子どもの実態を知ることは大切です。
作文指導について書いています。今回は、次のことを書きます。
子どもの発達段階を知る
子どもの発達段階を知る
以前勤めていた学校で、「作文指導」を中心に、研究をしていたことがあります。
その時に、先輩の先生からお聞きした話なのですが、小学校の子どもの作文には、発達段階に応じた成長の傾向があるということでした。
それは、低・中・高学年の子どもが書いた作文には、発達段階に応じて、次のような作文の型が徐々にできあがってくるのではないか、ということでした。
低学年の子ども・・・並べる
中学年の子ども・・・組み立てる
高学年の子ども・・・変える
🟠低学年の段階「並べる」
最初に、低学年の段階について書きます。
例えば、6学年全ての子どもに、「遠足」という同じ題材で作文を書かせたとします。すると、「並べる」という傾向をもつ低学年の子どもの作文は、次のような特徴があります。
遠足の出来事を、次のように細かく区切って書いていきます。
朝学校に来たこと。遠足で楽しみだったこと。電車に乗ったこと。電車の中外の様子を見たこと。遠足の場所に着いたこと。しばらく遊具で遊んだこと。友だちとお弁当を食べたこと。
このように、小さな出来事を区切って、同じような配分で書いていきます。まるで、ブロックをきれいに「並べる」ように、作文を書いているように見えます。
それは、低学年の子どもの記憶が断片的で、その時々にあった出来事や行動、友だちとの会話などのうち、印象に強く残っている部分が、思い出され、それを作文に順番に書いていくので、このような傾向があるのではないかということでした。
🟠中学年の段階「組み立てる」
次に、中学年の段階について書きます。
同じように、「遠足」という題名で作文を書かせたとします。すると、「組み立てる」という傾向をもつ中学年の子どもの作文は、次のような特徴があります。
遠足の出来事を、「はじめ、なか、おわり」のまとまりで書いていきます。
例えば、最初に、はじめで、「遠足の遊具での遊びについて書くこと」を書きます。なかでは、「遊具では、誰とどんなことをして遊んだのか、誰がどんなことを言ったのが面白かったのか」などを書きます。おわりで、「たのしかったので、また、遠足に行って、友だちと遊びたいこと」など感想を書きます。
今まで読んできた説明文などの学習で、わかりやすい文章は、「はじめ、なか、おわり」のまとまりで書かれていることを学習したり、1分間スピーチなどをする時に、「はじめ、なか、おわり」を意識するように指導されたりしてきているので、自然と「はじめ、なか、おわり」の型が子どもの中に定着しているのではないかということでした。
低学年のように、出来事を同じウエイトで書くのではなく、一部は省略し、一部は強調することで、自分の伝えたいことが分かりやすく作文に書けるようになるのではないかということでした。
🟠高学年の段階「変える」
最後に、高学年の段階について書きます。
同じように、「遠足」という題名で作文を書かせたとします。すると、「変える」という傾向をもつ高学年の子どもの作文は、次のような特徴があります。
遠足の出来事を、普通に書くのはなく、自分なりの変化をもたせて書く子どもが増えます。
例えば、次のような作文が考えられます。
・書き出しを、会話文や音、時、情景描写、よびかけの文などからはじめる。
・インタビュー形式やドキュメンタリ形式で書く。
これは、作文などの学習を通して、書き出しの工夫について学んだり、説明文や物語文などの学習を通して、様々な文種に触れ、文章の書き方には、いろいろあることを知ったりして、作文を書くときにはいろいろな工夫をした方が、読み手を惹きつける作文になるということを学んできたからではないか、ということでした。
さて、あなたの学級の子どもの作文には、どのような傾向がありますか。
様々な書き方を教え、実際に文章を書く活動を通して、子どもの書く力を伸ばしてください。
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他の作文の指導については、次のページをお読みください。
作文のすすめ(8)低学年向けに進む(内部リンク)
作文のすすめ(9)中学年向けに進む(内部リンク)
作文のすすめ(10)高学年向けに進む(内部リンク)
作文のすすめ(11)卒業文集に進む(内部リンク)
作文のすすめ(1)400字作文に進む(内部リンク)
作文のすすめ(2)400字作文の実際に進む(内部リンク)
作文のすすめ(3)指導前に、自分が書いてみるに進む(内部リンク)
作文のすすめ(4)書きたいことがある状態にするに進む(内部リンク)
作文のすすめ(5)構想表についてに進む(内部リンク)
作文のすすめ(6)自由作文に進む(内部リンク)
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