物語文の設定やあらすじの指導の仕方を教えてください。
物語文の指導の仕方を書いています。
今回は、次のことを書きます。
物語の設定を知り、あらすじを楽しみ、読書に親しむこと
物語の設定を知り、あらすじを楽しみ、読書に親しむこと
物語文で指導すべきこと・身につけさせることは、次の3つです。
○ すらすら音読できることを楽しむこと。
○ 物語の設定を知り、あらすじを楽しみ、読書に親しむこと。
○ 自分の考えを発表し合い、互いの考えを知り合うことを楽しむこと
今回は、2つめのことについて書きます。
🟠物語の設定を知り、あらすじを楽しむこと
物語文の指導のポイントの1つは、「物語の設定や場面の変化、あらすじを知ること」です。
物語には、「(場面)設定」があります。
「いつの、どこでの、だれが出てくるお話か」ということです。
この「いつ(時間)、どこ(場所)、だれ(登場人物)」を、まずおさえることが大切です。
よく知っている「浦島太郎」のお話では、「むかし(いつ)、浜辺で(どこ)、子どもたち(だれ)が、かめ(だれ)をいじめており、それを、浦島太郎(だれ)が助ける」ところから物語が始まります。
この3つの「いつ、どこ、だれ」が変化していくことで、物語が進み、「いつ、どこ、だれ」のうち、何かが変わることを「場面が変わる」といいます。
「いつ、どこで、だれが、どうしたか」の大きな流れを「あらすじ」といいます。
物語を読むこととは、「設定を知り、場面の変化を楽しむこと=あらすじを楽しむこと」です。
物語の詳細な表現や、登場人物の気持ちを楽しむことも大切でしょうが、そのためにも、物語の学習では、「設定、場面の変化、あらすじ」を読めるようになることが大切です。
🟠市毛勝雄さんの考える指導方法
市毛勝雄氏は、「文学教材の授業改革論」(明治図書、1997年)の中で物語文の指導として、次のような方法をすすめています。
物語の全体を5つの場面に分けます。場面の区切りは、指導者で指示します。その次に、それぞれの場面を20~30字程度の短い文章にまとめる活動をします。短い文章をまとめるのは、一人一人にさせてもいいですし、4~5人の小グループで考えさせてもいいです。個人やグループで考えさせた後、クラス全体で話し合います。個人学習を中心にするのか、グループ学習を中心にするのかは、それまでの学習経験やクラスの実態に合わせてさせてみるとよいでしょう。
市毛勝雄著「文学教材の授業改革論」明治図書、1997年
例えば、4年生の物語文教材である「ごんぎつね」のお話を30字程度でまとめてみると、次のようになります。
1 いたずらっこのごんが、兵十が母のためにとっていた魚をにがす。
2 兵十の母親が死んだことを知り、ごんは兵十につぐないを始める。
3 ごんのつぐないが兵十をおいつめ、ごんはさらにつぐないを続ける。
4 つぐないを神様のおかげと話す兵十と加助にごんはがっかりする。
5 いたずらをしにきたと思い、兵十はごんをうつが、その真意を知る。
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いかがでしょうか。全部で150字程度にまとめていますが、よく「あらすじ」がわかるのではないでしょうか。
低学年と高学年では、学習する物語の長さに違いがありますので、この活動を同じようにさせても、十分学習として成立すると思います。
物語のあらすじをとらえる学習として、一度この学習に取り組まれてみるとよいと思います。
最近は、3次構成で、国語の単元の学習を考えることが多いです。3次構成で、「ごんぎつね」の教材を使った単元の学習を考えると、次のようになります。
1次で、本の紹介をすることを知らせ、2次で、「ごんぎつね」のあらすじをまとめ、3次で、自分の選んだ本(きつねの出てくる物語、新美南吉の他の作品など)をあらすじにまとめてから、後半の場面を省いて本の紹介をするという、学習も考えられると思います。
「場面やあらすじの教材研究の仕方」については、本ブログ内で書いています。よければ、併せて、お読みください。
物語文の教材研究の仕方(4)に進む(本ブログ内)
🟠読書に親しむこと
物語文の学習では、教科書に出てくる教材を読むだけでは、物語を読む力を育てることはなかなかできません。
では、どうすればいいのでしょうか。
それは、教科書に出てくる物語文と関係する本を読むことです。
先程少し述べたように、「ごんぎつね」の学習では、きつねの出てくる物語や作者の新美南吉さんの書いた他の物語文を読む機会をもつことが必要だと思います。
読む力を育てる② 教科書の作品の姉妹作品を読むに進む(内部リンク)
多くの小学校では、学校にある図書室を使える時間を割り当てて、週に1回程度、図書の時間を設定していることが多いです。
今まで経験した小学校の図書室の活用方法としては、子どもに、読みたい本を自由に選ばせる「自由読書」が多かったように思います。
「自由読書」もいいでしょうが、時には、「新美南吉さんの本を読みましょう」や「動物の出てくる物語を読みましょう」といったように、テーマを指導者が決めて、本を読む機会をもつことも大切だと思います。
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