子どもを本好きにさせる方法ってありますか?
小学校の教員をしている頃、学期末の個人懇談会のときなどに、保護者の方から次のような相談を受けることがありました。
「うちの子ども、全然本を読みません。先生、どうしたらいいですか。」子どもの成長のための
このように相談されても,若い頃は、なかなかよい回答ができず困っていました。
ここでは、子どもを本好きにさせる方法について書きます。
家の中で本をかくして、探させる
心理学者の河合隼雄さんの語る方法を知ってからは、できるだけその方法を紹介することにしていました。
河合さんが語る方法は次の2つです。
1つめの方法です。
まず、子どもに読ませたいと思う本を、親(保護者)が先に読みます。その時、できれば、台所のテーブルなど、子どもの見える所で読みます。時には、声を出して笑ったり、「なるほど」と相槌(あいづち)を打ったりします。
子どもたちは、だいたい、普段本を読まない親(保護者)が本を読んでいることに興味をもちますので、「何、しているの?」と聞いてきます。
「本を読んでいるの。でも、これは、大人の本なの。あなたには少し早いから、もっと大きくなったら読ませてあげるね。」と言います。
そして、その本を、台所の戸棚の上など、子どもには手が届かないけど、椅子や台などを使うと取れるところに置くそうです。
このようなしかけをした後、最後に、「あの本、大人の本なので、読んだからだめですよ。」と言って、買い物に出かけます。
多くの場合、子どもたちは、普段本を読まない親が声を出して喜ぶ本はどんな本だろうと、興味をもって、本を手にするそうです。
この話を聞いて、さすが、心理学者だと思いました。
嫌がっている相手に対して、「こうしなさい。」「本をたくさん読みなさい。」と強制しても多くの場合は拒否されます。
反対に、「してはだめですよ。」と禁止されると、してみたくなります。面白い方法だと思います。この方法は他にも応用ができそうです。
金額を決めて、本を選択させる
もう1つの方法です。
こちらは、どちらかというと、親も本が好きで、できれば、名著と呼ばれるような本を子どもに読ませたいと考えている親にお勧めの方法です。
本屋に子どもを連れていき、「3000円までの本なら何冊でもよい。1時間後の午後2時までに本を選びなさい。」と本を買う予算と本を選ぶ時間を決めて、後は自由に本を選ばせるとよいそうです。
兄弟姉妹がいる場合は、「2人で5000円まで」などと予算を決めて、相談して決めるようにさせるのも1つだそうです。
これは、実際に河合隼雄さんのご家庭では、恒例の本を買う方法だそうで、河合さん自身が子どもの時にも、河合さんが親になってからも子どもたちとしていた方法だそうです。
親はどうしても、世間で評判の本を読ませたいと思いますが、子どもはなかなかそう思いません。
大切なのは、「本を読むという習慣を身に付けさせるということ」だそうです。時には、ポケモン図鑑やゲームの解説本を持ってきて、「これでもいい?」と聞かれることもあるそうですが、「それは、だめ。」と言いたいのをぐっとこらえて、笑顔で「いいですよ。」ということが大切だそうです。
本を選ぶ、本を読むという選択を自分でさせることが大切だそうです。
まとめ
記憶だけで書きましたので、正確に河合隼雄さんの意図した通りの、本を読ませる方法ではないかもしれません。
しかし、この2つの方法を知ってから、保護者に「本を好きにさせる方法はありませんか?」、と尋ねられたときや、あまり本を読む習慣がなくて、本を読む習慣を身につけさせたいと感じる子どもの保護者には、紹介するようにしていました。
子どもを本好きにさせるためには、本を子どもが手に取るまでのプロセスを工夫するというのも一つの方法だと思います。
⭐️ ⭐️
なお、河合隼雄さんの名言について、次のページも参考にしてください。
説教の効果はその長さと反比例するに進む(内部リンク)
読書に関係する文章についてもお読みください。
どうわの王様 読書のすすめ(2)
読む力を育てる① 多文種の短い文章をたくさん読むに進む(内部リンク)
読む力を育てる② 教科書の作品の姉妹作品を読むに進む(内部リンク)
読む力を育てる③ 読み聞かせに進む(内部リンク)
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