説明文の1次の指導は、どうすればいいのでしょうか?
ここでは、次のことを書きます。
1次の1時間めの指導において必要なこと
1次の2時間めの指導において必要なこと
1次の1時間めの指導において必要なこと
3年生の「パラリンピックが目指すもの」という説明文を使って単元指導計画を考えました。
今回は、1次の指導方法について書きます。
前回、1時間めの学習は、次のように書きました。
① 題名を読み、どのようなことが書かれているか予想する。形式段落ごとに番号をつけながら、全文を読み、初めて知ったことやおどろいたことなどを簡単に書く。
題名読み
1時間目の学習では、この教材を使って、この単元で、何を学習するのかを示すことが必要です。
扉のページを使って、学習の流れを示してもいいでしょうし、教材の題名だけを示して、どのようなことが書かれているか予想させて、どのようなことをする学習なのかを共通理解させてもよいでしょう。
題名だけを見て、本文を見ないで、気づいたことを交流することを、「題名読み」といいます。
題名だけを見て、交流することは面白い交流になることが多いのですが、「題名読み」の学習には、少し問題になることがあります。
それは、数名の子どもが前もって、教科書を読んできていることがあることです。
気になる場合は、「前もって本文を読んできた人はいますか」と聞いて、しばらく発言を控えるようにうながせばよいのです。
その子どもたちには、ある程度、意見や感想が出た段階で、話を聞くようにします。教材を前もって読んできておくことは、少しも悪いことではありません。
全文を読む
次に、全文を読むことになります。
この時に、教材に書かれたことのあらましを、子どもたちが理解することが必要です。
教材を、指導者が範読するか、子どもたちが読むことになります。
この時、避けたいのは、「読める人いますか」とか「読みたい人いますか」という指導者の発言です。
全ての子どもがすらすら読めるになるような学力をつけることが、指導者の働きですから、積極的な子どもだけに、学習をうながすような発言は慎みたいところです。
私は、自分自身が範読しながら、形式段落に、①②③というように、番号を付けるようにさせることが多かったです。
自分が範読した後で、すべての子どもが、授業中にできるだけたくさん音読する機会をもつようにしました。
大前提になるのが、学級のすべての子どもたちが、この教材をすらすらと読むことができるようになることです。
学習を繰り返すことで、最終的に、すべての子どもが、すらすらと読むことができるようになるということは、大切なことです。
学習全体で、声をそえろえて、読むことも必要ですし、短文でよいので、子ども一人一人に音読する機会をもたせます。そして、子どもの実態を把握し、個別に支援が必要な子どもを把握し、実際に手助けをする必要があります。
この学習を終えた後、自分で他の教材を読んで調べ学習をすることになります。
教科書の文章をすらすらと読めない子どもが、自分の知りたいことを、他の教材を読んで理解し、まとめるということはかなり難しいことになるからです。
初めて知ったことやおどろいたことなどを簡単に書く
「初発の感想」と、いうこともあります。
本文を読み、初めて知ったことやおどろいたことなどを書きます。
この時、パラリンピックについてもっと知りたいことやこの教材を読んで疑問に思うことを書かせることがあります。
子どもの書いた「もっと調べたいこと」や「疑問」を、一覧表にまとめたものを元にして、学習計画を立てることもあります。
1次の2時間めの指導において必要なこと
前回、2時間めの学習は、次のように書きました。
② 子どもたちが書いたものをもとに、学習の計画を立てる。(このとき、教科書のてびきなども参照するとよい。)学習の大きなめあてを「パラリンピックの競技と目指すものについて読み取っていこう」とする。あまった時間はいろいろな方法で音読をする。
学習の計画を立てる
子どもの感想や疑問をもとに学習の計画を立てる場合は、子どもの疑問などを、次の3つに分けることが必要です。
A 本文を読むとすぐに解決できること
B この教材を読んでも、解決できないこと
C この教材を読むことで解決できること
例えば、「A」の疑問には、次のようなことがあります。
❶パラリンピックは何年に1回開催されるのか。
これを、わざわざ、「学習のめあて」にして、学習する必要はありません。
「B」の疑問には、次のようなことがあります。
❷「水泳とポッチャ以外に、パラリンピックの種目には何があるのか」
このような疑問は、他の図書などを調べることで解決します。3次での学習になります。
❸「パラリンピックの目指すものは何か」
このような疑問は、2次の「学習のめあて」にすることができます。少し時間をかけて教材を読み深めることで解決することができそうな学習課題です。
「学習の計画」や毎時間の「学習のめあて」は、担任を受けもった各学年の最初は、指導者から提示することが多いと思います。しかし、きちんと手順をふむと、子どもたちが、同じような学習に触れることで、学習の仕方に慣れていき、子どもたちと一緒に作ることができるようになります。
子どもたちが、説明文や物語文の学習は、どのように進行していくかを理解するようになるからです。
もっとも、指導者側に計画性がなく、全ての教材において、行き当たりばったりの指導方法を繰り返していると、このような学習の習慣は、身につきません。
国語科の指導においては、その教材なり、その単元なりで、どのようなことを目指して学習を進めるのかを、指導者が明確にもち、そのことを、子どもたちにていねいに説明し、共感を得るようにする必要があります。
指導者によっては、この段階で、学習のゴールを示す人もいます。
この「パラリンピックが目指すもの」という単元において、3次で、パラリンピックについて調べたことをもとに、リーフレットを作ることを考えている指導者は、どうするのでしょうか。
ある指導者は、自分自身で、前もって、リーフレットの例を作っておき、「このようなリーフレットを作ろうと思います」とモデルを示すと思います。
また、学校全体で、毎年、3次で、リーフレットを作成する学習方法を実践している場合は、昨年の3年生の子どもが作成したリーフレットを、前の3年生の担任から借りておき、提示したり、学級の背面黒板に掲示したりしていると思います。
学習の計画を立てると、その計画を教室の側面などに掲示したり、印刷して配付したりすると効果的です。
こうすることで、毎時間の学習の流れを子どもたちが把握することができるようになるからです。
説明文の指導の仕方(5)2次の指導の実際①に進む(内部リンク)
説明文の指導の仕方(6)2次の指導の実際②に進む(内部リンク)
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説明文の指導の仕方(2)2次と3次の指導に戻る(内部リンク)
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