音読指導の方法について知りたいです。
小学校の国語の時間には、音読をすることがよくあります。
今回は、音読が上手になる方法について書きます。
その指導法として、「音読指導:話すように読む」について書きます。
音読指導:話すように読む
🟠音読指導:話すように読む
<すらすら読む>
小学校の国語の授業では、音読を上手にできるようになることはとても大切です。
個人的には、どの学年でも「すらすら読めること」が大切だと思っています。
すらすら読めているかどうかを判断するのは、比較的簡単です。
読み飛ばしをしたり、読み間違いをしたり、詰まったりしないで、すっと読めている状態であるかどうかを、音読を聞いて判断します。短い文でいいので、一人ずつ音読させるのがいいでしょう。
<小学校学習指導要領・低学年の場合>
小学校学習指導要領解説国語編では、第1学年及び第2学年の「音読」について、次のように解説しています。
ク 語のまとまりや言葉の響きなどに気を付けて音読すること。
音読には,自分が理解しているかどうかを確かめる働きや自分が理解したことを表出する働きなどがある。このため,声に出して読むことは,響きやリズムを感じながら言葉のもつ意味を捉えることに役立つ。また,音読により自分が理解したことを表出することは,他の児童の理解を助けることにもつながる。
明瞭な発音で文章を読むこと,ひとまとまりの語や文として読むこと,言葉の響きやリズムなどに注意して読むことなどが重要となる。文字を確かめ,内容が理解できるか,どのように感じるかなどを,自分の声を自分で聞きながら把握していくことに重点を置くこととなる。
小学校学習指導要領解説 国語編
ここに書かれているように、音読には、自分の理解を確かめることと、理解したことを表現することの2つの働きがあります。
<低学年の音読>
低学年では、音読を何回も繰り返す中で、書かれたことが理解できるになることも多いです。
授業中などに、何回も音頭を繰り返していると、子どもの中には、自然と覚えている子どもも出てきます。
1年生などの場合、文字と音声のつながりは、最初、1文字1音です。
それが徐々に、2文字が2音になり、3文字が3音になっていきます。
そして、幾つかの文字や、続いている簡単な文などを、つかえずにすらすら音読できるようになります。
低学年の場合は、文章が分かち書きになっています。
分かち書きというのは、意味のまとまりごとに、間に空欄のますを付けて文を書いていることです。
例えば、次の文が、分かち書きです。
わたしは あっこちゃんと あそびに いきました。
意味の切れ目に「ね」と付けても意味が通じるところが、区切れです。
例えば、先程の文では、「わたしはね、あっこちゃんとね あそびにね いきました。」としても意味が通じます。
子どもには、この「分かち書き」は、読みやすくするためにしていることなので、自分が文を書くときには、白いますを開ける必要はない、ということを、時々は伝えるほうがよいかもしれません。
分かち書き:教育用語⑫に進む(内部リンク)
<お話するように音読してごらん>
子どものが音読する時には、私たち教員はさまざまな指示や助言をします。
その時、どのような指示や助言が効果的なのでしょうか。
教員をしていた時、特に低学年を受けもった時などにしていた助言は、次の通りです。
「話すように読みましょう。」
「お話するように音読してごらん。」
「クラスのみんなに、お話をするように音読しましょう。」
この指示や助言の元になった考えは、ある教育書から得ました。
それは、秋山和平さんと小沼俊男さんによって書かれた「子どもを伸ばす話しことば―母親と教師は、いま何をすべきか」(祥伝社・1994年刊)という本です。
この本は、音読指導における素晴らしい名著だと思います。
秋山さんと小沼さんは、執筆当時、NHKのアナウンサーで、NHK日本語センター に勤務されていました。
アナウンサーという職業柄、お二人は、話すことや音読することに対して深い造詣があります。
この本から少し引用します。
ポイント1・話すように読む
何よりもまず、自然に話す口調が、読むことの基本になくてはいけません。
文を読むことは、一字一句を音声化するものではありません。そこに書いてある文意を、その子が話すことです。
一字一句を音に変えるだけなら、ロボットでもできることで、コンピューターの合成音声と同じ味気ないものでしかありません。
「読む」ということは、本来、その子個人の目を通し、また、肉体を通して発せられるものを、声のことばに換えて文意を伝えることです。
読むことと話すことは、同じ基盤にあるのです。
子どもを伸ばす話しことば―母親と教師は、いま何をすべきか
この主張を読んで、大いに納得しました。上手に音読するためには、内容を理解し、自分が伝えたいことを話すときのように相手に伝えるという意識をもたせることが大切です。
子どもたちの音読を評価するポイントの1つは、子どもが内容をきちんと理解し、書かれている内容を聞き手に伝えようとしながら音読しているかどうかということです。
自分が理解していることを、相手が分かるように伝えることは大人でもとてもむずかしいことです。その時に、「自分しか知らないことを、内容を知らない相手に向かって、内容がよくわかるように、まるで話すように読む」ということができたら、音読はとても上達すると思います。
なお、残念ながら、「子どもを伸ばす話しことば―母親と教師は、いま何をすべきか」(祥伝社・1994年刊)という本は、現在絶版になっています。しかし、Amazonで、低価格で手に入れることができます。ぜひ、音読指導に悩んでいる方は、手に取っていただきたいです。
「子どもを伸ばす話しことば―母親と教師は、いま何をすべきか」が購入できるページに進む(外部リンク)
なお、音読の実態を把握する方法について書いた次のページもお読みください。
子どもの実態を把握する(1)音読に進む(内部リンク)
また、音読指導については、次のページもお読みください。
音読指導(2)真似して読む に進む(内部リンク)
音読指導(3)文意と息を合わせるに進む(内部リンク)
音読指導(4)読みやすくする工夫に進む(内部リンク)
音読指導(5)間を意識して読むに進む(内部リンク)
音読指導(6)早口言葉に進む(内部リンク)
音読指導(7)場所を変えての練習に進む(内部リンク)
音読指導(8)音読の録音に進む(内部リンク)
音読指導(9)系統を考えた指導に進む(内部リンク)
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