制的で、高圧的で、全体主義的な感じがして、違和感を覚える人もいるかもしれません。
ただ、時には、学校で「みんなに合わせて行動すること」「順番を守ること」などの集団行動をすることによさが全くないわけではありません。
よい例が、大きな震災などが起こった際の避難所などにおける日本人の態度です。
暴動を起こすこともなく、順番に並んで、食糧などの配給を待つことができます。
多くの国では、このような震災の時などに、商店を襲ったり、暴動を起こしたり、我先に自分だけもらおうと争うことなどがあります。
でも、日本では、そのような光景はまず目にしません。
多くの人が、黙って自分の番が来ることを我慢強く待つことができます。
これは、日常的に、給食をきちんと並んで自分たちで配膳できること、自分たちの教室を自分たちの手で掃除できること、必要な時に集団行動ができることなどが、いい意味で、影響していると思います。
何でも同じ行動を取らされることに息苦しさを感じ、学校に行くことに辛さを感じる子どもがいることも確かです。
しかし、集団行動には、たくさんのよさもあります。
強い圧力にならないように気をつけながら、必要な集団行動の指導をすることは、大切なことだと思います。
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