授業づくりの観点設定の理由:修士論文08

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今回は、授業づくりの観点を設定した理由について書きます。

 修士論文の8回めです。

 今回は、「授業づくりの観点を設定した理由:修士論文08」についてです。

授業づくりの観点を設定した理由:修士論文08

🟠授業づくりの観点を設定した理由:修士論文08 

 今回は、「第3章:授業づくりの観点」の中の「第1節:授業づくりの観点を設定した理由」について書きます。

<授業づくりの観点を設定した理由>

 子どもにコミュニケーション能力を育成するためには、教室の場を中心とする学校の中で、子どもにとって必要感があり、効果のある学習を繰り返し行うことが大切です。

 第2章(修士論文04から07)で述べたように、今後増えることが予想されるとはいえ教科書には十分な教材が載っていない現状では、教師自身に、教材を開発したり、授業を構成したりする能力が望まれています。数多く刊行されている書籍や実践事例を真似て実践を行うことも大切でしょうが、目の前にいる子どもを見て、その子どもたちに相応しい、授業をつくっていくことは大切なことです。

 ここでは、様々な実践事例や研究者の知見をもとにコミュニケーション能力を子ども(特に、低学年の子ども)に育てる授業づくりを行う上で大切だと考える10の観点をあげて、それぞれの大切さについて述べていきます。

 10の観点とは、次の通りです。

観点1 子どもの実態を把握する。

観点2 子どもにどのような能力を身につけさせたいか考える。

観点3 子どもが楽しいと思えるような場をつくる。

観点4 実際の生活の場にかえるような場をつくる。

観点5 指導者が「話すモデル」を示す。

観点6 相手意識、目的意識、状況意識、方法意識をもたせる。

観点7 話をするに足る話題をもつように働きかける。

観点8 子どもが話す前に十分な支援をする。

観点9 学習形態を工夫する。

観点10 評価の方法を工夫する。

 それぞれの観点については、次節以降で詳しく述べていきますが、ここでは、先に、音声言語能力を育成する授業づくりとしてあげた10個の観点の関係について述べることにします。

 授業は、子どもに何らかの能力を育成したくて行う営みであるので、最初に「子どもの実態を把握」(観点1)をしてから、「どのような能力をつけたいのか」(観点2)考えることは、至極当然のことでしょう。

 次に、大切なのは「場」づくりです。話をしたり、話を聞いたりする際には、「話したり聞いたりする人」と「話す目的」と「話す話題」が必要です。話す相手や目的や話題や方法がおもしろそうであればあるほど、低学年の子どもは進んで学習に取り組もうするでしょう。そこで、「子どもが楽しいと思えるような場をつくる」(観点3)ことが大切になります。しかし、ただ楽しければいいというものでもありません。子どもが学習で身につけたことができるだけ実生活の場面に生かされるようなことになる方がよいでしょう。特に、音声言語というのは、教室の中だけで使うものではありません。実際の生活の場面で生かされて始めて学習の成果が実感できるものです。そこで、授業づくりにおいても、できるだけ「実際の生活の場面に生かされるような場づくり」(観点4)を行うようにします。低学年の子どもの場合、学習の導入にあたって「指導者が『話すモデル』を示す」(観点5)ことで、どのような話題を、どのような目的で、どのように話すとよいのか子どもが見通しをもつことができる場合があります。そうすることで、子ども自身が、「相手意識、目的意識、状況意識、方法意識をもち」(観点6)ながら学習を進めていくことができるようになるでしょう。

 学習を進める際、多くの場合は、何らかの話題を誰かに話すこと、聞くことが目的になります。この際、大切なのが、どのような「話題」で話をさせるかということです。音声言語の能力を育成する場合、話す価値のある「話題」を話させることが大切です。そこで効果的な学習材の準備などをして、「話をするに足る話題をもたせる」(観点7)ように支援をしていくことが大切です。また、話題をもたせるだけでなく、子どもが誰かの前で実際に話をする前に、下書きを見てアドバイスをしたり、練習を聞いておいたりするなど「子どもが話をする前に十分な支援をする」(観点8)ことも大切です。

 支援は指導者だけがするものではありません。学習は、学級という集団の中で行うものですので、「学習形態を工夫する」(観点9)ことで、子どもどうしが、互いに高めあうことなども期待できます。また、互いの話を聞きあい、よい所を褒めあうなど、子どもどうしの評価を取り入れたり、自己評価をさせたり、「評価の方法を工夫する」(観点10)ことで子どもは、自分の成長の手ごたえを感じるようになるでしょう。また、学習の最後に、子どもを評価することは、指導者にとって「子どもの実態を把握する」(観点1)ことに繋がり、次の授業づくりへと結びついていくことになります。

 もちろん、全ての授業において上にあげた10の観点を均等に考慮していくのではありません。学習のねらいや子どもの実態などによって軽重をかけながら授業づくりをしていくことになります。

 次節(修士論文09)以降では、それぞれの観点について詳しく述べていきます。

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