物語を書く指導(5) 指導の工夫③

指導方法
つばさ
つばさ

筆者の表現の工夫を考えることは大切ですよね。

 小学校の国語の学習には、物語を書く学習があります。

 ここでは、「物語を書く指導(5):指導の工夫③」について書きます。

物語を書く指導(5):指導の工夫③

🟠単元「できごとが3回くりかえされるお話を書こう」の指導の工夫③

 この単元では、「名前を見てちょうだい」の内容や表現を読む時に、次のような計画で学習をしました。

⑦ 作者が全体を通して、どのような工夫をして書いているのか読み取る。

⑧ 他のあまんきみこさんの書いた物語を楽しむ。(読書の時間など)

 では、順に指導者の工夫について書きます。

🟠「筆者の表現の工夫を読み取る」指導の工夫(7時間め)

<表現の工夫を読む>

 小学校で、国語の物語文や説明文の読み取りをする場合、教員の指導は、内容の読み取りに終始することが多いように思います。

 しかし、私は、物語文や説明文の読みとりの際には、内容の読み取りと合わせて、表現の読み取りも大切であると考えています。

 その文章で「何が」書かれているのかということを理解することもとても大切ですが、「どう」書かれているかということを理解することもとても大切なことです。

 よく1時間時間を使って、「筆者の指導の工夫を考えよう」という授業を行なっていました。

 筆者の表現の工夫を読み取る学習については、他の教材になりますが、次のページにも書いています。

説明文の指導の仕方(7)に進む内部リンク

<「名前を見てちょうだい」の表現の工夫>

 このあまんきみこさんの「名前を見てちょうだい」という物語文の表現の工夫にはどのようなものがあるのでしょうか。

 この物語は、よく似たことが3回繰り返されますので、「よく似た表現が繰り返し出てくる」ということが大きな表現の工夫になります。

 それぞれの場面を読み取る際にも、子どもたちは気づいていましたが、全体を通してよく似た表現の部分に線を引き、抜き出す学習を行いました。

 こうすることで、子どもがあまんさんの行なっている表現の工夫に気付きやすいと考えたからです。

 子どもからは、次のような表現が発表されました。

・強い風がふいてきて、いきなりぼうしをさらっていきました。

・「こら、ぼうし、まてえ。」

・ぼうしは、リボンをひらひらさせながら、野原(こがね色のはたけ、七色の林)の方へとんで行きます。

・赤いぼうしをちょこんとかぶった・・・

・「(あたしの名前が書いてあるわ。)名前を見てちょうだい。」

 以上書いている以外にも、あまんさんの表現の工夫はたくさんあります。筆者の表現の工夫にたくさん気づけば、そのうちのいくつかの工夫を、自分の作文にも取り入れることができます。

 子どもの作文の質を高めるためには、表現の工夫を客観的に知ることは、とても大切な指導だと思います。

🟠図書の時間を使った学習(8時間め)

 物語を自分で作る際には、「登場人物」が「どのようなきっかけで不思議な世界に入るのか」「どのようなことが繰り返えされるのか」ということが、はっきりと自分自身で想定できないと書くことはできません。

 そこで、8時間めには、「あまんきみこ」さんの他の作品を読み聞かせることにしました。

 あまんきみこさんは、1980年、ポプラ社発行の「名まえをみてちょうだい」という作品集で、えっちゃんが主人公のよく似た出来事が3回繰り返される作品を他にも執筆されています。

 そこで、「はやすぎる はやすぎる」や「スキップ スキップ」という作品を読み聞かました。残った時間は、物語を読む時間をとりました。

 現行の小学校学習指導要領でも、低学年の「読むこと」の言語活動例として「読み聞かせ」について次のように書かれています。

イ 読み聞かせを聞いたり物語などを読んだりして,内容や感想などを伝え合ったり,演じたりする活動。

 文学的な文章について,読み聞かせをしてもらったり自分で読んだりしたこと を基に,内容や感想を伝え合ったり,演じたりする言語活動を例示している。 取り上げる文章としては,物語,絵本などが考えられる。 内容や感想などを伝え合うとは,例えば,物語のあらすじや登場人物の行動な どを文章にまとめたり,感想を述べたりすることである。演じるとは,例えば, 役割を決めて音読したり,紙芝居を行ったりすることである。

小学校学習指導要領解説 国語編

 週に1回、図書の時間を設定している学校も多いと思います。

 高学年では、週に1回図書の時間を設定することはむずかしいと思います。

 しかし、低・中学年では、週に1回ある図書の時間を設定していました。

 図書の時間は、自由読書にする場合と、このように今学習していることに関連した図書を読み聞かせたり、自力で読んだりする場合を使い分けるようにしています。

 

この学習に関係する指導については、次のページをお読みください。

物語を書こう(1)に進む外部リンク

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物語を書く指導(2) 単元目標と指導計画に戻る内部リンク

物語を書く指導(3) 指導の工夫①に戻る内部リンク

物語を書く指導(4) 指導の工夫②に戻る内部リンク

物語を書く指導(6) 指導の工夫④に進む内部リンク

物語を書く指導(7)  みくのふしぎなピアノ(全文)に進む内部リンク

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