合理的配慮について詳しく知りたいです。
小学校には、様々なタイプの子どもがいます。
その子どもの中には、特別な教育的ニーズを必要とする子どもがいます。
その子どもたちに適切な支援をするためには、子どもに合った資料を作る必要があります。
今回は、「合理的配慮」について書きます。
合理的配慮
🟠合理的配慮
<合理的配慮とは>
「合理的配慮」について、「障害者の権利に関する条約・第二十四条 教育」において、次のように位置付けています。
教育についての障害者の権利を認め、この権利を差別なしに、かつ、機会の均等を基礎として実現するため、障害者を包容する教育制度等を確保することとし、その権利の実現に当たり確保するものの一つとして、個人に必要とされる合理的配慮が提供されること。
障害者の権利に関する条約
また、「同条約・第二条 定義」において、「合理的配慮」を次のように定義づけています。
障害者が他の者と平等にすべての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないものをいう。
障害者の権利に関する条約
「合理的配慮」とは、障がいのある人が障がいのない人と平等に人権を享受し行使できるように、1人1人の特徴や場面に応じて発生する困難さを取り除くための、個別の調整や変更のことです。
学校現場においては、学習生活(授業、教室間の移動など)や日常生活(登下校、給食、着替え、トイレなど)において、様々な困難さや困りごとなどが想定されます。
それらの困難さに対して、様々な方法や手立て、配慮などで、少しでも困難さや困りごとが軽減される必要があります。
具体的には、次のようなことが考えられます。
○ 車椅子利用の子どものために、エレベータや固定スロープ、移動式スロープなどを設置する。
○ 聴覚過敏の子どものために、机・いすの脚に緩衝材をつけて雑音を軽減したり、雑音軽減のためにヘッドフォンを利用することを認めたりする。
○ 視覚情報の処理が苦手な子どものために、教室前面や黒板周りの掲示物を少なくしたり、なくしたりして、情報量を減らす。
○ 意思疎通が苦手な子どものために、絵カードや写真カード、ホワイトボードを利用したり、タブレットなどのICT機器を活用したりする。
<文部科学省の考える「合理的配慮」の観点や具体例>
文部科学省では、「合理的配慮」について、より具体的に配慮ができるように、3観点11項目でとらえなおすようにしています。
学校における合理的配慮の3観点、11項目は次の通りです。
1 教育内容・方法
1-1 教育内容
1-1-1 学習上又は生活上の困難を改善・克服するための配慮
1-1-2 学習内容の変更・調整
なお、具体的な配慮の仕方として、次のページもお読みください。
音読指導(4)読みやすくする工夫に進む(内部リンク)
リライト教材:教育用語⑤に進む(内部リンク)
大きなかけ算を指でする:算数の指導に進む(内部リンク)
1-2 教育方法
1-2-1 情報・コミュニケーション及び教材の配慮
1-2-2 学習機会や体験の確保
1-2-3 心理面・健康面の配慮
2 支援体制
2-1 専門性のある指導体制の整備
2-2 子ども、教職員、保護者、地域の理解啓発を図るための配慮
2-3 災害時等の支援体制の整備
3 施設・設備
3-1 校内環境のバリアフリー化
3-2 発達、障害の状態及び特性等に応じた指導ができる施設・設備の配慮
3-3 災害時等への対応に必要な施設・設備の配慮
これらの「合理的配慮」については、「個別の教育支援計画」や「個別の指導計画」を作成する際に、子ども1人1人の障がいの状態や困難さなどに合わせて、具体的に明記することが大切です。
個別の教育支援計画に進む(内部リンク)
個別の指導計画に進む(内部リンク)
<教育委員会などが作成した「合理的配慮」の事例集>
各地にある教育委員会や役所では、「合理的配慮」について研究し、資料を集めたり、公表したりしています。そのような事例集は上手に活用し、自分たちの学校の子どものために活用することが有効だと思います。
○ 千葉県教育委員会では、「合理的配慮事例集」を作成しています。
この事例集では、「小中学校の通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある児童生徒の事例」を中心に書かれていて、とてもわかりやすい内容になっています。
千葉県教育委員会作成「合理的配慮事例集」に進む(外部リンク)
○ 目黒区教育委員会では、「合理的配慮の提供事例集」を作成しています。
学校・園における合理的配慮の提供プロセスや合理的配慮の提供事例についてイラスト付きで具体的に説明していて、とてもわかりやすいです。
目黒区教育委員会作成「合理的配慮の提供事例集」に進む(外部リンク)
○ 板橋区教育委員会では、「障害者差別解消法ハンドブック」を作成し、その中で「合理的配慮の事例」について具体的に説明しています。
授業中の困難さに対して、具体的な対応の仕方を、写真やイラストを添えてわかりやすく説明していて、とても参考になります。
板橋区教育委員会作成「障害者差別解消法ハンドブック」に進む(外部リンク)
○ 北九州市教育委員会では、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する 北九州市立学校・園教職員向けガイドライン」を作成しています。その中で、参考資料として「学校における『合理的配慮』の観点(チェックリスト)」を作成しています。
校種別に、「観点、内容、具体例」について、網羅的にチェックできるようになっています。
北九州市教育委員会作成「学校における『合理的配慮』の観点(チェックリスト)」に進む
(外部リンク)
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なお、関係する言葉については、次のページをお読みください。
特別支援教育の変遷に進む(内部リンク)
発達障がいとは?に進む(内部リンク)
個別の教育支援計画に進む(内部リンク)
個別の指導計画に進む(内部リンク)
教育書紹介:発達障害の子どもたちに進む(内部リンク)
吃音とは?に進む(内部リンク)
教育書紹介:発達障害の子どもたちに進む(内部リンク)
合理的配慮に進む(内部リンク)
社会の中のユニバーサルデザイン 図書館 環境整備に進む(内部リンク)
リライト教材:教育用語⑤に進む(内部リンク)
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