音読指導についてもっと知りたいです。
小学校の国語の時間には、音読をすることがあります。
今回も、音読が上手になる方法について書きます。
その指導法として、「音読指導:読みやすくする工夫」について書きます。
音読指導:読みやすくする工夫
🟠読みやすくする工夫
<読みやすくする工夫①>
元NHKアナウンサーであり、その後、関西国際大学経営学部教授をされた高梨敬一郎さんは、著書「これが本当の朗読だ」(大阪書籍・2009年刊)の中で、「意味のかたまりを伝えること」が大切だとしています。
1つの意味のかたまりを、途中で切って読んでしまうと、聞き手には意味がきちんと伝わりません。しかし、あまり長いと物理的に読めない場合も出てきます。
高梨さんは、次のように書きます。
私たちは日常生活では意味がつながっている限り一息で話をしています。ですから、日常生活では文が短いのです。息継ぎをうまくしないと話せないことを無意識のうちに知っているからです。読みでも同じです。意味がつながっているところまで一息で読まなければなりません。意味がつながっているのに途中で息継ぎすると、「間」ができてしまって聴き手は意味が切れたと思ってしまいがちです。
これが本当の朗読だ
さらに、高梨さんは、意味のかたまりをとらえて音読をするために、「原稿は読みやすく」するとよいと次のように書いています。
活字印刷された作品は、言葉の途中でも、意味がつながっていても、容赦なく行を変えます。そのまま読むと、行の一番下から次の行の最初まで目を移さねばなりません。このとき、読み間違えたり、変な「間」があくことがよくあります。あらかじめ原稿は読みやすくしておくことが必要です。目の移動を少なくしておくと、読みやすいのです。
本そのものを読む場合は、ページの上下にある余白を利用します。意味のつながりの途中で行が変わっていたら、その行の下か、次の行の上に書き込みます。「ごんぎつね」の一部でやってみます。上側の囲みの文を下側の囲みの文のように書き換えます。
これが本当の朗読だ
次のようにするとよいそうです。
これを次のように書き換えます。
どうでしょうか。上の文章と下の文章を見比べてみると、読みやすさがずいぶん変わってくるのではないでしょうか。この引用では、1行の長さはとても短いですが、実際の教科書の文章は、もっと長いです。目の右端から左端までの移動距離が長く、音読が苦手な子どもでは困難を感じてしまいます。
「本を汚すことになりますが、鉛筆で書き込めばあとで消すことができますから大きな問題にはならないでしょう。」と高梨さんは、続けます。
高梨さんの「意味のかたまりをとらえやすくするために、教科書の上や下に文字を書き加えるというアイディア」は、比較的簡単にできる工夫だと思います。
<読みやすくする工夫②>
高梨さんは、教員向けの講演会で、教材をパソコンで打ち変えておくとよいという話をされていました。
教材をパソコンに打ち込んでおくと、文字の移動が簡単にできるようになります。例えば、先程のごんぎつねの文章であれば、次のようにするとよいそうです。
文章の中の意味のかたまりごとに、どんどん改行します。しかし、その改行は、文頭までいくのではなく、文の途中から始めるようにします。その次の改行は、文の下の方に文頭がくるようにします。
このように書き換えると、目の視点の動きが短くなります。文末の右端から左端への移動距離が短くなりますので、意味のかたまりをとらえやすくなります。意味のかたまりをとらえることができると、音読がしやすくなります。
教科書の文章や作文の文章などは、1行の文字数が決まっていますので、その文字数になると、強制的に行を変える必要があります。その行を変える作業は、極めて機械的です。
音読する時には、読みやすいように上の囲みのように改行をしておくと、音読が苦手な子どもでも意味のまとまりをとらえやすくなり、上手に音読できるようになります。
パソコンに打ち込む作業は必要ですが、この「意味のかたまりで、改行する」という方法も有効な工夫だと思います。
なお、音読の指導については、次のページもお読みください。
音読指導(1)話すように読むに戻る(内部リンク)
音読指導(2)真似して読むに戻る(内部リンク)
音読指導(3)文意と息を合わせるに戻る(内部リンク)
音読指導(5)間を意識して読むに進む(内部リンク)
音読指導(6)早口言葉に進む(内部リンク)
音読指導(7)場所を変えての練習に進む(内部リンク)
音読指導(8)音読の録音に進む(内部リンク)
音読指導(9)系統を考えた指導に進む(内部リンク)
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