集団指導の技術について知りたいです。
小学校の学習は、基本的には集団での学習です。
集団への指導の仕方を習得することは教員にとってとても大切です。
今回は、「集団指導の技術」について書きます。
集団指導の技術
🟠集団指導の技術
<集団への指導:全員に伝える>
小学校の学習は、基本的には集団での学習が基本になります。
多くの指導は、集団への指導が中心です。
いかにきちんと、学級や学年の子どもに適切な指示や話をすることができるかどうかということはとても大切です。
ある1時間の授業において、学級内の全ての子どもが、教師が提示した授業の目標や学習のめあてを達成するためには、教師は様々な技術を駆使する必要があります。
この時に大切だと思うのが、向山洋一氏が「授業の腕をあげる法則」という本の中で取り上げた「授業の原則十ヵ条」という記述の中の1つの原則です。
それは、次のようなものです。
第四条 全員の原則
一見、めんどうなようでも、指示は必ず全員に伝えなければならない。
授業の腕を上げる法則
向山氏は、次のように続けます。
この場合「全員に伝えたつもり」「私としてはみんなに言った」という程度ではいけない。
たとえば、読書の時間、急に大切な指示をすることになった。
「みんなこちらを向いて。大切なことを言いますからよく聞くのですよ」
と言って、指示をする。
ところが指示をした後、行動させると何人かの子が聞いてないということがおこる。
ほとんどの場合、教師はそれを子どもの責任にする。
だが、これは教師が悪い。責任は教師にある。例えば次の原則がある。
手に何か持っている状態で指示をしたのは指示したうちに入らない。
子どもは手に何かを持っていれば、それをいじりたがる。いや、大人だっていじりたがる。
自然の現象だ。
何十人もの子がいれば、何人かは必ず手いたずらをする。当然である。
だから、作業の途中で指示する時は、手にしていたものを全員置かせて、自分の方に向かせるのである。
おへそを先生の方に向けなさい。
こうして、全員をこちらに集中したのを確認してから指示をするのである。
ここまでやって「全員に指示した」と言える。
授業の腕を上げる法則
教師が子どもに指示する言葉として有名な言葉に「おへそを先生の方に向けなさい。」という言葉があります。
この言葉を知っているかどうかで、その教員が、子どもへの指示の仕方をよく知っているかどうかわかると言っていいかもしれません。
この「おへそを先生の方に向けなさい。」という言葉は、短く具体的でわかりやすい言葉です。この指示を告げると、子どもに、自然と話を聞く態勢が生まれます。
話を聞かせるためには、身体が聞く態勢になっていることが大切です。後ろを向いたり、横を向いたりしていたのではきちんと話を聞かせることは難しいです。
子どもがきちんと話を聞くことは、教師のほうを見ることから始まると言っても過言ではありません。
そのために、「おへそをこちらに向けなさい」という指示はとても効果があります。
なお、今回は、向山洋一氏の「授業の原則十ヵ条」の1つを取り上げあげましたが、他の原則については、次のページをご覧ください。
授業の原則十ヶ条に進む(外部リンク)
さらに、向山洋一氏について知りたい場合は、次のページをご覧ください。
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<理想の学級像を考える>
学級集団を育てるためには、教員は、子どもと一緒にどのような学級集団を作りたいと思うのか、自分の理想の学級像を考えることが大切だと思います。
ある学級では、いじめのない仲のよい学級を作りたいと思うかもしれません。
ある学級では、知的な学級を作りたいと思うかもしれません。
ある学級では、個性を尊重し合える学級を作りたいと思うかもしれません。
ある学級では、ユーモアを理解し、笑いのたえない学級を作りたいと思うかもしれません。
どのような学級ができあがるかどうかは、まず最初に教師が自分の理想の学級を考えることから始まります。
たくさん発表する生き生きとした学級を作ろうとすれば、教員は、子どもの発表力を育てるような手立てをたくさん講じる必要があります。
一人一人をほめつつ、子どもが発表することを励まし、認め、支える必要があります。
教員をしていた時に、1年生の時に、若手の教員とベテランの教員が担任した2クラスの子どもを半分ずつ入れた学級を受け持ったことがあります。
担任をしてみて驚いたことの1つに、2つのクラスの子どもたちの書く力がとても違ったことです。
ベテランのクラス出身の子どもたちは、普通の2年生のような書く力でした。板書を写す速度もそれ程はやくありませんでした。それに比べて、若手の教員のクラス出身の子どもたちは、とても書く力が育っていました。板書を写す速度もはやく、思ったことを自由に書く力が育っていました。
若手の教員は、たくさん書く機会を設けていたみたいで、1年間の間に書く力をしっかりと育てていました。
若手の教員よりもベテランの教員の方が、一般的には子どもを育ている力はあることが多いです。多くの事柄については、この2つクラスの子どもに違いはありませんでした。どちらのクラスの子どもたちも明るく、いい子どもに育っていました。しかし、書くことに関しては、その2つのクラスには大いに違いがありました。
教員が子どもを受け持ち、ある事柄を熱心に指導し続けると、このように大きな違いが出てくることがあります。
集団指導の優れた指導者に有田和正さんがいます。有田さんの指導の一端について知りたければ、次のページもお読みください。
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