「カタカナ」と「かたかな」、正しいのはどっちですか?
「カタカナ」という文字も「かたかな」という文字も見たことがあると思います。
なぜ、書き方が違うのでしょうか?
ここでは、「カタカナ」と「かたかな」、正しいのはどっちか?について書きます。
「カタカナ」と「かたかな」、正しい表記はどっち?
🟠「カタカナ」、「かたかな」の正しい表記
ブログやインスタグラムなどソーシャルメディアが、大流行です。少し前まで、自分の意見や考えを多くの人に伝える方法は、それほどたくさんありませんでした。
しかし、今やたくさんの文章が巷にあふれています。とてもいいことです。しかし、みなさんの書かれたものを読むときに、気になることがあります。それは、「かたかな」「カタカナ」の使い方です。
さて、表題についてですが、「カタカナ」と書くのが正しいのでしょうか? それとも、「かたかな」と書くのが正しいのでしょうか?
正解は、「かたかな」です。なぜなら、漢字で、「片仮名」という言葉があるからです。
🟠教科書の説明
東京書籍という教科書会社発行の小学校2年生の教科書には、3つの場合が載っています。
① 外国の地名や人の名まえ(一般的な言葉では、外国の固有名詞)具体的には、イギリス、ロンドン、リンカーンなど
② 外国からきたことば(一般的な言葉では、外来語)具体的には、チョコレート、ライオン、ヨットなど
③ ものの音やどうぶつの鳴き声(音と擬声語)具体的には、ガタンゴトン、ピーポーピーポー、ワンワン、ヒヒーンなど
正しい日本語を教えるはずの教科書には、この3つしか載っていません。
🟠小学校学習指導要領での説明
では、教科書を作るもとになっている学習指導要領ではどのように書かれているのでしょうか。
平成29年7月に発行された小学校学習指導要領解説国語編(以下、「指導要領」と書きます)では、1年生及び2年生で学習する内容として、次のように書かれています。
平仮名及び片仮名を読み,書くとともに,片仮名で書く語の種類を知り,文や文章の中で使うこと
小学校学習指導要領開設国語編
「かたかな」は、片仮名という漢字があるわけですから、純粋な日本の言葉なので、「カタカナ」ではなく、「かたかな」と書くのが正しいのです。
🟠なぜ、「カタカナ」と書くことがあるのか?
たくさんの大人が間違って「かたかな」ではなく、「カタカナ」と書くのは、なぜでしょうか。
一つの大きな理由は、銀行やクレジットカードなどの申込書の名前を書くときに、読みがなを書く欄に、「ふりがな」より「フリガナ」と書かれていることが多いからだと思います。
大人の常識として、「ふりがな」と書かれていれば、「なかむら」「たなか」のように「ひらがな」で読み方を書き、「フリガナ」と書かれていれば、「ナカムラ」「タナカ」のように「カタカナ」で読み方を書きます。そして、いつの間にか、「かたかな」は「カタカナ」と間違って覚えてしまうのではないかなと思います。
「片仮名で書く語の種類」についての詳しい解説は、学習指導要領には書かれていません。教科書会社は、この文章を拠り所に各会社で、協議を重ね、先程の3つのような説明を教科書でしています。
令和4年現在、小学校の教科書は4つあります。他の2社では、③のものの音やどうぶつの鳴き声を2つに分けて、4つにしています。もう1社では、2年生の教科書の中に、明確なかたかなについての説明の文章はありませんでした。
実際の日常の中では、片仮名を使う場合は、あと2つあります。
④ 図鑑などのように学術的な表記として使う場合。 例えば、トラやクジラ、アサガオ、イチョウなどのように図鑑などで示したり、説明したりする場合。
⑤ 強調するなどの効果を意図して使用する場合。 例えば、ネタバレ、ケータイなどのように、単語として使う場合もあれば、「あのお菓子、ヤバくない?」「このお菓子、オドロクほどおいしいわね。」のように、文章の中で強調して使う場合。
言葉は、使う人がある程度、自由に使って良いものだと思います。正しい使い方を知った上で、意図的に使うのは、自由だと思います。ですから、「片仮名」と表記しようと、「かたかな」と表記しようと、「カタカナ」と表記しようと、書き手の自由です。ただ、正しい使い方を知らないで、間違って使うのはどうかなと思います。
みなさんは、どう書きますか? 感想をいただけたらうれしいです。
🟠おまけ
なお、多くの子どもも、大人も「かたかな」を「カタカナ」と間違っていることを正すために、授業や家庭で、楽しく教える方法について、次のページでまとめていますので、併せてお読みください。
かたかなの教え方(内部リンク)
また、書き分けがむずかしい、片仮名の「シ」と「ツ」の字を、簡単に書き分ける方法を、次のページにまとめています。併せてお読みください。
片仮名の「シ」と「ツ」の書き分け(内部リンク)
さらに、擬態語を書くときに、間違って片仮名を使っていることについて書いているものが、次のページにあります。
かたかなと擬態語(内部リンク)
なお、漢字学習については、次のページを参考にしてください。
漢字学習(1)読みと書きを分けるに進む(内部リンク)
漢字学習(2)漢字辞典の引き方に進む(内部リンク)
漢字学習(3)指導者がペースを決めるに進む(内部リンク)
漢字学習(4)子どもを漢字のミニ先生にするに進む(内部リンク)
漢字学習(5)漢字の正しさ とめ・はね・はらいに進む(内部リンク)
漢字学習(6)漢字遊びのいろいろに進む(内部リンク)
漢字学習(7)異字同訓の漢字・同じ読みの漢字に進む(内部リンク)
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