発問について知りたいです。
学校の中には、教職員で行う特別な用語がたくさんあります。
今回は、そのような教育用語の中の「発問」について書きます。
発問:教育用語
🟠発問
<発問とは?>
発問とは、授業中に行う教師の子どもに対する質問のことです。
なぜ、学習内容についてよく知っている教師が子どもに質問をするのでしょうか?
その理由は、いくつかありますが、一番大きな理由は、子どもに発問することで、子どもが考え始めるからです。
多くの普通の子どもは、それほど進んで学習したいと強く思っているわけではありません。
しかし、子どもが興味をもちそうな発問を教師がすることで、知的好奇心が喚起される場合があります。
授業というのは、子どもに何かの新しい知識を伝えることが大きな役割です。
授業がそうものであるのであれば、その知識を知っている教師が、子どもに最初から順番に教えてるといいのではないかという考えがあります。
実際、多くの高校の授業や大学の講義などでは、教師が教えたい事柄について、聞き手のことを無視して、一方的にどんどん説明していることがよくあります。
しかし、残念なことに、そのような一方的な説明では、小学生の子どもはすぐに飽きてしまいます。
手を変え、品を変え、色々な工夫をすることは、多くの子どもはほんの少し興味を持ってくれることがあります。
だから、よく知っている教師が、そのことについて知らない子どもに、「発問」という質問をするのです。
<発問を工夫する>
発問には、子どもの知的好奇心を喚起し、学習に進んで取り組ませるという働きがあります。
ですから、子どもに対して行う発問は、子どもをその気にさせるような工夫をしたり、練っておいたりする必要があります。
その他、発問は、子どもにとってわかりやすくする必要があります。補助的に発問を黒板に板書することもありますが、多くの発問は、音声で行いますので、耳で聞くだけでよくわかるような言葉を使う必要もあります。
教師によっては、基本的な授業スタイルが決まっていて、同じような発問をする教師もいます。
子どもがその授業スタイルに慣れていて、進んで学習に取り組む場合は、それもいいと思います。
ただ、子どもは飽きやすいので、できるだけ教材に即した、子どもの興味を引くような発問をするのがいいかもしれません。とはいえ、毎回、子どもが興味をもつような発問を思いつかないこともありますので、教科によって、いくつかの基本的な発問のパターンを習得しておく必要があるかもしれません。
<発問の種類>
発問には、大きくわけで2種類あります。
1つは、答えが1つしかない発問(限定的発問)です。
もう1つは、答えが複数ある発問(拡散的発問)です。
例えば、4年生の「世界一美しいぼくの村」という国語の教材を読む前の発問です。
「この教材の題名はなんでしょうか?」という発問の答えは、1つしかありません。これが限定的発問です。
「世界一美しいぼくの村」というのが、その答えです。
それに比べて、「この題名からどんな村だと思いますか?」という発問には、子どもによって答えに違いが生まれそうです。複数の答えが出てきます。これが拡散的発問です。
授業においては、限定的発問と拡散的発問をうまく組み合わせて授業を進める必要があります。
ただ、若手の教師がよく行う、子どもが興味を失いやすい授業に、限定的発問の多用という問題があります。
次から次へと、答えの分かりきった問いを教師が行い、子どもが答えるという形式の授業です。このような授業は、一般的に「一問一答」形式のやりとりとしてよくないとされます。
拡散的な答えが期待できるからといって、大きすぎる発問も問題です。
4年生の国語の教材「ごんぎつね」の授業で、「ごんはどんなきつねでしょう?」という問いは、確かに複数の答えが期待できそうです。しかし、この問いでは、漠然としていてどんな答えをしても全て正解になってしまいそうです。
もう少し子どもが「ごんぎつね」という物語について考えることができる発問がよさそうです。
<よい発問とは?>
4年生の国語の教材「ごんぎつね」の最後の場面の授業で、次のような発問はどうでしょうか?
「うたれたとき、なぜごんはうなずいたのでしょうか?」
「ごんがうたれる悲しい結末になった原因は、いたずらか、ひとりぼっちか?」
「ごんと兵十は、心が通じ合ったのだろうか?」
それぞれ、とても工夫されたよい発問だと思います。
この6場面の授業に至るまでに、どのような授業を繰り広げているかによって、この授業における子どもの発言も変わってきますので、一概にどれが一番よいかを判断することはできません。
しかし、子どもは、じっくりと教材を読み、自分なりの考えをもつことができそうです。国語の授業ですので、その自分の考えをもつ根拠や理由を教材の中から見つけることができたらすばらしいなと思います。
子どもを授業に積極的に関わらせ、進んで考える立場に向かわせるもの、それが「よい発問」です。
なお、先程の3つの発問は、それぞれ次のページを参考にしました。
子どもたちが意欲的に取り組む発問の工夫(文学的文章の場合)に進む(外部リンク)
展開の発問づくり~「ごんぎつね」を例にに進む(外部リンク)
「ごんぎつね」の指導に進む(外部リンク)
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なお、関係する言葉や他の教育用語などについては、次のページをお読みください。
板書:教育用語②に進む(内部リンク)
詩の授業の仕方(3)発問に進む(内部リンク)
机間指導:教育用語③に進む(内部リンク)
挙手だけに頼らない指名をするに進む(内部リンク)野口芳宏さんの名言
教材:教育用語④に進む(内部リンク)
リライト教材:教育用語⑤に進む(内部リンク)
授業研究:教育用語⑥に進む(内部リンク)
オノマトペ:教育用語⑦に進む(内部リンク)
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