説教しない方がいいんですか?
親子関係は時にはむずかしいことがあります。
今回は、「母親ノート法:説教しないこと」を中心に書きます。
母親ノート法:説教しないこと
🟠母親ノート法:説教しないこと
<子どもと親の立場の違い>
親と子どもでは立場が違うことが一般的です。
親は、経済的にも子どももよりも優位です。食事を作り、家事を行い、子どもを養います。
子どもは、親の庇護の下で暮らしています。
ですから、一般的に親子で議論をしても、子どもは親には頭があがらない状態です。しかし、反抗期などの子どもにとっては、この状態がとても我慢できないことがあります。
勉強をしろとか、帰宅時間を守れとか、ゲームや動画を見たりする時間を短くしろとか言われると、とても反発します。命令や干渉をされると腹立たしくなります。
親子の関係がよい場合は、このような命令や干渉をされても、その場では腹を立てますが、しばらくすると、親に甘えることもできます。反発心を心に残しながらも、諦めたり、素直に言うことを聞いたりすることもできます。
子どもが大嫌いなことで、親がつい始めてしまうことに、説教があります。
説教については、心理学者の河合隼雄さんの次のような名言があります。
説教の効果はその長さと反比例する
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説教することがさほど効果がなかったとしても、親は子どもについつい説教をしてしまいます。
説教も、親子の関係がよい場合は、さほど問題になりません。
親が説教をする場合は、子どもが家族の約束を守らなかったり、子どもがよくないことをしたりするなど、子どもに非がある場合がほとんどですので、子どもは反発心を覚えながらも、仕方ないと思って説教を聞く時間を受け入れます。心の中で早く終わればいいのにと思っていても、それを口に出すことはありません。
しかし、子どもが不登校や登校拒否になるような状態では、子どもの心は正常な状態ではありません。
心理学者の東山紘久氏が述べるように、登校拒否の子どもの状態は次の通りです。
登校拒否は心の病気である
登校拒否は心の病気であるに進む(外部リンク)
ですから、不登校や登校拒否の子どもは、親の説教や命令や干渉などを素直に聞き、受け入れることができるような状態ではありません。
子どもは、自分が不登校や登校拒否になって、なんとかこの状態を打開したいと焦っていることが大半です。自分の将来に対する不安も大きいです。
日々いらいらして、心が休まることがありません。
親もそのような子どもの状態をなんとかしたいと焦ります。何とか子どもに学校に行ってほしいと望みます。そして、ついつい説教や命令や干渉などを子どもにしてしまいます。
親の心の安定のためにも黙って見守るなんて心境にはなかなかなれません。どうにかしたいと焦り、悩み、戸惑います。そして、ついつい子どもの言動に対してもどかしさを覚えて、何か言いたくなります。
親が説教や命令や干渉をした結果は、目に見えています。子どもの反発です。子どもは心の底では親に甘えていますから、大声を出したり、ものを投げたり壊したり、時には、親に対して暴言を吐き、暴力を振うことになります。
<説教しないこと>
東山紘久氏は、「母親と教師がなおす登校拒否ー母親ノート法のすすめ」(創元社・1984年)という本の中で、次のように書いています。
登校拒否は子どもから大人になる時の病気、自立の時期の病気である。だから、大人扱いすると淋しがったり、子ども扱いすると反発する。親の側からすると、まことに扱いにくい。
子ども扱いの典型的な会話が、説教、命令、干渉、策略で、これらはいずれも子どもの反発をかい、不快にさせる。母親ノート法では、説教、命令、干渉、策略はいっさい避けられる。親の気持ちからすると、説教すると少しは良くなると思うし、命令しなければ何もしないと感じるし、そのままの状態ではどうしようもないから、干渉するのである。策略は子どもを良くするうまいアイデアと映っている。しかし、これらはいずれも子どもを操作するものであり、操作されることに過敏になっている、自立の時期の病気である登校拒否を悪化させ、ついには親に暴力を振うようにまで、子どもを追い込むことになってしまう。説教、命令、干渉が効果を生むことなど実際には皆無に近い。しかし、子どもに説教や命令をしている最中はそれ気づかない。ノートを点検し、点検者に読んでもらうと、このことはすぐにわかる。
母親と教師がなおす登校拒否ー母親ノート法のすすめ
普通の親子関係の中では、親は子どもに説教や命令や干渉をすることは意味のあることなのかもしれません。
しかし、時には、自分の子どもに行なっている説教や命令や干渉が子どもの成長にとって意味のある行為なのかということをふりかえってみることも大切かもしれません。
子どもを育てるときに、これが絶対よいという方法を見つけることはなかなかたいへんなことです。親は子どもについつい同じ手法をとることが多いです。
うまくいっていることの方が多いでしょうが、時には、自分が普段子どもに行っている方法を見直すことは、子どもの成長にとっても、親自身の成長にとっても意味があることかもしれません。
学校現場でも、教師は、子どもに説教や命令や干渉をすることはよくあります。教師が子どもに対して行う説教や命令や干渉が子どもに効果的なことも多いです。しかし、中には、大人が聞いていても納得できないような説教や命令の仕方をしている教員がいないわけではありません。
教員自身も、自分が子どもだった時のことを思い出し、どのような口調や態度の説教や命令をされたら聞く気になるかふりかえってみることも意味があるかもしれません。
子どもをその気にさせる方法は、いろいろあります。
直接的な説教や命令などをしなくても、子どもが自分でしたくなるような方法を工夫し、よい方向に向かわせることができるのがよい親や教師の姿かもしれません。
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