環境を整える④ 図工室 休暇中の過ごし方(13)

環境整備
つばさ
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図工室の整理整頓について知りたいです。

 夏季休業は、子どもと違って、教員にとっては、休日ではありません。勤務の必要な日です。しかし、授業のある普段の日に比べると、授業がありませんので、時間的なゆとりがあります。

 そこで、今回も、普段の授業のある時は、できにくいことで、休業中に行うとよいと思われる事柄を書きます。

 今回は、「環境を整える④図工室:休暇中の過ごし方(13)」です。

環境を整える④ 図工室:休暇中の過ごし方(13)

🟠環境を整える:図工室

<図工室を探検する>

 学校によって、図工室などの特別教室の整理具合は、千差万別です。

 図工科主任など中心になって、計画的に整理整頓をしている場合は、使いやすいように整理整頓されています。

 しかし、各々の教員が使いたいように使用し、あまり整理整頓を心がけていないようだと、すぐにあまり整理されていない状態になってしまいます。何が必要なもので、何が不必要なものかわからないことになります。

 文部科学省の小学校施設整備指針の「第4章各室計画」では、図画工作室について次のように整備するように書かれています。

図画工作教室

(1) 表現活動の内容に応じた適切な大きさの可動式の机等を活動しやすい間隔で配置することができるよう面積,形状等を計画することが重要である。

(2) 収納,保管,展示,鑑賞等のための家具等を設置することのできる空間を確保することが重要である。

(3) 平面的な表現に係る学習空間と立体的な表現に係る学習空間は,それぞれ区分するとともに,必要に応じ一体の空間としても利用することのできるような室構成とすることが望ましい。

(4) 工作用の機械等を児童が安全に利用できるような動作空間を計画しつつ,危険防止の防護柵等で区分けした空間にまとめて設置することのできる面積,形状等とすることが重要である。

(5) 十分な水栓,流し,水切り等を利用しやすいよう設置することのできる空間を確保することが重要である。

(6) 揮発性の高い塗料等の危険な材料,各種工具等を安全に保管し,また,製作途中の作品等を一時的に保管することのできる空間を準備室内等に設けることが重要である。

(7) 附随して戸外に,直接出入りすることのできる,流し等の設備を設けた活動空間を確保することが重要である。

文部科学省 小学校施設整備指針

 普段、じっくり見ることのない図工室や図工準備室にどのようなものが用意されているのかを知るっておくことは大切なことだと思います。

 教員によっては、木材を加工する教材の授業や、版画を印刷する授業の時以外は、あまり使わないことが多いかもしれません。

 しかし、整理された図工室は使い勝手がよく、子どもの図画工作の制作活動にとても有益です。

 一度、今、勤務する学校の図工室や図工準備室を探検することは有意義だと思います。

 探検する際の、視点をいくつか示します。

<視点1:材料や用具は整理整頓されているか>

 よりよい図工の授業にするためには、適切な材料や用具が必要です。

 小学校学習指導要領には、「材料や用具」について次のように書いています。

 材料や用具については,次のとおり取り扱うこととし,必要に応じて,当該学年より前の学年において初歩的な形で取り上げたり,その後の学年で繰り返し取り上げたりすること。

第1学年及び第2学年においては,土,粘土,木,紙,クレヨン,パス,はさみ,のり,簡単な小刀類など身近で扱いやすいものを用いること。 

第3学年及び第4学年においては,木切れ,板材,釘,水彩絵の具,小刀,使いやすいのこぎり,金づちなどを用いること。

第5学年及び第6学年においては,針金,糸のこぎりなどを用いること。

文部科学省 小学校学習指導要領解説 図画工作編

 さて、図工室や図工準備室は、整理整頓されているでしょうか。

 ここでは、身近な「はさみ」で考えてみます。

 紙を切ることの多い「はさみ」は、多くの学校で、子どもが持参することになっていると思います。

 しかし、ある学校では、図画工作に使うはさみを、学校で用意しています。そして、左利きの子どものために用意された「左きき用のはさみ」は、取手の部分の色を、右利き用のはさみと分けて購入することで、判別がしやすいようになっています。

【図工室探訪】八王子市立元八王子東小学校に進む外部リンク

 左利き用のはさみが学校に備えられているかどうかを知っているかどうかで、子どもの支援の方法は変わってくるように思います。

<視点2:造形遊びに対応できる材料や用具が揃っているか>

 昭和 52 年に「造形遊び」という言葉が、小学校学習指導要領の図画工作科で用いられるようになりました。

 それまでの、1枚の画用紙に絵を描いたり、粘土で作品を作ったり、工作セットを購入し、その工作セットで立体作品を作ったする「絵や立体,工作に表す活動」だけでなく、造形遊びとは、子どもが「材料や場所,空間などの特徴に進んで 働きかけ,思いのままに発想や構想を繰り返し,技能を働かせながらつくることを通して学習する」ことです。

 一人一人が個別に作品を作るだけでなく、学級のみんなで1つの作品を作ることもあります。

つながる・つなげる・レインボー」という4年生の学習では、様々な色の1mのポリテープをつなげて、様々な物を作ります。

「つながる・つなげる・レインボー」に進む外部リンク

 また、「新聞紙で」という4年生の学習では、新聞紙を使って、様々な物を作ります。

「新聞紙で」に進む外部リンク

 学校の図工準備室に、ポリテープや新聞紙を用意していれば、すぐにこれらの学習をすることができます。

 造形遊びに対応できるような様々な用具や材料を、図工準備室などに揃えておくと、図画工作の学習がより充実すると思います。

 最近は、家庭で、新聞を購入していないこともあります。「明日までに、1日分の新聞紙を持ってくるように」という連絡を気軽に、伝える教員もいますが、そのような家庭では、わざわざ近くのコンビニで新聞を買ってくる場合もあり得ます。

 学校で購入している新聞を、古紙として業者に出すのではなく、図工準備室の一箇所に新聞紙を置いておき、必要な場合に子どもに渡すようにするとよいのではないかと思います。

 図工準備室に置かれた新聞紙は、不必要なものなのか、学習に必要な材料なのかを、教職員で明確に確認しておくことも大切だと思います。

 合わせて、理科室、職員室、家庭科室、自宅の整理についてもお読みください。

環境を整える① 理科室に進む内部リンク

環境を整える② 職員室に進む内部リンク

環境を整える③ 家庭科室に進む内部リンク

環境を整える⑤ 自宅に進む内部リンク

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