子どもの実態を把握する(2)視写

指導方法
つばさ
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子どもの実態把握の方法を知りたいです。

 子どもの国語の学力を把握する方法の2回目です。

 今回は、「書くこと」に関係する国語の力を確かめる方法です。

「視写」を通して、「書く」速さを確かめる

 国語の学習に限らず、小学校の学習では、黒板を写したり、教師の発問に対して自分の考えを書いたりする機会が多いです。

 低学年では、教師や友達の話を聞きながらメモをするということはむずかしいでしょうが、中・高学年では、必要に応じてメモを取るなどということも身に付けさせたい能力です。

 このような様々な「書く」という活動が、学習の中にはありますが、一番基本的な「書く力」とは何でしょうか? 

 それは、書いてあることをそのまま写す「視写」の力だと思います。

 見たものをそのまま写すという活動のときに、大切なことは3つあります。

「正確に書くこと」「きれいな字で書くこと」「速く書くこと」です。

 できればこの3つが全てできればいいのですが、正確に、きれいな字で書いていると、なかなか速く書くことができません。

 速く書くことができても、書いた後、何が書いてあるかわからないのでは、書いた意味がありません。

 筑波大学附属小学校で教員をしていた有田和正先生は、「鉛筆の先から煙ができるような速さで書きましょう」と伝えていたそうです。

 速く写させるためには、よい言葉がけだと思います。

 読む学習の際に、「すらすら読めているかどうか」を評価規準にしたように、視写する際には、「ある程度の一定の速さで書き写すことができるかどうか」が評価規準になると思います。

 具体的な方法を書きます。原稿用紙など、写す紙を用意します。その他に、200文字程度の写すための文章を用意します。前もって先生が原稿用紙の左側に写させたい文章を書いておくのもよいでしょう。(学年によってもっと少なくてもいいでしょう。)

 ストップウォッチなどで5分間時間を測り、1分間に何文字写せるか調べます。

 低学年で20~25文字程度、高学年で30~35文字程度写すことができる子どもは、視写のスピードが速い方だといえます。

 学年の初め、2学期の初め、3学期の初めなど期間をあけて、調べることで、子どもの視写のスピードの変容を把握することができると思います。

 速く写せる子どもは、文字を一文字一文字見て写すのではなく、単語や文節、あるいは、文章全体を理解しながら写します

 写すのが遅い子どもはこの意識が乏しく、書いてある文章の意味を考えずに、コピー機のように右から左に書き写すだけです。

 どちらの学力を身につけさせる必要があるかは明らかです。

 さらさらと素早く写せている子どもは、学習の内容を理解し、写していることが多いです。

どのようにして、視写の力を高めるのか

 では、どうすれば、さらさらと視写できる力を高めることができるのでしょうか? 

 1つの方法は、授業中にできるだけたくさん、短い文を書く機会をもつことです。

 書くという活動を子どもは面倒がり嫌がります。

 一度にたくさん書くのは嫌でも、少しの文だと抵抗は少ないです。

 私は、低学年でも、日付や単元名、めあてなどを、私が書いた時に、ほぼ同時にノートに写すように指示してきました。

 一度にたくさん写させるから写すのが嫌になるので、少しの量を、褒めつつ数回に分けて視写するようにさせると、徐々に書くことに対する抵抗感が少なくなります。

 2つめの方法は、授業中に、視写をする時間を設定することです。

 低学年の場合は、先程調べる方法で書きましたように、原稿用紙の左半分に前もって指導者が文章を書いておき、それを写すようにさせるのがよいかと思います。

 この方法を、毎日の宿題にするもの良い考えかもしれませんが、できれば、目の前で子どもの進捗状況を把握できる、授業中に行うのがおすすめです。

 学年が上がると、教科書の一部分をノートなどに視写する場をもつようにするとよいと思います。視写をすることで助詞の使い方や句読点の付け方を自然と身につけることができます。

 3つめの方法は、国語の時間に限定しないで、全ての教科の時間で行うことです。

 視写は、何も国語の時間に限って行うことではありません。全ての教科の時間に少しずつ視写の時間を設定するといいのです。

 指導者の書いた板書を写すことも立派な視写といえます。

 その時、注意することがあります。それは、できるだけ、ていねいな文字で書かせることです。

 そのためには、ノートは全て方眼ノートを使っていました。

 そして、文字は、その方眼からはみださないように書くようにさせていました。

ていねいさの最低限の約束」として、「文字は、枠の中に収まるように書くこと」にしていました。

 場合によっては、全て書き直しというペナルティを与えてもよいと思います。

(ただ、理由をきちんと説明して、ていねいに指導をしないと、反発をもたれて、逆効果になることもありえますので、注意してくださいね。)

 ぜひ、教室や家庭で視写を取り入れて、子どもの描く力を伸ばしてほしいです。

 なお、視写については、次のページもご覧ください。

視写指導(1)筆速を調べるに進む内部リンク

視写指導(2)視写の進め方・続け方に進む内部リンク

 子どもの実態把握については、次のページもご覧ください。

子どもの実態を把握する(1)音読に戻る内部リンク

子どもの実態を把握する(3)文末に進む内部リンク

子どもの実態を把握する(4)作文に進む内部リンク

子どもの実態を把握する(5)読書に進む内部リンク

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