みくのふしぎなピアノの全文を載せますね。
みくは、たん生日、ずっとほしかった白いグランドピアノをかってもらいました。みくは、よろこんで、さっそく「チューリップ」をひきました。いすを下りると、まわりが何だかぐるっとまわりました。
「きゃあっ!!」
みくは、こわくなって目をつぶってしまいました。
しばらくすると、とまりました。
(よかった。)
みくは、そう思って目をあけました。ところが、びっくり。
「こ、ここはどこ!!」
そうなのです。お父さんもいません。お母さんもいません。まわりはぜんぶチューリップなのです。それに、しいんとしています。みくは、さみしくなってなきだしました。
「ええん、ひっく、ひっく、ええん。」
「おじょうさん、どうしたんです?」
(えっ?)
目をあけると、チョウがいっぱいいます。赤、黄、ピンク、白‥‥いろいろです。
みくは言いました。
「あの‥。ピアノをひいていていすをおりたら、まわりがまわって、ここに、きちゃったんです。」
チョウは、うなずきながらきいています。
「へえ、ふしぎだね。」
「はい。それで、ここはどこなの?」
「『チューリップの国』よ。」
ピンク色のチョウが言いました。
「そうですか。」
みくは、思いました。
(チューリップをひいたから、ここにきちゃったのかしら。)
つづけて、赤のチョウが言いました。
「ねえ、もうなくのはやめて、いっしょにあそばない?」
みくは、なきやんで、
「うん。」
と、うなずきました。
「でも、何をしてあそぶの?」
ぜんぶのチョウが言いました。
「チューリップで、いろんなものを作るの!」
みくは、にっこりして、
「うん、たのしそう。」
と、言いました。
そして、花びらでリボンを作ったり、うでわを作ったりしました。しばらくして、黄色のチョウが言いました。
「ねえ、おじょうさん。帰らないでいいの。」
「うん。でも帰り道がわからないの。」
「あそこにあるわ。」
チョウがさす方を見ると、チューリップの門があります。
「ありがとう。」
「さいごに、名前おしえてよ。」
「みくよ。」
「ぼくたちは、チューリップのチョウです。」
そして、チョウはちょっとかなしそうに、下をむきました。みくも、下をむきました。
「じゃあ、いろいろとありがとう。チョウさん。」
「いいえ、それよりみくさん、元気でね。」
みくは、門に走って行きました。すると、白いグランドピアノがおいてありました。
(あっ、そのピアノ、わたしの…。)
みくは、そう思いました。すると、うしろに、さっきのチョウがいました。門までおくろうとしたのでしょう。チョウが言いました。
「ねえ、さようならする前にピアノのきょくひいてくれる?」
みくは、
「ええ、いいわよ。」
と、言って「きらきら星」をひきました。
「ありがとう!!」
ぜんぶのチョウが言いました。
「それじゃあ、さようなら。」
「さようなら。」
みくは、門を出ました。すると、またまたびっくり。まわりが、またぐるっとまわったのです。
「こんどはどこへ行くの?」
みくは、また目をつぶりました。
しばらくすると、止まりました。目をあけると、そこは、星だらけ。
「ここは、どこ…か…しら。」
まわりを見回すと、つぎは星がやってきて、
「おじょうさん、どうしたの。」
「あっ、あの…ここは、どこなんですか? それが、分からなくて…。」
「ここは、『星のうちゅう』です。」
みくは、また、思いました。
(きらきら星をひいたから、ここにきたのね。)
すると、ほかの星がきました。金、ぎん、青、赤、いろいろです。
「ねえ、あそぼ。」
「うん。でも、何してあそぶの?」
星が言いました。
「わたしたちが、わになるから、なわとびとかをするの。」
「わあ、おもしろそう。」
みくも、にっこりしました。
そして、なわとびのゆうびんやさんをしたり、かごめかごめをしたりしました。すると、一つの星が、
「ねえ、おじょうさん、帰らないでいいの。」
「うん。でも、帰り道がわからないの。」
「あそこよ。」
さす方を見ると、星の門があります。
「いろいろとありがとう。星さん。じゃあ、さようなら。」
「門まで、おくるよ。」
そして、いっしょにいくと、また白いグランドピアノがありました。
星が言いました。
「おねがい、さよならする前に一きょくひいて。」
「ええ、いいわよ。」
そして、「海は広いな大きいな」をひきました。
「うわぁい!! ありがとう。」
「うん。じゃあ、バイバイ。」
「うん、元気でね!!」
そして、みくが門をでると、まわりがまたまたまわりました。
「うわっ!!」
このまわり方は、すごく早かったのです。みくは、びっくりしました。
バシャ!!
下りたのは、地上ではないのです。海でした。
「きゃあっ!」
みくは、およげないのです。
「た…す…け…て…。」
そのときです。
バシャッ!!
「えっ?」
めをあけると、クジラの上にのっていました。あれっ、このクジラ、どこかで見たような…体が白くて、はが、けんばんみたい…。
「わたしのピアノ!!」
クジラはだまっています。
そのうち、みくは、ねむくなって、ねむくなって…。
ドタッ。
みくが下りたのは、ピアノをひいていたへやです。
「えっ…?」
みくは、ピアノのことを思い出しました。
「あっ、そうだった!! わたしのピアノ!!」
ピアノはちゃんとありました。
ところが、ふしぎなことが一つ。
けんばんに、ぽつっと水がついてあったのです。
(やっぱり、あのクジラは、このピアノだったのね…。)
と、思って、すぐに水をふきました。
そして、ピアノにむかって、ささやきました。
「ありがとう。」
と。
(おしまい)
* この文章は、8歳の時に書いた原稿の大部分はそのままに、文法や漢字の誤りを、筆者により訂正したものです。
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なお、この作文の指導法について、教員向けに書いた文章は、次のページから読めます。
物語を書く指導(1) 指導のポイントに進む(内部リンク)
物語を書く指導(2) 単元目標と指導計画に進む(内部リンク)
物語を書く指導(3) 指導の工夫①に進む(内部リンク)
物語を書く指導(4) 指導の工夫②に進む(内部リンク)
物語を書く指導(5) 指導の工夫③に進む(内部リンク)
物語を書く指導(6) 指導の工夫④に進む(内部リンク)
なお、この作文の書き方を子ども向けに書いた文章は、次のページから読めます。
物語を書こう(ものがたりをかこう)(1)(外部リンク)
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