個別の教育支援計画について知りたいです。
小学校には、様々なタイプの子どもがいます。
その子どもの中には、特別な教育的ニーズを必要とする子どもがいます。
その子どもたちに適切な支援をするためには、子どもに合った資料を作る必要があります。
今回は、「個別の教育支援計画」について書きます。
個別の教育支援計画
🟠個別の教育支援計画
<個別の教育支援計画とは>
「個別の教育支援計画」について、平成29年(2017年)作成の小学校学習指導要領に次のように書かれています。
平成15年度から実施された障害者基本計画においては,教育,医療,福祉,労働等の関係機関が連携・協力を図り,障害のある児童の生涯にわたる継続的な支援体制を整え,それぞれの年代における児童の望ましい成長を促すため,個別の支援計画を作成することが示された。この個別の支援計画のうち,幼児児童生徒に対して,教育機関が中心となって作成するものを,個別の教育支援計画という。
小学校学習指導要領
「個別の教育支援計画」は、障がいのある子どもについて、家庭、 地域及び医療や福祉、保健、労働等の業務を行う関係機関との連携を図り、長期的な視点で児童生徒への教育的支援を行うために作成する計画のことです。
小学校と家庭、病院、進学先の学校、就職先などと、子どもの教育的支援について連携を図り、その子どもの長期的な支援を行うために作成します。
小学校と保護者、それに、関係機関で、それぞれの側面から情報を共有することができます。
学校生活だけでなく、家庭生活や地域での生活を含め、幼児期から学校卒業後までの一貫した支援を行うことができます。
特に、保護者とは、適切な連携を図り、子どもの成長の姿を共有するためにも、こまめに個別の教育支援計画についてやりとりをして、修正を加えていく必要があります。
<個別の教育支援計画を作成する手順>
「個別の教育支援計画」を作成するためには、次のような手順が必要になります。
① 障がいのある子どもが生活の中で出合う様々な制約や困難さなどについて知る。
② 子ども自身と保護者の願いや考え、将来の希望などを確かめる。
③ 在籍している小学校だけでなく、家庭や病院、デイサービスなどの福祉施設などで、子どもが成長するために、実際にどのような支援が必要であり、可能であるのか、支援の目標を立てる。
④ それぞれが提供する支援の内容を具体的に記述し、支援の内容を整理したり、関連付けたりするなど、関係機関の役割を明らかにする。
⑤ 支援の実施状況を定期的に評価し、改善を図る。
<記述内容>
「個別の教育支援計画」に記述する内容には、次のようなものがあります。
ここにあげる全ての項目を書く必要があるわけではありません。
多くの教育委員会や自治体などでは、基本的な形式を決めているところが多いです。
基本事項:作成日、学校名、作成者(担任名、特別支援コーディネーター名、校長名)など
子ども関係:名前、性別、生年月日、保護者名、学年・組、住所、電話番号など
生育歴:子どもの生育の様子など
療育・相談歴:病院や福祉機関などからの情報など
手帳の有無:子どもの取得している手帳の種類など
検査内容:検査機関、検査結果など
幼稚園・保育所での様子:幼稚園や保育所から聞き取った情報など
障がいの様子:障がいの種類など
子どもの様子:学校における、生活面、学習面、健康・運動面など
生活の様子:家庭において、得意なこと、好きなこと、苦手なことなど
願い・希望:本人の願い、保護者の願い、将来の希望など
合理的配慮:具体的に行える配慮事項など
長期目標:少し長い期間における具体的な目標など
関係機関との連携:具体的な連携の計画や内容など
指導記録:具体的な指導の記録など
<連携するとよい関係機関>
障がいのある子どもにかかわる全ての関係機関などが連携の対象になります。
具体的には、教育、福祉、医療、労働など様々な分野の機関が関係します。
子どもの成長や年齢、生活環境の変化によって、関係機関も変化していきます。
特に、保護者は、重要な支援者であり、重要な役割を担っています。
具体的には、次のような関係者や関係機関が考えられます。
家庭: 保護者、兄弟姉妹、祖父母、民生委員など
教育 :小学校、幼稚園、中学校、特別支援学校(センター的機能を含む)、学級担任、特別支援学級担任、養護教諭、管理職、特別支援教育コーディネーター、スクールカウンセラー、教育委員会、教育センターなど
福祉:保育所、児童相談所、市町村の障がい福祉課、入所施設、通所施設、社会福祉協議会、療育機関など
医療・保健:病院、保健所、主治医、専門医、訓練士、地域の専門機関、障がい専門機関など
余暇・地域生活:放課後デイサービス、学童保育、スポーツサークル、習いごと、公民館活動、ボランティア、同級生の保護者など
その他:親の会、NPO、大学や研究機関
<作成した個別の教育支援計画の取り扱い>
・学校で作成したものは、保護者に見せる前に、管理職などにも目を通してもらい、不適切な表現などがないか複数の目で確かめる必要があります。
・作成したものは、保護者に渡して、内容を理解してもらい、情報を共有する必要があります。
・必要に応じて、確認した証として、保護者にサインや印鑑などをもらいます。
・教育委員会によっては、作成した資料の提出を求められることがあります。
・定期的に評価を行い、子どもの成長に合わせて、修正を加える必要があります。
・関係機関に見せる場合は、保護者の了解を得ることが必要です。
・中学校などへの進学に際しては、保護者の了解のもとで、引き続くことが大切です。
・当たり前のことですが、「個人情報の保護」が確保されることが大切です。
多くの教育委員会では、「個別の教育支援計画」を作成するための、資料を作成しています。
複数の教育委員会の作成例などを見比べて、参考にするとよいと思います。
熊本県教育委員会作成「個別の教育支援計画の作成・活用・引継ぎに係るQ&A」に進む
(外部リンク)
山口県教育委員会作成「個別の教育支援計画」Q&A及び記入例」に進む(外部リンク)
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関係する言葉については、次のページをお読みください。
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