作文のすすめ(8)低学年向け

指導方法
しぎた
しぎた

今回は、低学年向けの作文指導について書きます。

 作文の力を伸ばすことは、学力を高めるためにも、自分の考えを整理したり、コミュニケーション能力を高めたりするためにも大切です。

 今回は、低学年向けの作文指導の仕方について書きます。

低学年向けの作文指導の仕方

 作文を上手に書くためには、字を書くことに慣れる必要があります。

🟠鉛筆の持ち方

 低学年の子どもの指導において大切なことはたくさんあります。ここでは、鉛筆の持ち方について絞って書きます。

 子どもの鉛筆の持ち方は、家庭教育が熱心になってきたことに比例して、悪くなってきているように思います。本来は、小学校に入学してから、はじめて「ひらがな」や「算数の計算」の学習はすることになっています。しかし、小学校に入学する前に、自分の名前を読んだり書いたりするだけでなく、簡単な英会話ができる子どもは、いまどき珍しいことではありません。

 しかし、子どもが正しい鉛筆やお箸を持てているかというとなかなか肯定できません。

 最近は、保護者の方の中にも、不思議な鉛筆の持ち方をする方もいます。

 たくさん文字を書くためには、正しい鉛筆の持ち方をすることは、とても大切です。

鉛筆の正しい持ち方のホームページに進む外部リンク北星鉛筆

えんぴつの正しい持ち方のホームページに進む外部リンクトンボ鉛筆

 鉛筆の持ち方で注意したいことの1つに、鉛筆を軽くもつということがあります。

 子どもの中には、鉛筆をぎゅっと握りしめて、力強く、文字を書く子どもがいます。

 このような子どもを見つけたら、できるだけ早く、鉛筆は軽くもつことを伝える必要があります。

 なぜなら、力を込めて字を書くと指が痛くなり、たくさんの文字を書くことができなくなるからです。

🟠視写と聴写をする

 作文が上手になるためには、正しい表記の仕方を早く身につけることです。

 そのために有効なのが、視写と聴写です。

 視写の方法については、他のところで書きましたので、そこを参考にしてください。

「子どもの実態を把握する(2)視写」に進む内部リンク

 ここでは、聴写について書きます。

 聴写とは、指導者の読んだ文章の一部を、子どもは耳だけで聞き取り、紙に書き写すことです。

 フランスなどでは、よく行われる作文指導だそうです。

 慣れない間は、連絡帳を書くときに、板書しないで、口頭で伝えて、それを書くという活動をさせてもいいと思います。

 聴写の学習を始めたばかりの時は、最初は、鉛筆を置いて、耳だけで、全文を聞かせ、内容の大まかな部分を理解させた上で、行うといいでしょう。

 少しずつ読んでいき、句読点や改行なども次のように伝えます。

「次は、てん(、)です」「最後に、まる(。)をつけます」「そのまま何も書かないで、次の行に移ります。そして、1ますあけて・・・」

 たくさんの量をするのではなく、少しずつ継続的に実施するとよいでしょう。

🟠「いろいろなところに行こう」の実践例

 低学年の子どもの作文の発達段階は、「並べる」でした。

 いろいろな出来事をたくさん集めて書くことが得意です。

 そこで、その特性をいかして「いろいろなところに行く」お話を作ります。

 最初にいろいろな世界や国を考えます。自由に発表させます。魔法の国、海、空、海底、宇宙、月、動物の国、恐竜の国など、いろいろとみんなで考えます。

 次に主人公を考えます。主人公は、自分自身でもいいでしょうし、アニメや映画、ゲームなどの主人公を借りてきてもいいと思います。どんな性格で、どんな話し方や考え方をするか、よく知っている人物がいいと思います。

 3つめに、いろいろな世界や国に行く「きっかけ」を考えます。魔法の杖をふること、風が吹くこと、雷が鳴ること、鏡を見ること、電話が鳴ることなどなんでもいいです。音、風、雨、テレビの音、スマホ、時計の音、鳴き声など何でもいいので、きっかけを考えます。

 最後に、主人公が行った世界や国にいる人や動物や生き物と何か会話をすることにします。

 お話を書く時に、同じ言葉を繰り返すようにすると面白いでしょう。でも、それぞれの世界や国で、自由に会話をしてもいいことにします。

 例えば、東京書籍の2年生の教科書に出てくるあまんきみこさんの「名前を見てちょうだい」などの物語文を読んだ後に、このお話を書かせるようにすると、同じ言葉を繰り返すことの楽しさに気づくと思います。

 また、光村図書の2年生の教科書に出てくるきたむらさとしさんの「ミリーのすてきなぼうし」などの物語を読んだ後に、このお話を書かせるようにすると、「帽子」という「きっかけ」を通して、いろいろな国や世界に行くことの楽しさに気づくと思います。

 そして、作文を書く前に、次の3つのことを確かめておきます。

新しい世界や国などに行くときなど、場面が変わるときは、改行する。

会話文の前と会話文、会話文の後は、改行する。

「言いました」の前には、「うれしそうに」「大きな声で」「歌うように」のような「かざる言葉」をつける。

 実際に書いてみると、きっと楽しいお話ができると思います。

 行く場面を変えることで、お話に書く内容はどんどん増えていきますので、何回かに分けて、続き話を書くこともできます。

 ある程度の制約と自由さがあると、子どもは、発想を広げ、たくさん書くことができると思います。

⭐️ ⭐️

 なお、2年生の子どもに対して行った物語を書く指導について、次のページに詳しく書いています。

物語を書く指導(1) 指導のポイントに進む内部リンク

物語を書く指導(2) 単元目標と指導計画に進む内部リンク

物語を書く指導(3) 指導の工夫①に進む内部リンク

物語を書く指導(4) 指導の工夫②に進む内部リンク

物語を書く指導(5) 指導の工夫③に進む内部リンク

物語を書く指導(6) 指導の工夫④に進む内部リンク

物語を書く指導(7)  みくのふしぎなピアノ(全文)に進む内部リンク

 なお、中・高学年の指導については、次のページを参照にしてください。

作文のすすめ(9)中学年向けに進む内部リンク

作文のすすめ(10)高学年向けに進む内部リンク

作文のすすめ(11)卒業文集に進む内部リンク

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