生活指導の仕方について知りたいです。
小学校においては、生活指導を行う必要があります。
今回は、「生活指導の進め方」について書きます。
生活指導の進め方
🟠生活指導の進め方
<生活指導とは?>
生活指導とは、教育課程の中で。教科外活動(特別活動など)に主に位置づけられる教科・科目以外の方法で、子どもの意識や生活態度や行動などを、教員が指導・助言することです。
生活指導に似た言葉に生徒指導という言葉があります。
文部科学省の国立教育政策研究所では、「生徒指導って、何?」という生徒指導リーフを2012年(平成24年)に、その第2版を2015年(平成27年)に発行しています。
その冊子の中で、「生徒指導」について、次のように書いています。
生徒指導とは、社会の中で自分らしく生きることができる大人へと児童生徒が育つように、その成長・発達を促したり支えたりする意図でなされる働きかけの総称のことです。
すなわち、 学校生活の中で児童生徒自らが、その社会的資質を伸ばすとともに、さらなる社会 的能力を獲得していくこと(社会性の育成)、そして、 それらの資質・能力を適切に行使して自己実現を図りながら自己の幸福と社会の発展を追求していく大人になること(社会に受け入れられる自己実現)、そうしたことを願って児童生徒の自発的かつ主体的な成長・発達の過程を支援していく働きかけのことを、生徒指導と呼んでいます。
生徒指導って、何?
具体的には、様々な場面であいさつをすること、授業中にきちんと着席すること、教師などの話に耳を傾けること、積極的に考えたり発言したりすること、友人関係について考えること、将来のために自分の生き方や将来の職業などついて考えることなど多岐にわたります。
生活指導の中には、子どもが起こすいじめや暴力行為、万引きなどの問題行動への指導や、学校を遅刻したり休みがちになったりする子どもへの対応なども入ります。
また、多くの小学校では、子どもが日々、よりよい学校生活を過ごすために、学校生活の様々な約束やきまりを作っています。学校にある校務分掌の一つである「生活指導部」などが中心になって月目標や週目標などを作って子どもに守るように指導している学校もあります。
学校の生活指導では、子どもの学校生活におけるきまりだけでなく、「校区以外の場所には行かないようにしましょう」、「髪の毛を染めないようにしましょう」などといった本来は各家庭で決めるべき事柄にまで踏み込んできまりを決めている場合もあります。
多くの学校は、できるだけ子どもが問題を起こさないように、また、問題に巻き込まれないように、多岐な場面に渡り、詳細な子どもの規範を取り決めている場合もあります。
詳細な学校のきまりを決めている理由としては、次のようなことが考えられます。
学校では、多くの子どもが学んでいます。そこで学ぶ子どもやその保護者の価値観も様々です。そのために、何でも保護者や各家庭の価値観で自由に決めて行動することを許すと、とても華美になったり、時には風紀が乱れたりすることがあるからです。
そこで、様々な影響を考慮して、学校では、基本となる学校生活のきまりを決めていることがあります。
<生活指導部会>
多くの小学校では、生活指導部会を設定していることがあります。
生活指導部会の会合へは、各学年の教員が交代で参加することもあります。
生活指導部会の役割の1つは、月ごとの生活目標のきまりを設定することです。「廊下は歩きましょう」「手をしっかり洗いましょう」「あいさつをしっかりしましょう」などの月ごとの目標を決めたり、決めた目標を、朝会などでその週の係の先生が子どもに向けて講話をしたりします。
生活指導部会の役割の2つめは、登下校指導や運動場などでの遊びの指導です。朝は、正門や通用門などに管理職と一緒に立ち、子どもの登校の様子を見守り、あいさつの習慣がつくように、進んであいさつをします。休憩時間には、運動場で、子どもの遊びの様子を見守ります。このような活動は絶対に行なっているわけではなく、学校により取り組み具合は、様々です。
また、月に1回程度、生活指導部会を開き、学年の代表が集まり、日常の学校生活において、気になる子ども指導した内容について情報交換をすることもあります。いじめ、けんか、学校外での子どもの不適切な行動や保護者から相談のあった事柄などについて情報交換をすることもあります。簡単な指導や助言で終わらないような、少し深刻な子どもの問題行動に関しては、生活指導部会の場で報告を行い、今後の方針を相談することもあります。
子ども理解のために、問題行動などに関しては、月に1回程度開催される職員会議の後で、児童理解報告会という会議をそのまま開き、子どもの問題行動や配慮すべき事柄について、全教職員で共通理解する場をもつこともあります。
冬が近くなると、子どもの防寒着について、どのような服装や持ちものを許可するのか話し合い、共通理解し、保護者に配付するプリントのたたき台を作成することもあります。
多くの小学校では、子どもの発達段階などを考慮して、シャープペンシルを禁止し、鉛筆を持ってくることを奨励することが多いです。そのような些細な事柄について、子どもや保護者の考えに自由に任せればよいという考えがあることもわかります。ただ、学校側としては、①鉛筆のほうがシャープペンシルよりも扱いやすい、②カチカチと音がしてうるさい、③芯が折れると集中力が途切れる、④授業中鉛筆を取りかえることは数秒でできるが、替え用の芯をシャープペンシルに入れる間、子どもは作業が中断してしまう、⑤芯が刺さると危険である、などさまざまな理由でこのルールを決めています。
このような些細なルールを作ることの良し悪しについて考えることも、大きな意味では、生活指導に入るかもしれません。
学校によっては、かなり詳細な学校生活のきまりを作成し、保護者と子どもに配付しているところもあります。
<問題行動に対する指導>
子どもがけんかをしたりいじめをしたりすることに対する個別の指導も生活指導になります。多くの場合は、学級担任が当事者の子どもなどから話を聞き、解決に向けた指導をすることが多いです。問題が大きな場合は、学年主任や生活指導部長、管理職などが一緒に話を聞く方がよい場合もあります。
簡単な指導の場合でも、担任は必ず、管理職などに報告、連絡、相談をしておく必要があります。
話を聞く際には、できるだけ、子どもが話がしやすい雰囲気の中で、正確に事実関係を聞きとり、記録を取ることが必要です。放課後などに話を聞き、下校が遅くなる場合などは、保護者への連絡などを前もってしておくことも必要です。
聞き取った内容は、解決に向けて、子どもの了解を得た上で、必要に応じて、保護者などに対して報告することも必要です。
担任が簡単な問題だと思っていても、深刻な問題を含んでいることもあります。問題の内容によっては、管理職が教育委員会や警察、児童相談所などの他の機関と連携を取って解決を図る必要のある問題もあります。
本来、子どもの問題行動は、その予防と早期発見に力を注ぐべきです。しかし、問題が大きくなってから露見することもあります。教員が問題を掴んだときには、その問題は担任1人の力では解決するのがむずかしい問題になってしまっていることもあります。
そういう意味では、情報を得た段階で早期に、他の教員や管理職などに報告、連絡、相談することはとても大切です。自分だけで解決しようとしないで、多くの人の協力を得ながら解決することも大切です。
報告・連絡・相談については、次のページもお読みください。
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また、子どもが問題行動を起こすことについては、次のページを読んでみてください。
教育書紹介:子どもと悪に進む(内部リンク)
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