保護者との面会の仕方について知りたいです。
保護者の中には、ぼくたち教員の、子どもへの指導の仕方や方法、言動などに対して、担任に面会を求め、説明や謝罪や無理な約束を求められることがあります。
保護者の思いや願いはさまざま
多くの保護者は、子どもの考えや思いを聞いて、納得できない時に、学校に来られます。
明らかにぼくたち教員が失敗したり、間違ったり、説明不足であったりすることもあります。しかし、中には、子どもの誤解であったり、子ども自身に非があったりする場合もあります。
多くの保護者の中には、我が子の言うことを全面的に信頼されている人がいます。しかし、短所が全くない人がいないように、子どもが純粋で、素直で、天使のように純粋無垢というわけではありません。
多くの子どもは、自分が叱られそうな場面では、平気で嘘をつきます。「何もしていないのに友だちが嫌なことをしてきた」という子どもの話をよく聞いてみると、悪口を言ったり、ちょっかいをかけていたりすることがあります。
いじめのように、何もしていないのに、被害者になる子どもが全くいないわけではありませんが、多くの場合は、お互いにしたりされたりしていることが多いのです。
多くの保護者は、子どもは、乱暴なところあるし、不真面目なところも、不誠実なところも持ち合わせている発展途上の存在である、ということを理解しておられます。しかし、中には、我が子は、全く悪くないと思われている保護者もおられます。
そのような保護者に対してどうすればいいのでしょうか?
ぼくは、いつものように、学年主任のさくら先生に助言を求めることにしました。
要求の高いタイプの保護者への対応の仕方
先日、メンタルヘルスの研修会で聞いてきたことを伝えるわね。
🟠保護者への対応について
先日、「メンタルヘルス」の研修会に参加してきたの。その時に、病院にお勤めの心理療法士の先生から「要求がとても高いなど、困ったタイプの保護者への対応の仕方のポイント」について、お話をお聞きしたので、それを紹介するわね。
🟠ポイント1:敵とみなさない。
「出た。」と思わないことが大切だそうよ。本校にはおられないけど、保護者の中には、毎日学校に来られる方とか、毎日学校に電話をかけてくる方などがいるそうなの。そのような場合は、心の中で「出た。」と思うこともあるかもしれないけれども、できれば、敵とみなさないで「よくお越しいただいた。」「よく来られた。」というように思って対応するとよいそうなのよ。
でも、そう思えない場合は、「出た。」と、しっかり心に刻んで、対応するようにするとよい、とおっしゃっていたわ。
🟠ポイント2:訴えにも種類があると思って話を聞く。
まともな訴え、例えば、「○○ができていない。次から配慮をしてください。」というお話があった場合、「そうでしたね、今日は、○○ができていませんでしたね。申し訳ないです。」と、対応するのはよいということはわかるわよね。
しかし、「できているかどうか、毎日電話をください。」というような訴えに対しては、「電話はできかねます」と、限界を設定してもよいのではないかとおっしゃっていたわ。「ここまではできますが、ここからはできかねます」ときちんと話すようにした方がよいそうなのよ。
びっくりするようなお話をされたり、要求をされたりする保護者の場合は、「ちょっと待ってください」とお話をして、中座して、あなた一人で対応するのではなく、学年主任の私を呼んだり、管理職の先生に同席をお願いしたりして、複数で対応するようにすることが必要だそうよ。
三段階ぐらいのレベルを考えて、話を聞くようにする必要があるとおっしゃっていたわ。
ポイント3:初期対応は大切である。
初期対応は大切だそうよ。最初は、きちんと保護者を迎え入れて、一時間ぐらいをめどにきちんと話を聞くことは大切なのよ。ただ、2回目からは、「今日は長い時間でなければお話をお聞きする時間がとれます。」などという限界を設定してもよいとおっしゃっていたわ。すべて、保護者のペースに合わせる必要はないともおっしゃっていたわ。
ポイント4:相手が、何を一番訴えたいかを考えながら聞く。
お話をお聞きした先生は、普段、臨床心理士として、お話を聞くお仕事をされているとおっしゃっていたけど、先生自身、いつも右半分ぐらいで話を聞くようにしている、とおっしゃっていたわ。100%しっかり聞こうと思わなくてもよいそうよ。
これは不真面目に話を聞くということではなくて、全部もっていかれないように心がけている、ということだそうよ。半分ぐらいで、話を聞きつつ、半分ぐらいで、この方の本当に訴えたいことは何だろうと考えながら、話を聞くようにしているそうよ。
そういうふうに聞くようにしないと、話の一部に関心を奪われて、話がおかしな方向に行くことがあるそうなのよ。一番言いたいことは何かを考えながら、話を聞くようにすることが大切だ、とおっしゃっていたわ。
ポイント5:心の中では何を思っていてもよい。
顔や言葉に出なければ、お話を聞く間に何を思ってもいいそうよ。「また、来た。」と思っても、「いやだわ、はやく帰ってくれないかな。」と思っても、極端な話、「死んでくれ。」と思っても、心の中で思うだけならば、何を思ってもよいそうよ。
保護者の中には、毎日学校に(苦情の)話をされに来られる方とか、毎日学校に電話をかけて来られる方などがいるのよ。
私たち教職員は、真面目な人が多いので、そのような場合でも、真摯に真面目に対応しようとする人が多いのよ。だから、そのような場合は、心の中で「出た。」と思ってもいいそうなのよ。
ポイント6:黙って撃たれ続けない。
話を聞きながら気持ちを短く伝えてもよいそうよ。よっぽどの場合は、「そこまで言われたらきついです。」「ちょっと、待って。」など、短く、ワンセンテンスで気持ちを伝えるとよいそうよ。
長々と言うと、発言のあげ足を取られることもあるから、注意は必要なの。でも、「痛いです。」「やられちゃったわあ。」などと、気持ちを伝えるようにすることはよいことだとおっしゃっていたわよ。
ポイント7:目標、目的を共有しながら話を聞く。
苦情を伝えに来られる保護者の話を聞いている場合、話がそれてしまうことが多いみたいなの。お話をされている途中で、ご本人も何を言いたいか混乱される場合もあるみたいなの。そのような場合には、「今日は、こういう目的で、お話をされに来られていましたよね」という確認をしながら話を聞くことも大切だとおっしゃっていたわ。
全然保護者の言いたいことの主旨がわからない場合は、わかったふりをしないことも大切だそうよ。わかったふりをしながら聞いていると、最後にとても怒られることがあるそうよ。「話をきちんと聞いていてくださっていたのでは、なかったのですか。」ということになってしまうわ。
わからないときには、「今日は、熱心にお話しいただいたことはわかりました。」などと伝えることが大切で、「わからないことをわかる」、と伝えることはやめたほうがよいそうよ。
ポイント8:限界を設定する。
「ここまではできる」「ここからはできない」というように伝えることも大切だそうよ。保護者の要求を全て受け入れようとするのではなく、限界を設定してもよいそうなのよ。
全て、保護者の要求やペースに合わせる必要はないとおっしゃっていたわ。できることと、できないことを明確にして、できない要求を無理に約束するのではなく、できないことはできないと伝えることも大切だそうよ。
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