「しかる」と「おこる」の違いを知っていますか。
ここでは、次の2つのことについて書いていきます。
「ほめること」の大切さ
「しかること」の大切さ
「ほめること」の大切さ
教師の子どもへの言葉がけにおいて、ほめる言葉やしかる言葉の割合が多いように思います。
みなさんは、普段、子どもへの言葉がけで、ほめる言葉としかる言葉では、どちらが多いですか?
子どもに対しては、ほめることも大切ですし、しかることも大切です。
なぜ、「ほめること」が大切なのでしょうか。
それは、人には、承認欲求があるからです。
子どもたちは、日々いろいろなことでがんばっています。
私たち教員にとっては、当たり前の宿題をしてくることだって、授業中に音読をすることだって、子どもたちにとっては、がんばっていることなのです。
以前、子どもたちの音読が素晴らしい学級の授業を見たことがあります。その時、担任の先生に、その秘訣をお聞きすると、次のような話をされていました。
「まずは先生が手本を示すこと、その次に、子どもを褒めながら育てていくことです。先生が上手いのは当たり前だと思っている子どもたちでも、学級の友だちが練習をしてきて、上達するのを間近で知ると、自分たちも練習すれば、上手くなるということを実感するのです。まず、ほめながら、一人の子どものレベルが上達すると、学級全体の音読のレベルがぐっとあがります。」
なるほど、と思いました。
子どもの行為を当たり前と感じて、そのまま過ごすのか、よさを認めてほめていくことで子どもを育てるのか、その先生と自分の力量の違いを痛感しました。
ところで、みなさんは、いくつぐらいの「ほめ言葉」を知っていますか。普段使う「ほめ言葉」はなんでしょうか。限られた言葉しか使っていないということはありませんか。
新潟県立教育センターが「子どもを認める100 の言葉~自己有用感を高める言葉かけを~」という文章を作成し、ホームページ等に掲載しています。
ぜひ、参考にしてください。
子どもを認める100 の言葉~自己有用感を高める言葉かけを~に進む(外部リンク)
「しかること」の大切さ
学校生活の中で、子どもたちは、よくないことや危険なことをすることがあります。
そのようなことを見かけた時に、何も言わないで見逃すと、子どもたちの中には、その行動を先生が容認したと考えることがあります。
特に、危険な行動は、その子自身や周りの人が怪我をしたり、ものがこわれたりします。
そのような時には、きちんとしかることが必要です。
学習しているときに、少し改善すればよくなるのに、と思うこともあります。
そのような時にも、しかる方がよい場合もあります。
ノーベル賞受賞の山中伸弥教授が、元ラクビー日本代表の故平尾誠二さんに教えてもらった「叱るときの4つの心得」というのがあります。
1. プレーは叱っても人格は責めない。
2. あとで必ずフォローする。
3. 他人と比較しない。
4. 長時間叱らない。
平尾誠二さんをしのぶ「感謝の集い」山中伸弥さん弔辞より
しかり方には、よくないしかり方と、よいしかり方があるように思います。
しかるのは、自分のためではなく、相手のためであり、しかる相手の成長や改善を考えてしかる必要があると思います。
最初に取りあげましたが、「しかる」と「怒る」の意味の違いを知っていますか?
「しかる」とは、「(目下の相手に対して)よくない言動を指摘し、教え、諭すこと」です。
「怒る」とは、「気に入らない言動を体験し、腹を立てて、興奮したり、声を荒げたり、ものにあたったりすること」です。
ですから、子どもでも「怒ること」はあります。一般的に、「しかること」は、冷静な大人にしかできないことです。
しかるべき場面で、怒っていませんか。
まさか、大きな声で怒鳴っていることはないでしょうか。
私たち教員は、いつでも冷静な大人でいるべきでしょう。
子どものことを考えて、冷静に、ていねいに話を聞き、子どものわかる言葉で、説明し、改善を求める必要があります。
ですから、「廊下を走っている子どもを見かけたとき」は、どうすればいいのでしょうか。
「こら、走るな」でしょうか。それとも、「危ないから、歩くようにしましょう」でしょうか。
「物を投げている子どもを見かけたとき」は、どうすればいいのでしょうか。
「物を投げるな」でしょうか。それとも、「投げた物が、人や他のものに当たると危ないからやめましょう。」でしょうか。それとも、もっとふさわしい言葉がありますか。
子どもを、適切にほめたり、しかったりしながら、子どもの成長を促してほしいとも思います。
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なお、臨床心理士の河合隼雄さんの名言と著書の紹介を次のページでしています。今回の内容に関係することですので、よければ併せてお読みください。
説教の効果はその長さと反比例するに進む(内部リンク)
教育書紹介:子どもと悪に進む(内部リンク)
初任者研修資料一覧に進む(内部リンク)
印刷用画像資料 (各校で、Wordなどに貼り付けて、印刷し、研修資料としてご活用ください。)
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