教室で、座り続けることは良くないんですか?
学校では、多くの時間、椅子に座って学習しています。
しかし、座り続けることは良くないそうです。
今回は、「座り続けることは危険」であることについて書きます。
合わせて、「体育座りの危うさ」についても書きます。
座り続けることは危険
🟠座り続けることは危険
数年前に放送されたNHKの「クローズアップ現代」という番組の中で、「座り過ぎること」のリスクに関する情報が伝えられていました。
学校では、子どもは多くの時間を、教室で、椅子に座って過ごしています。
座って過ごすことの健康への悪影響は子どもにも及ぶそうです。
今、世界各国で「座りすぎ」が健康に悪影響を及ぼすとの研究が相次いで発表されています。
オーストラリアで行われた22万人規模の調査では、1日11時間以上座っていると、4時間未満の場合と比べ、死亡リスクが40パーセント高まるとの結果が明らかになったそうです。
危機感をもったオーストラリアでは、国を挙げて様々な取り組みをしています。
オーストラリアの一部の学校では、簡単に高さを変えることのできる机を導入し、ある教室では、子どもと相談し、授業中に立って学習する時間を増やしているそうです。
🟠なぜ、座りすぎが問題なのか?
なぜ「座りすぎ」が人体へ悪影響を与えるのかといえば、次のような研究結果があるそうです。
人間は座るとすぐに、脂肪を分解する酵素リパーゼが90パーセント減少し、インスリンの値は下がり、善玉コレステロールも減少し、血圧は上がります。
脚の筋肉で支えていた体重は、首と背骨にかかり、脳の血栓ができやすくなります。
さらに、肥満、糖尿病、心循環系の病気のリスクも高まります。
心臓病のリスクも2倍になり、乳がんにも悪影響を与えているといわれています。
運動不足をカバーするために、例えば、週末にまとめて運動してもこのリスクは下がらないことが分かっているそうです。
そうした中、世界で最も座る時間が長いのは、なんと日本であるという調査結果が出ました。
日本では、お茶、生け花、習字など伝統文化の中で座ることが基本のものも多いです。
その上、テレビを見たり、ゲームをしたりする時間が多く、大人の中には車を使って通勤したり買い物したりする人もいます。
仕事はパソコンを使ったデスクワークなどが中心のサラリーマンも多いです。
🟠対策について
そこで、日本企業の中には、「長く座って働くスタイル」の見直しが進んでいるところもあります。
本社を移転したある大手IT企業は、「立ったまま」仕事ができる昇降式のデスクを1万3千台導入しました。
これまで「座り心地の良い椅子」を追求してきたメーカーも対策を迫られているそうです。
米国のユタ大学などの合同研究チームは、加速度計で計測した3200人超の成人男女のデータを活用し、歩行などの軽い運動と、立っているなどの低強度の運動のいずれかをより長く行った場合の効果を比較しました。
3年間の追跡期間中に137人の死亡が確認されました。
ただ立っているだけの運動では、長時間座り過ぎていることで生じる健康リスクを打ち消すことはできませんでしたが、歩行や掃除などの軽い運動を短時間行うと、1日の半分以上を座って過ごしている人の寿命が延長されることが分かりました。
1時間あたり2分間、座っている時間を軽い運動に置き換えると、死亡するリスクが33パーセント低下したそうです。
オーストラリアのように国を挙げて、座り過ぎることのデメリットを伝え、学校などの公的な機関が具体的な対策をとっているところもあれば、日本のように「座り過ぎること」の危険さについてまだまだ十分情報が浸透していない国もあります。
ぜひ、1時間の授業の中でも、立って活動する時間を増やしてあげてください。
体育座りの危うさ
🟠体育座りの危うさ
座ることに関係する問題として、最近取り上げられているのが、「体育座り」です。
最近、体育座りが、子どもの腰痛を誘発しているという報告があります。
「体育座り」は1965年、当時の文部省が「集団行動指導の手びき」で「腰をおろして休む姿勢」として紹介したのがきっかけだそうです。
体育座りは、骨盤が後傾し、腰が曲がり、胸椎が曲がるので、腰に強いストレスが加わります。その上、内臓を圧迫し、呼吸がしづらくなります。
🟠体育座りに変わる方法
中学校などでは、体育館で話を聞く時には、体育座りをやめて、パイプ椅子などを用意し、それに座らせている学校もあります。
体育の時間などに、パイプ椅子を用意することはできません。
短い時間、座って話を聞かせるためには、「体育座り」より「あぐら」が良いそうです。
その理由としては、あぐらは、背筋がまっすぐ保ちやすいからです。
「体育座り」という姿勢を、学校教育の中で、取り入れているのは、日本だけです。
では、海外では、どうなっているのでしょうか。
イギリス・フランスなどでは、先生が「きちんと座ってください」と言うと、「あぐら」をかくことが多いそうです。
日本では、多くの教員が、子どもたちに、同じ姿勢を強要しがちです。
ぜひ、子どもの健康を考慮して、指導することを考えてほしいです。
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