津波から子ども守りたいですね。
3月11日は、東日本大震災が起こった日です。
そこで、今回は、「津波から子どもを守る」ことについて書きます。
津波から子どもを守る
🟠津波から子どもを守る
<東日本大震災>
3月11日は、東日本大震災が起こった日です。
今から12年前の2011年(平成23年)3月11日14時46分に大きな地震が東北地方を中心に起こりました。
この地震では、大きな津波が起こり、岩手県、宮城県、福島県の沿岸部を襲いました。
震災後の関連死を含めると、2万2212人の人が亡くなったり、行方不明になったりしたとされています。
詳しい内訳は、死者数が1万5900人、行方不明者数が、2523人です。これに2022年(令和4年)6月30日に復興庁によって発表された震災関連死の死者数は、3789人です。合わせて、2万2212人になります。
この津波は、福島第一原子力発電所も襲い、12年経った現在も、放射性物質を撒き散らす溶け落ちた核燃料は、施設内にまだ残されたままで、取り出す手立てはめどさえたっていません。
避難地域は少しずつ縮小していますが、現在でも、原子力発電所周辺には、放射能の空間線量率がいまだに高いために、立ち入りが原則禁止され、居住を制限するとされている「帰還困難区域」があります。
12年たっても自宅に戻れない人がたくさんいます。
津波が原子力発電を襲った場合、被害は甚大になります。長い間、原子力発電所の稼働は制限されていましたが、2023年(令和5年)3月現在、10か所の原子力発電所が再起動しています。
ウルライナとロシアの戦争の影響で、世界的なエネルギー不足が続き、今後も、日本では、多くの原子力発電所の再起動が続きそうです。
<学校の避難訓練の変化>
東日本大震災が起こってから、学校における避難訓練の様子が少し変わりました。
この大震災が起こる前までも、多くの学校では、地震を対象とした避難訓練をすることは一般的でした。しかし、その際の地震の避難訓練は、机の下に隠れて、落下物に気をつけるということが一番の目的でした。多くの場合は、その後、運動場に集まり、担当の教員や学校長、来校していただいた消防署の職員などの話を聞くことで終わっていました。
しかし、12年前の津波が与えた影響は大きく、それ以降は、机の下に隠れた後、運動場に一旦避難した後、校舎の上の方の階にもう一度、避難するということが一般的になりました。津波に対する備えです。
近所に保育所や幼稚園のある学校では、高い避難場所が施設内にない乳幼児たちと一緒に校舎の高い階に避難する訓練をすることが一般的になりました。
日程が合わない場合は、幼稚園や保育園だけの避難訓練に学校を貸すということもあります。
<津波や地震に対する地下街の取り組み>
最近見たNHKの「南海トラフ巨大地震」(2023年3月4日・5日放送)というドラマには、最新の研究に基づいて、大阪の梅田を津波が襲う場面が描かれていました。
大阪の梅田は、海沿いにあるわけではありません。ただ、大阪湾とは淀川で結ばれています。
ドラマでは、太平洋で発生した津波が、淀川をさかのぼって梅田の街に押し寄せ、津波に襲われるとされていました。実際にも十分考えられることのようです。
大阪の梅田には、地下街も広がっています。このような地下街が津波に襲われたら、多くの人が被害に遭うのは容易に予想がつきます。
梅田にはたくさんの地下商店街がありますが、一部の商店街では、避難誘導の旗を全ての店が所持していて、大きな地震が起こった時には、店員がその旗を持って、率先引率者になって、避難場所まで行くことにしているそうです。
大阪の地下街を訪れる人は、近所の人たちだけではありません。避難場所について不案内な人も多いみたいです。そのような時に、このような旗をもった店員や、停電になっても一定の間隔で設置され、点灯することになっている非常出口の誘導灯は、とても役に立つと思います。
<大地震の発生の危険性>
政府の地震調査委員会は、日本でこれから30年前後で起きる可能性のある地震の発生予測を公表しています。
今世紀の半ばまでに、太平洋岸の海域で、「東海地震」、「東南海地震」、「南海地震」という3つの巨大地震が発生すると予測しています。
すなわち、東海地方から首都圏までを襲うと考えられている「東海地震」、また中部から近畿・四国にかけての広大な地域に被害が予想される「東南海地震」と「南海地震」です。
これらの地震が30年以内に発生する確率は、マグニチュード8.0の東海地震が88パーセント、マグニチュード8.1の東南海地震が70パーセント、マグニチュード8.4の南海地震が60パーセントという高い数値です。しかもそれらの数字は毎年更新され、少しずつ上昇しています。
<津波の知識を子どもに伝える>
東北地方の三陸地方では、昔から「津波てんでんこ」という言い伝えがあります。
意味は、「津波が来たら、取る物も取りあえず、誰にもかまわずに、各自、てんでんばらばらに一人で高台へと逃げろ」ということです。
津波が起きたときの水の勢いはとてもすさまじく、あっという間に高い波にさらわれてしまいます。
誰かを構っていると、みんなが高い波にさらわれてしまいます。自分の命は自分で守ることに加えて、進んで素早く逃げることで、人々に避難することの大切さを示しています。
家族みんなが前もってこの言葉の意味を話し合い、それぞれが高台に逃げていることを信じて逃げるということです。
命が危険な人をほっておいて自分だけ逃げればいいという意味ではありません。
それほど、津波はこわいということでもありますし、すぐに逃げることの大切さを示す言葉です。
12年前の東日本大震災のときに、この「津波てんでんこ」を知っていて、高台に逃げて助かった命もたくさんあるそうです。
その反面、宮城県石巻市の北上川河口から約4キロメートルの川沿いに位置していた大川小学校では、全校児童108人の7割に当たる74人が死亡、行方不明となりました。
それまで、この小学校のある釜谷地区には、大きな津波が到達した記録がなく、住民は大川小学校がいざという時の避難所と認識していました。いざという時には、5分で完了可能な裏山への避難が選択肢にありませんでした。
地域住民、教員、子どもなどの津波に対する知識の乏しさが、悲劇を生むことになってしまいました。
きっと、今地震があったとしたら、多くの人は、三陸地方の人のように、すぐに高台に逃げる行動をしないかもしれません。
自分の住む町が、いざという時に、どのような危険性を持っているのかを多くの人は知らないままかもしれません。
なお、NHKでは、ハザードマップを作成して公開しています。
自分の住む町が、大きな地震が来た時に、どのような被害があるのか、津波の高さはどの程度考えられているのかがわかります。
具体的には、洪水、土砂災害、津波、南海トラフ地震に関するリスクがわかります。また、関連番組を見ることもできます。
先程紹介した2013年3月4日(土)5日(日)に放送された「南海トラフ巨大地震」を見ることもできます。
全国ハザードマップに進む(外部リンク)
⭐️ ⭐️
なお、わたしは、子ども向けに作成している「よみもの」で、地震や津波について、子どもでもわかるような簡単な文章を作っています。
ぜひ、子どもと一緒に読んでいただき、子ども自身に防災の知識をもってほしいです。
津波 Tsunamisにすすむ(よみもの・外部リンク)
てんでんこ Tendenkoにすすむ(よみもの・外部リンク)
3.11の大震災 The Great Earthquake of March 11に進む(よみもの・外部リンク)
地震 earthquakesにすすむ(よみもの・外部リンク)
大地震 big earthquakesにすすむ(よみもの・外部リンク)
防災グッズ Disaster prevention goodsにすすむ(よみもの・外部リンク)
簡易トイレ Simple toiletにすすむ(よみもの・外部リンク)
なお、「安全教育:子どもを守ること」に関係する記事を集めた一覧表は、次のページにあります。
安全教育:子どもを守る 一覧表に進む(内部リンク)
地震から子どもを守る:安全教育⑫に進む(内部リンク)
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