人権教育 小学校初任者研修008

初任者研修資料
つばさ
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人権教育って、何か知っていますか?

 ここでは、次の3点について、お伝えします。

 人権とは? 人権教育とは何か?

 具体的な人権問題には何があるのか?

 自分の学校や自分の住む自治体の人権問題を知る

人権とは? 人権教育とは何か?

 人権は、人が、生まれながらにしてもっている大切な権利です。

 人は、誰もが、人として尊重される必要があります。

 全ての人がもつとされる人権は、誰にでも、いつでも、どこでも、同じように守る必要のあるものです。

 人権は、全ての人が、人間として大切にされ、生きていくためには、欠かせないものです。

 しかし、人類が生まれた時から、人権の考えがあったわけではありません。

 日本では、日本国憲法が制定され、明文化されたことにより、普遍的な権利として守られています。

 世界的には、20世紀に世界を巻き込んだ大戦が2度も起こり、特定の人種への迫害や大量虐殺など、多くの人権侵害や人権抑圧が起こりました。

 このような経緯から、1948年、国連総会において、「すべての人民とすべての国とが達成すべき共通の基準」として「世界人権宣言」が採択されました。

 しかし、残念なことに、今なお、多くの国々において、人権が、きちんと守られていない状況です。

 昨今のロシアによるウクライナへの軍事侵攻や、民間人への攻撃、大量虐殺などを見聞きするにつれ、全ての人類が、普遍的な人権を手に入れるのはまだまだ先のことなのかもしれません。

 世界人権宣言は、基本的人権尊重の原則を定めたものであり、それ自体が法的な拘束力をもつものではありません。

 国連が仲介しても、ロシアとウクライナの停戦協議がなかなか進まない状況を見ても、それは明らかなことです。

 人権が守られるためには、全ての人々が、自分の人権を知っておく必要があります。

 社会に広く受け入れられた人権がどういうものかを知ることが、自分と他人の権利を大切にし、人権侵害を防ぐ力になります。

 人権教育とは、主に学校で、人権について学ぶことを通して、公正で公平な社会、安全で安心できる社会をつくる基礎になるものです。

 なお、男女平等教育については、次のページをお読みください。

男女平等教育に進む内部リンク

具体的な人権課題には何があるのか?

 法務省では、人権課題として、次の17の課題を「啓発活動強調事項」として取り上げています。

(1) 女性の人権を守ろう  (2) 子どもの人権を守ろう  (3) 高齢者の人権を守ろう (4) 障害を理由とする偏見や差別をなくそう  (5) 部落差別(同和問題)を解消しよう  (6) アイヌの人々に対する偏見や差別をなくそう  (7) 外国人の人権を尊重しよう  (8) 感染症に関連する偏見や差別をなくそう  (9) ハンセン病患者・元患者やその家族に対する偏見や差別をなくそう  (10) 刑を終えて出所した人やその家族に対する偏見や差別をなくそう   (11) 犯罪被害者やその家族の人権に配慮しよう(12) インターネット上の人権侵害をなくそう  (13) 北朝鮮当局による人権侵害問題に対する認識を深めよう  (14) ホームレスに対する偏見や差別をなくそう  (15) 性的指向及び性自認(性同一性)を理由とする偏見や差別をなくそう  (16) 人身取引をなくそう  (17) 震災等の災害に起因する偏見や差別をなくそう

法務省ホームページより

 「子どもの人権」に絞ってみても、その中は、「いじめ」「ブラック校則」「児童虐待」「教師による体罰や暴言」などさまざまなものがあります。

 そして、それらの人権侵害や人権の軽視は、毎日のように、日本や世界のどこかで起こっています。

 残念なことに、「いじめ」は、どんな優秀な教師が担任しているクラスでも起こります。

 国立教育政策研究所は、いじめに関する調査を行い、まとめたものをリーフレットにして、発行しています。

 平成28年発行の『生徒指導支援資料6「いじめに取り組む」』には、次のような記述があります。

Q『いじめ追跡調査2004 - 2006』~『いじめ追跡調査2010 - 2012』でも、いわゆる「いじめられっ子(常にい じめられる子供)」や「いじめっ子(常にいじめる子供)」と呼ぶべき子供はほとんど存在せず、多くの児童生徒が 入れ替わりながらいじめに巻き込まれていることが示されました。今回も、同じことが言えるのでしょうか。

A 同じことが言えます。1996 年 1 月に出された文部大臣の緊急アピールでは、「深刻ないじめは、どの学校にも、どのクラスにも、どの子どもにも起こりうる」と明言されています。しかし、これは単なる理論上の可能性の指摘でもなければ、誇張された表現でもありません。いわゆる「荒れた学校」や「問題のある学年」だけにとどまらず、ほとんどの児童生徒がいじめの被害者も加害者も経験するという事実を踏まえた見解と言えます。  

生徒指導支援資料6「いじめに取り組む」

 いじめを撲滅するためには、定期的なアンケートを取るなど、教員サイドが、日々の揺るぎない努力を重ねることが大切です。また、別の冊子の中で、次のようにまとめています。

いじめが起きにくい学校づくり」について、2つのことが求められます。

 1つは、いたずらにトラブルが起きたり、放置されたりしないような安心・安全な学校環境をつくることです。

 そのため には、集団生活のルールが明確であり、日々何を頑張ればよいのかが明確であること、勉強が分かることなどが大切であるとしています。

 2つめは、子どもは保護されるだけの受け身的な存在ではなく、自らも良くなりたい、頑張りたいと願う主体的な存在であるということを認め、子どもが活躍できる場や機会を与えることが大切である、としています。

生徒指導支援資料6「いじめに取り組む」に進む外部リンク

 なお、いじめに対する指導については、次のページも参考にしてください。

いじめから子どもを守るに進む内部リンク

自分の学校や自分の住む自治体の人権問題を知る

 多くの学校では、「人権教育年間指導計画」が作られています。

 また、教育委員会や教育センターなどでは、「人権教育基本方針」などが策定されています。

 それらの文書を読み、自分の学校や自分の住む自治体では、どのような人権問題があるのかを知ることが大切です。

 人権教育は、国語や算数のように、教科書があり、何年生で何を教えるのか、具体的に決まっていない場合もあります。

 自治体作成の人権教育指導用の副読本が作成されている場合もありますが、ない自治体もあります。

 自ら、積極的に実践しようとしないと、3学期の終わりに、1つ2つの実践に取り組むということが起こり得ます。

 人権は、人類が長い月日をかけて手に入れた、貴重な宝物といえます。

 ぜひ、自分の学級の子どもにふさわしい人権問題を取り上げ、実践してほしいです。

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