個別の指導計画の作成方法について知りたいです。
小学校には、様々なタイプの子どもがいます。
その子どもの中には、特別な教育的ニーズを必要とする子どもがいます。
その子どもたちに適切な支援をするためには、子どもに合った資料を作る必要があります。
今回は、「個別の指導計画」について書きます。
個別の指導計画
🟠個別の指導計画
<個別の指導計画とは>
「個別の指導計画」について、平成29年告示の「小学校学習指導要領」に次のように書かれています。
個別の指導計画は,個々の児童の実態に応じて適切な指導を行うために学校で作成されるものである。個別の指導計画は,教育課程を具体化し,障害のある児童など一人一人の指導目標,指導内容及び指導方法を明確にして,きめ細やかに指導するために作成するものである。
小学校学習指導要領
「個別の指導計画」は、個々の子どもの実態に応じて、適切な指導を行うために、各小学校で作成されるもので、教育課程を具体化して、障がいのある子どもなど一人一人の指導目標、指導内容及び指導方法を明確にして、きめ細やかに指導するために作成するものです。
「個別の指導計画」を作成することで、教育課程を具体化し、指導の目標、内容、方法、合理的配慮などを明確にして、きめ細やかに指導することができます。
各教科等の指導などにおいて、特別支援学級担任や学級担任と教科担当、支援に入っている教員などと指導についての情報交換を円滑に行うことができます。
行った指導内容や、その結果の有効だった手立て、うまくいかなかった手立などを具体的に記すことで、計画的、継続的な指導ができます。
<個別の指導計画を作成する手順>
「個別の教育支援計画」を作成するためには、次のような手順が必要になります。
① 情報収集と的確な実態把握を行う。
→個々の子どもについて、障がいの状態、興味・関心、生活環境、 本人や保護者のニーズ等を的確に把握します。
② 指導目標の設定をする。
→実態把握に基づき、1年間または、学期ごと等の長期的な観点からの目標とともに、学期、月、単元ごと等の短期的な観点からの目標を設定します。
③ 指導内容、指導方法などの設定をする。
→指導目標を達成するために必要と思われる具体的な指導内容や指導方法、合理的配慮などの指導の手立てなどを設定します。
④ 指導や支援を行う。
→計画に基づいて、実際に指導や支援、合理的配慮などを行い、その記録をします。
⑤ 評価・修正をする。
→指導目標に基づき、指導の成果についてPDCAサイクルで評価を行います。
PDCAサイクルとは、「Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)」の頭文字を取ったものです。何かを実施する際に、「計画→実行→評価→改善→新たな計画→新たな実行」というように、改善しながら、継続的に行う方法です。
<作成にあたっての基本的な考え方>
○ 校内委員会などの組織で作成する。
中心になって作成するのは、実際に指導を行う特別支援学級担任、学級担任ですが、特別支援コーディネーター、管理職、養護教諭なども入った校内委員会も支援に入って作成することになります。
○ 子どもの特徴、特性がわかるものにする。
誰にでもあてはまる一般的なことも記載する必要はあるが、できるだけ、その子どもの障がいや個性、特徴、特性に合わせた具体的な事柄も書くようにする方が、具体的な指導の役に立つことになります。一般的な事柄と、具体的な事柄のバランスを考えて書くようにすることが大切です。
○ 授業と結びつく目標と手立てを考える。
一人一人の子どもの学習活動が十分に成し遂げられるように、指導上の留意点や手立てなどを明確にした指導計画を作成することが大切です。
一人一人の子どもが目標を達成するためには、子どもが学びやすい学習環境を設定し、指導内容に合わせて、教材や教具を工夫することと共に、授業における課題提示の仕方、主体的な学習活動に結びつく指導や支援や援助の仕方などを具体的に考える必要があります。
個々の子どもにとって、最も必要とする援助の方法や合理的配慮などを明確にすることが大切です。
○ 引き継ぎしやすい形式にする。
その子どもに合った内容や具体的な手立てについては、担任が変わっても継続できるように、引き継ぎがしやすい形で記載することが大切です。
特に、有効な手立てなどについては、きちんと引き継げるように書くと、役立ちます。
○ 保護者とのよい関係を築き、願いや評価などを共有しながら作成する。
学校が作成したものは、保護者にも見ていただき、保護者の願いなども取り入れていくことも大切です。子どものことを一番よく知っている保護者からの助言は役に立つことも多いです。
<具体的な個別の指導計画作成にあたって>
文部科学省や各教育委員会などでは、具体的な様式例を作成し、公開しています。
各校の形式を決める際には、そのような様式を参考にすることが大切です。
様式例に、たくさんの事柄が記載されていても、深く考えすぎない方がいいです。
すぐに全ての欄を書き、完成しようとするのではなく、書ける部分から書いていくことも大切です。
一度に完成するものではなく、指導を重ねる中で、少しずつできあがっていく部分も多いです。
計画ですから、本来は、実際に指導する前にできているものです。しかし、子どもによっては、実態把握に時間がかかるというのも事実です。
今年度作成したものが、次年度に生かされていくことで、少しずつよりよいものになっていくという考え方をもつことが大切です。
実際の作成にあたっては、次の教育委員会の作成例や、自分の所属する教育委員会の作成例などを参考にするとよいと思います。
大分県教育委員会作成「個別の指導計画作成・ 活用マニュアル 」に進む(外部リンク)
岩手県教育委員会作成「個別の指導計画の作成と活用」に進む(外部リンク)
山口県教育委員会作成「個別の指導計画・個別の指導計画の記入例」に進む(外部リンク)
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関係する言葉については、次のページをお読みください。
合理的配慮に進む(内部リンク)
個別の教育支援計画に進む(内部リンク)
発達障がいとは?に進む(内部リンク)
特別支援教育の変遷に進む(内部リンク)
吃音とは?に進む(内部リンク)
教育書紹介:発達障害の子どもたちに進む(内部リンク)
教育書紹介 飛び跳ねる思考に進む(内部リンク)
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