9月1日から多くの学校で2学期が始まります。
学校によっては、8月の後半から2学期が始まっているところもあります。
長期休業が終わり、新学期が始まるこの時期に、残念なことに自殺を試みる子どもがいます。
ここ数年、子どもの自殺が増えています。
今回は、「自殺から子どもを守る」ことについて書きます。
自殺から子どもを守る
🟠自殺から子どもを守る
<自殺の実態>
2022年(令和4年)4月に出された「児童生徒の自殺対策について」(以下資料①と記載)という資料によりますと、ここ数年、子どもの自殺数は増えています。
児童生徒の自殺対策についてに進む(外部リンク)
資料①には、ここ5年間の自殺者数が載っています。
平成29年(2017年) 315名
平成30年(2018年) 369名
令和元年(2019年) 399名
令和2年(2020年) 499名
令和3年(2021年) 473名
また、資料①には、「自殺の原因や動機」について書かれています。
令和元年(2019年)は、「学業不振」「その他進路に関する悩み」「親子関係の不和」「家族からのしつけ・叱責」「病気の悩み・影響(その他の精神疾患)」の順で多いです。
令和2年(2020年)は、「進路に関する悩み」「学業不振」「親子関係の不和」「病気の悩み・影響(その他の精神疾患)」「病気の悩み・影響(うつ病)」の順に多いです。
<文部科学省などや教育委員会の取り組み>
文部科学省では、多くの通知を出したり、資料を作成したりして、子供が自殺することに対する予防対策をおこなっています。
具体的には、文部科学大臣が子どもに向けてのメッセージ「不安や悩みがあったら話してみよう」を出したり、「教師が知っておきたい子どもの自殺予防」という題のマニュアルやリーフレットを作成したりしています。
文部科学大臣のメッセージに進む(外部リンク)
教師が知っておきたい子どもの自殺予防(外部リンク)
省庁としては、厚生労働省でも、自殺対策を行なっています。
また、各教育委員会でも、さまざまな資料を作成し、学校に向けて、自殺予防対策を図るように、働きかけたり、子どもに向けて、相談できる方法について啓発をおこなっています。
電話相談、メール相談、LINE相談など様々な方法で相談できるようになっています。
<自殺予防のむずかしさ>
最近、コロナ禍の中で、多くの芸能人が自殺をしています。
自殺をする理由は、本人しか分からないことですし、たとえ遺書があったとしても、そこに書かれたこと以外の理由がなかったとはいえないと思います。
自殺の報道がでる度に、周りの人は気がつかなかったのかなと感じます。
しかし、多くの人と繋がりのある芸能人でも自殺するのを知るにつけ、たとえ親しい人であったとしても、自殺を感知することは、とても難しいことであるともいえます。
ただ、自殺を思いとどまった人の中には、周りの人のほんのささやかな働きかけのおかげで、自殺を思いどどまったという話を聞くと、周りの人の支援が役に立つということも事実でしょう。
<自殺から子どものを守るために>
最近、「ゲートキーパー」という言葉が使われることが増えています。直訳すると「門番」という意味ですが、「自殺を防ぐ役割を果たす人」のことをそう言います。
私たち教員がゲートキーパーになるためには、各自治体などで実施されている「ゲートキーパー研修」などに参加するのも1つでしょう。そこでは、基本的な対応法として「TALKの原則」ということが研修されています。
先程紹介した「教師が知っておきたい子どもの自殺予防」にも「TALKの原則」は書かれています。
Tell: 言葉に出して心配していることを伝える
例)「死にたいくらい辛いことがあるのね。とってもあなたのことが心配だわ」
Ask:「死にたい」という気持ちについて、率直に尋ねる
例)「どんなときに死にたいと思ってしまうの?」
Listen:絶望的な気持ちを傾聴する
死を思うほどの深刻な問題を抱えた子どもに対しては、 子どもの考えや行動を良し悪しで判断するのではなく、そうならざるを得なかった、それしか思いつかなかった状況を理解しようとすることが必要です。そうすることで、子どもとの信頼関係も強まります。徹底的に聴き役にまわるならば、自殺について話すことは危険ではなく、予防の第一歩になります。これまでに家族や友だちと信頼関係を持てなかったという経験があるために、助けを求めたいのに、救いの手を避けようとしたり拒否したりと矛盾した態度や感情を表す子どもいます。不信感が根底にあることが多いので、そういった言動に振り回されて一喜一憂しないようにすることも 大切です。
Keep safe:安全を確保する
危険と判断したら、まずひとりにしないで寄り添い、他からも適切な援助を求めるようにします。
教師が知っておきたい子どもの自殺予防
大学生の時に、少しカウンセラーになるための勉強をしたことがあります。
その時に、実際に多くの方の治療にあたっておられる指導教官に教えていただいたことの1つに、その事例が、自分だけで対応できる事例なのか、もっと専門家に任せた方がよい事例なのかを見極めることが大切だということがあります。
もし、子どもの自殺の兆候を見つけた場合、自分だけで対応できるのか、同僚や管理職に相談した方がいいのか、専門機関などに相談し任せた方がいいのか、見極め適切な対応をする必要があります。
多くの学校で新学期が始まります。
ぜひ、子どものちょっとした言動をよく見聞きし、話しかけ、子どもを自殺から守ってください。
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