子どもの作文から何かわかるのですか。
子どもの国語の学力を把握する方法の4回目です。
今回も前回同様、作文です。今回の把握の仕方は、次の通りです。
「自由作文」を書かせて、作文を書く力を確かめる
作文の時間を週に何時間ぐらいあるのでしょうか。
「書くこと」の時数について、小学校学習指導要領で、次のように明記されています。
各学年の内容の〔思考力、判断力、表現力等〕の「B書くこと」に関する指導については、第1学年及び第2学年では年間 100 単位時間程度、第3学年及び第4学年では年間 85 単位時間程度、第5学年及び第6学年では、年間 55 単位時間程度を配当すること。その際、実際に文章を書く活動をなるべく多くすること。
第4章指導計画の作成と内容の取扱い 1 指導計画作成上の配慮事項
低学年では、週に3時間、中学年で週に2時間、高学年でも週に1時間は、作文の時間があってもよい計算になります。
もちろん、物語文や説明文を読むときにも、感想や意見を書いたり、スピーチをする前に発表原稿を書いたりしますから、毎週時間を決めて書かせる必要はないのでしょうが、やはり時には、作文を書く時間をきちんととるべきです。
今回は、自由作文を書く時間をもちます。
作文を書かせる少し前に、自由な題材で作文を書くことを予告しておきます。(金曜日に予告し、月曜日に自由作文を書くようにすると、土、日に遊びに行ったことなどを子どもは書きやすいかもしれません。)
題名も、テーマも、字数も自由に決めさせて、子どもに好きに作文を書かせます。
制限は、時間は1時間ということだけです。これだけですが、子どもの書いた作文を読むと、その子どもの実力が端的に表れます。
まず、全然書けない子どもがいます。普段から書きたいことがないのか、どう書けばいいのかわからないのか、ただ邪魔くさいのか、子どもによって理由は様々ですが、1時間たっても題名すら書けない子どもがいます。そんな子どもを見ると、1年間の担任の間にどのぐらい力をつけてあげることができるかとても楽しみになります。
1行ごとに改行する子どもがいます。段落についての意識がほとんどないことがわかります。
反対に、まったく改行しない子どももいます。この子どもも同じで、段落や意味段落の意味が十分理解できていないことがわかります。
改行の際に、一ます分下げることができない子どももいます。原稿用紙の使い方を教えてもらっていないか、教えてもらっていても回数が少なかったことがわかります。
書く内容がころころ変わる子どももいます。自由作文ですから何を書いてもいいのですが、書く内容は1つに絞るべきです。そのような基本的なことが理解できていないことがわかります。
私は、子どもに「一貫性」と言う言葉を使って、1つの作文を書く場合は、違う内容の文章を書いてはいけないと指導してきました。遠足の作文を書いているのに、朝、兄弟げんかをした話を書くのはよくありません。でも、このような作文を書く子どもはたくさんいます。
どのようにして作文の力を高めるのか
では、どうすればいいのでしょうか。作文の力は、すぐに伸びるわけではありません。地道な指導を積み重ねるしかありません。こう書くだけでは、元も子もありませんね。
今回は、すぐにできる具体例を2つ示します。
1つは、よい文章を視写する機会をたくさん取り入れることです。
原稿用紙の正しい使い方などは、よい文章を写していく中で、徐々に身につけることができます。
「学ぶ」の語源は、「真似る」であるという話を聞いたことがあります。
よい文章を写す機会を授業中にたくさん増やすことで、徐々に作文の力は育っていきます。
2つめは、「400字」作文を書かせることです。
「400字作文」については、このブログ内で紹介していますので、そこを見てください。
作文のすすめ(1)400字作文に進む(本ブログ内)
できれば、1学期は、4月と7月に自由作文を書かせてほしいと思います。そうすると、指導の効果や是非が端的に表れます。
(1年生以外の)4月の子どもに作文力がないのは、前の担任の責任が大きいでしょう。でも、7月も同じ状況だったら、それは、4月から担任した自分の指導法にも原因があることがわかります。
ぜひ、作文の時間をきちんと確保して、子どもたちの作文の力を伸ばしてください。
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なお、作文指導については、次のページもお読みください。
作文のすすめ(1)400字作文に進む(内部リンク)
作文のすすめ(6)自由作文に進む(内部リンク)
作文のすすめ(7)子どもの発達段階を知るに進む(内部リンク)
実態把握については、次のページもお読みください。
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