物語を書く指導(2)　単元目標と指導計画

つばさ

物語を書く時の、単元目標と指導計画について知りたいです。

　小学校の国語の学習には、物語を書く学習があります。

　ここでは、「物語を書く指導（2）：単元目標と指導計画」について書きます。

物語を書く指導（2）：単元目標と指導計画

🟠「みくのふしぎなピアノ」について

　できれば、この指導実践を読む前に、この実践を通して「柳原茉美佳さん」という子どもが書いた「みくのふしぎなピアノ」という作品を読んでいただくことをお勧めします。

「みくのふしぎなピアノ」を読んでいただくと、計画的で有意義な実践を行うと、素晴らしい作品を子どもに書かせることができることが理解できるのではないでしょうか。

🟠「できごとが3回くりかえされるお話を書こう」の単元目標

　小学校2年生に行ったこの学習の単元目標は、次のようになります。

○ 楽しみながら物語を読んだり、関連する読書をしたり、物語を書いたりする。

○ 登場人物の会話や情景描写が繰り返されていることを知り、物語のおもしろさを読み取ることができる。

○ 大まかな場面の構成を考えた上で、自分なりの表現を工夫しながら物語を書くことができる。

🟠指導計画（授業実践当時のもの）

　当時は、次のような指導計画で指導をしました。指導時数は12時間でした。

① 物語の範読を聞き、登場人物やあらすじをとらえる。

② 場面を分け、場面を20字程度の文にまとめる。

③ 第1、第2場面にどのようなことが書かれているか知る。

④ 第3場面を読み、どのようなことがどのように工夫されて書かれているのかを読み取る。

⑤ ⑥第4（第5）場面を読み、どのようなことがどのように工夫されて書かれているのかを読み取る。

⑦作者が全体を通して、どのような工夫をして書いているのか読み取る。

⑧他のあまんきみこさんの書いた物語を楽しむ。（読書の時間など）

⑨ふしぎな物語を書く計画を立てる。

⑩⑪よく似たことが3回繰り返される物語を書く。

⑫互いの作品を読み、感想を書く。

　実際にこの単元の指導をしたのは、20年ほど前です。しかし、今の学力観から考えてもさほど色褪せていない実践のように思いますが、いかがでしょうか？

　今なら3次構成にして、上記の①の前か、①の中に、学習全体の見通し、つまり、「この物語を読むこと、そして、この作品を読んだ後、よく似た物語を書くこと」について、子どもたちにもう少し詳しく説明する時間を設けるかもしれません。

　少し実践の時間が長いような気もしますが、ある程度、よい作文を書かせるためには、必要なことのように思います。

🟠授業実践の背景

　私自身は、指導する前から、あまんきみこさんの「名前を見てちょうだい」という作品を読むのは、よく似た物語を書くためであるという意識を強くもっていました。

　そのように意識していたのは、この指導をした当時、私は、ある教育系大学の附属小学校に勤務していて、いろいろなことを周りの諸先生から教えてもらっていたからです。

　この実践当時、私は、国語科を主に研究する教員の一人で、国語科の研究テーマが作文教育に主眼を置いたものでした。

　そして、同じく国語を研究する先輩の先生方から、作文を書く時には、物語文や説明文の内容や構成を上手に活用することのよさについて教えてもらっていました。

　そして、「みくのふしぎなピアノ」という素晴らしい作品ができたのは、私の指導の力も少しはあったかもしれませんが、子どもたちのもつ素晴らしい資質や能力に支えてもらっていたからです。

　私が勤務していた附属小学校にいた子どもたちは、家庭の教育環境も素晴らしく、学ぶことに対してとても意欲的でした。元々の読書量も多く、理解力も高く、有能な子どもたちがたくさんいました。

「みくのふしぎなピアノ」という作品を書いた柳原茉美佳さんがとても勉強熱心で、素晴らしい能力のある子どもであったから、よい作品ができたということも紛れもない事実です。

　柳原茉美佳さんには、最近連絡を取ることができ、子どもの用のブログに作品を掲載することを了承していただきました。改めて感謝したいと思います。

　柳原茉美佳さん、ありがとうございます。

　次回からは、各時間の「指導の工夫」について書きます。

　なお、この「物語を書く指導」に合わせて、子ども用ブログ「よみもの」でも、子ども向けに「物語を書こう」という文章を書いています。そちらもお読みいただけたら嬉しいです。