母親ノート法(2)快・不快と評価基準 親子関係

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つばさ
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母親ノート法について知りたいです。

 親子関係は時にはむずかしいことがあります。

 今回は、「母親ノート法:快・不快と評価基準」を中心に書きます。

母親ノート法:快・不快と評価基準 

🟠母親ノート法:快・不快と評価基準

<快・不快の原則>

 人は、快・不快に従って行動しているという心理学的な知見を広めたのは、精神分析をはじめておこなったフロイトです。

 フロイトは、1956年に生まれ、1939年に亡くなった心理学者であり、精神科医です。精神分析学の創始者でもあります。現在、日本でも、カウセリングや心理療法が普通に行われていますが、その端緒を作った人物です。

 心理学では、快・不快は行動を理解するための最も基本的な心の動きであると考えられています。

 人や動物は、快をもたらす刺激を得ようと近づきますが、不快をもたらす刺激を避けたり、不快な状態を続ける刺激からは逃げたりしようとします。あるいは、不快な状態を解消するように行動しようとします。これらの接近・回避・逃避行動は、環境に適応し、生存の確率を高めるための基本的な行動の原理であるとされています。

 子どもの日々の行動においても、楽しいことや嬉しいことは進んでしようとしますが、嫌なことや痛いこと、不快なことなどは避けようとします。

 親に褒められたり、認めたれたりすることは、快につながることですが、叱られたり、楽しいことを止められたりすることは、不快につながることです。

 大人も同じでしょうが、子どもにとって、勉強したり運動したりすることが、時には、快になったり、不快になったりします。

 親や教師が、子どもにとってよいと思える行動をさせようとすれば、この快・不快の原則を上手に使うことは効果的かもしれません。

 しかし、子どもは、いつも大人にとってよいと思える行動だけをするわけではありません。子どもの日々の行動に対して、親や保護者や教師などの大人は、子どもを褒めることも叱ることも上手にできなければいけません。子どもを普通の常識をもつ大人にするためには、よいことをした時には褒め、よくないことをした時には、叱る必要があります。

 褒めることが子どもの快につながることだとしても、子どもがよくない行動をしている時に、子どもを褒める行為は、自分は特別な存在だという意識を増長させるだけで、かえって子どもの行動を間違った方向に向かわせることになる可能性もあります。

<不登校の子どもの親の心理>

 東山紘久氏は、「母親と教師がなおす登校拒否ー母親ノート法のすすめ」という本(創元社・1984年)の中で、次のように書いています。

 登校拒否の母親は、問題を前にして、多くの試行錯誤をやりがちになる。子どもの言うことを聞いてやらねばと思い、そのようにすると、つけあがったり、怠けがひどくなったように思い不安になる。また、多くの人々から、多くの異なった助言を受ける。これらの助言は、一つ一つは正しいのだが、お互いに矛盾する原理であることが多い。一番多いのは、「そんな風に子どもの言いなりになるから、ますます増長し、学校へ行かないのですよ。もっと厳しく躾けないとだめです」と「そんなに学校へ行かそう行かそうとしてはだめです。子どもの言うことを、しっかり聞いて受けとめてやらねばいけないのです」「お母さん、のんびりしていてはだめです。どんどん適切な手段を取りなさい」などなど、である。両方ともある意味で正しいだけに始末が悪い。

母親と教師がなおす登校拒否ー母親ノート法のすすめ

 子どもが不登校(登校拒否)に陥ると、母親は、普段とは違う子どもの行動に対して、どうしたらよいかわからなくなって、さまざまな行動をとることになります。いろいろな人から、いろいろな助言を受け、ますます混乱することになります。間違った母親の行動は、時には、子どもの怒りをかい、子どもの間違った行動を誘発することにもなります。

 では、子どもが不登校になった場合、どうすればいいのでしょうか。

<母親ノート法とその行動基準>

 このような不登校の子どもをもつ母親のために考えられたのが母親ノート法です。

 母親ノート法とは、母親が厚めのノートを一冊用意することから始まります。

 東山紘久氏は、次のように書きます。

 登校拒否をおこしている子どもとあなたとの会話を、お子さんには秘密で、できるだけ詳しく書いていただきたい。お子さんとの会話だけでよい。

母親と教師がなおす登校拒否ー母親ノート法のすすめ

 母親ノート法では、母親の行動基準も示されています。

 東山紘久氏は次のように書きます。

子どもが快になることはする。不快になることは避ける。

母親と教師がなおす登校拒否ー母親ノート法のすすめ

 これだけです。これが母親のとるべき行動基準だとしています。

 そして、前回書いたTパターンの会話:子どもが話し、母親がそれに答えるような会話で、子ども主導型の会話パターン」を母親が子どもとすることをすすめています。

 さらに、会話の評価基準も設けています。

 母親自身の行動を自己評価できるようにした。

 快、不快を非常に快から非常に不快まで、プラス三からマイナス三まで点数化する。この点数は、母親がその時感じた主観で点数化すればよい。快、不快のない普通の会話は零点である。一週間毎にその合計を計算し、合計がプラスならば治る方法に、マイナスならば、症状が悪化する方向に、子どもが進むことがわかる。これは、多くの体験からそうなるのである。

母親と教師がなおす登校拒否ー母親ノート法のすすめ

 母親ノート法では、母親がずっと子どもに対して、Tパターンの会話を続けることができるように、定期的に、カウンセラーや心理療法士などに会うことを勧めています。

 母親が、カウンセラーや心理療法士などに会うのは、母親の精神状態を正常に保ち、子どもから母親に対して向けられた負の感情を解消するためでもあります。

 このように、母親ノート法を実施して、Tパターンの会話を続け、ノートに子どもとの会話を記録することは、とても困難な作業です。 

 しかし、不登校になって苦しんでいる我が子を目の前にして、何をしてよいか戸惑い、悩み、苦しむ母親や父親などの両親や保護者、兄弟姉妹や孫などが不登校になって苦しんでいるのを見守る家族や苦しむ子どもや家族に対して無力感を覚える学校の教員などにとっては、具体的な方法が示されていますので、微かな希望の光になるかもしれません。

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母親ノート法(8)親の心、子どもの心に進む内部リンク

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