児童文学のよさは何ですか?
夏季休業中は、時間的なゆとりがあります。
そこで、今回も、普段はしにくいことで、休業中に行うとよいと思われる事柄を書きます。
今回は、「楽しむ③ 児童文学:休暇中の過ごし方(19)」です。
楽しむ③ 児童文学:休暇中の過ごし方(19)
🟠楽しむ:児童文学を楽しむ
<児童文学のよさ>
教員の中には、読書が趣味という方も多いのではないでしょうか。
教育書を読んだり、実用書を読んだりすることもとても有益です。
ただ、今回読んでほしい本のジャンルは、前回の「絵本」に続いて「児童文学」です。
児童文学のよさは、たくさんあります。
1つめは、比較的短い時間で読めることです。
忙しい現代社会にとって、時間をいかにうまく使うかは、大切なことです。
その点、児童文学は、教育書や実用書、一般の文学書に比べて、短い時間で、思いもよらないような素晴らしい世界に誘ってくれます。
2つめは、内容の簡単さです。
児童文学は、主な読者が子どもということがありますので、使われる言葉もどちらかというと平易な言葉が使われますし、登場人物の関係性もあまり複雑ではありません。
3つめは、児童文学を読むことで、いろいろなことに気づくことです。
児童文学は、児童という名称ですが、決して子どもだけの読み物ではありません。
大人が読んでも、いろいろなことに気づかされます。
生きること、老いること、楽しむこと、感じること、人となかよくすること、平和は尊く大切なこと、様々なことを考え、生きることのよさを感じることができます。
児童文学は、大人を対象とした文学と比較しても、読者に与える影響は、とても強いと思います。
<河合隼雄さんの考え>
元文化庁長官で、ユング心理学者であり、臨床心理士制度をつくらた河合隼雄さんは、児童文学のよさについてたくさん述べられています。
「グリム童話集を読む」というエッセイでは、次のような文章を書かれています。
私は、なぜこれほどまでに私が昔話に心をひかれてきたのか、わけがわかったような気がしたのである。それは、昔話がいかに荒唐無稽に見えながらも、人間の心の成長の過程を深い層で把握したことが描かれているのだ、という認識である。魔女を殺すヘンゼルとグレーテル、「カエルの王様」のお話で、カエルを壁に投げつける姫、これらはその年齢における成長に必要な課題に立ち向かう人間の姿を、見事に描き出しているのである。
河合隼雄著 書物との対話「グリム童話を読む」潮出版社 1993年
また、「児童文学のすすめ」というエッセイでは、次のような文章が載っています。
私は先生方に「読みやすく、面白く、タメになる」児童文学をお読みください、と提案したいのです。それにお金の節約をしたいと思う方は、学級文庫などを御利用くださるといいのです。私は、先生方が自分の学級文庫に、かずかずの名作をそろえながら、一度もそれに目を通されないのが、不思議で仕方ありません。(中略)
私が児童文学をおすすめしたい理由はたくさんあります。そのうちのひとつとして、教師が子どもをどう理解すればよいか、教師はどのように行動すべきかについて、これらの名作は、深い示唆を与えてくれるという点があります。
河合隼雄著 子どもとファンタジー<うさぎ穴>からの発信「児童文学のすすめ」マガジンハウス 1990年
<河合隼雄さんおすすめの児童文学>
「ヒルベルという子がいた」ペーター・ヘルトリング作 上田真而子訳(偕成社)
「モモ」ミヒャエル・エンデ作 大島かおり訳(岩波書店)
「兎の眼」灰谷健次郎作(理論社・新潮文庫)
「ふたりのロッテ」エーリヒ・ケストナー作 高橋健二訳(岩波少年文庫)
「ふしぎの国のアリス」ルイス・キャロル作 田中俊夫訳(岩波少年文庫)
「トムは真夜中の庭で」フィリバ・ピアス作 高杉一郎訳(岩波少年文庫)
「銀河鉄道の夜」宮沢賢治作 (岩波・新潮・ちくま文庫など)
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