子どもに鼻呼吸の習慣をつけることが大切ですね。
コロナウイルス感染症のせいで、最近はマスク生活がすっかり定着してしまいました。
そのような生活の中で増えているのが口呼吸をする子どもだそうです。
今回は、「口呼吸から子どもを守る」ことについて書きます。
口呼吸から子どもを守る
🟠口呼吸から子どもを守る
<口呼吸と鼻呼吸>
人間は、呼吸をして酸素を吸わないと生きていけません。
呼吸をする方法は、2つあります。1つは鼻を使った鼻呼吸、もう1つは口を使った口呼吸です。
正しい呼吸方法は、鼻呼吸です。
人間の呼吸は、鼻で行うの普通です。鼻呼吸にはたくさんの長所があります。それは、鼻には、鼻毛や鼻水があることです。鼻は常に適度な温度や湿度があります。そのため、空気の中の汚れやウイルス、細菌などは鼻を通ることで除去されます。鼻呼吸をすることは、風邪やインフルエンザなどの感染症の予防になります。
しかし、コロナ禍の影響で、学校や家の外では、マスクをすることが一般的になりました。その結果、増えているのが口呼吸をする子どもです。
新潟大学が、2021年(令和3年)に全国の3歳から12歳までの子ども3399人に対して行った疫学調査によると、口呼吸をしている子どもがなんと30.7%もいたそうです。わずかだけでも口を開けて口呼吸をしている隠れ予備軍の子どもを含めると、なんと約8割の子どもが口呼吸をしているそうです。
オーストラリアの研究では、口呼吸から鼻呼吸に変えることで、12歳までの子どもの顔に大きな変化が起こることが明らかになっています。
鼻呼吸をすることで、空気の圧力が鼻の穴である鼻腔にかかります。そうすると、上顎を下に押そうとする力がかかります。さらに、鼻呼吸をすると、舌が上顎についていることで、上顎が下から押されます。これらの上顎に上下両方からかかる力によって、上顎は広がることになります。
この結果、口呼吸から鼻呼吸に変えた子どもの顔の形は、半年もすると劇的に変化します。
<口呼吸の弊害>
では、口呼吸には、どのような弊害があるのでしょうか。
ここでは、代表的な6つの弊害を書きます。
- 子どものIQの上昇に影響があること
人間の細胞内でエネルギーを生成しているのは、細胞の中にあるミトコンドリアです。口呼吸をすると、ミトコンドリアが酸欠になることがあります。
鼻呼吸に比べて、口呼吸をすると、酸素の吸収が減りますので、一見、鼻より口の方がたくさん酸素を取り入れることができそうに思われます。しかし、口呼吸をすると、たくさんの二酸化炭素が排出されてしまい、血液中の二酸化酸素も少なくなります。血液中の二酸化炭素の濃度が減少すると、細胞の中のミトコンドリアが酸欠になることがあるのです。
その結果、酸素を必要としている脳にも深刻な影響が生まれてしまうことがあります。脳の発達のピークは11歳から12歳6か月だといわれています。脳の細胞同士をつなぐシナプスの働きが脳の細胞の酸欠によって脅かされていまいます。脳が発達しないので、IQの上昇に影響があると考えられるのです。
② 風邪をひきやすくなること
口で呼吸すると、口には鼻のような機能がありませんので、空気の汚れやウイルス、細菌などをそのまま身体に取り込んでしまい、風邪やウイルス感染症になりやすくなります。
③ 虫歯や歯周病になりやすくなること
口呼吸をすると、口の中が乾きやすくなります。その結果、唾液の分泌量が減ります。唾液が減ることで、虫歯や歯周病になりやすくなりますし、口から出る息が臭くなることもあります。
④ 老化が進むこと
口呼吸では、常に口を開けているために、口の周りの筋肉が衰えてしまい、ほうれい線や口のたゆみが起こり、老化が進みます。大人の場合、歳をとった顔になってしまいます。
⑤ 睡眠時無呼吸症候群になること
口を開けて寝ていると、舌が喉の奥の方に落ち込んでしまうことがあります。そうすると、睡眠時無呼吸症候群になることもあるそうです。
⑥ 歯並びが悪くなること
口をぽかんと開けている子どもは、出っ歯になったり、歯並びが悪くなったりすることもあるそうです。
このように口呼吸の弊害は多いのです。
口呼吸になる原因が、鼻炎や副鼻腔炎などの影響で、鼻が詰まっている場合には、まずその治療が必要です。
しかし、くせや習慣で口呼吸になってしまっている場合には、鼻呼吸を意識することで改善していくことができます。
<口呼吸か鼻呼吸かの見分け方>
自分が普段、鼻呼吸をしているのか、口呼吸をしているのか、大人でも自覚がない人が多いかもしれません。
多くの大人は、鼻呼吸をしていると思われますが、よくわからない人も多いと思います。
簡単な診断方法があります。
それは、3回程、鼻で深呼吸をしてみることです。ゆっくり、鼻から息を吸い、鼻から息を出します。その後、自分の舌の位置がどこにあるかを確かめます。
自分の舌が、上顎についている場合や上の前歯にある場合は、鼻呼吸をしています。
でも、自分の舌が、下の前歯についている場合は、口呼吸をしている可能性があります。
舌が上顎についている場合は、舌が邪魔をして口で呼吸することができません。
ですから、口の中で、舌の位置を絶えず、上顎につけるということを意識するだけでも、口呼吸から鼻呼吸に改善することができるそうです。
<鼻呼吸に変える訓練方法>
子どもに「口がほかんとあいているよ。口を閉じなさい。」と言葉で言っても治ることはあまりないそうです。
口呼吸から鼻呼吸に変える訓練方法は、いくつかあります。
1つめは、「あいうべ体操」です。
この方法は、福岡県福岡市の「みらいクリニックの院長」の今井一彰医師が考案された方法です。
「あいうべ体操」は口呼吸の解決策としてたいへん有効で、多くの小児歯科や歯科医院で指導されています。
あいうべ体操/みらいクリニックに進む(外部リンク)
2つめは、寝ている時に市販されているテープを口に貼ることです。
3つめは、鼻に空気が通るようにする呼吸法を取り入れることです。
この方法については、高槻クローバー歯科、矯正歯科の髙野祐院長がホームページで紹介されています。
鼻に空気が通るようにする呼吸法に進む(外部リンク)
なお、この記事を書くために、日本テレビ系列で放送している「カズレーサーと学ぶ新知識。」というテレビ番組の2023年(令和5年)1月10日(火)放送回の「マスクを外さない日本人:顔が激変する呼吸の仕方」という番組の内容を参考にしました。
しばらくの間(1月11日から1週間程度)は、次の番組内にある「最新話再生」(TVer)から、この番組を見ることができます。もし興味がある場合は、ご視聴ください。
日本テレビ「カズレーサーと学ぶ新知識。」に進む(外部リンク)
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なお、「安全教育:子どもを守ること」に関係する記事を集めた一覧表は次のページにあります。
安全教育:子どもを守る 一覧表に進む(内部リンク)
鼻呼吸と口呼吸について、姉妹ブログの「よみもの」で、子どもにもわかるような簡単な言葉で説明しています。よければそちらもお読みください。
鼻呼吸に進む(姉妹ブログ・よみもの)
口呼吸に進む(姉妹ブログ・よみもの)
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